不動産投資とは

セーフティネット住宅とは?特徴やメリット・デメリット、留意点を徹底解説!

2021/02/08
セーフティネット住宅とは?特徴やメリット・デメリット、留意点を徹底解説!

セーフティネット住宅は、住宅確保要配慮者向けの賃貸住宅のことです。

一般的に上記のような住宅確保要配慮者の入居を拒むことはないことで知られています。

日本においては、徐々に増加している空き家を活用する方法として注目を集めています。

こちらの記事ではセーフティネットの特徴メリット・デメリットについて解説していきます。

セーフティネット住宅とは?

セーフティネット住宅とは、住宅確保要配慮者向けの賃貸住宅のことです。住宅セーフティネット制度に基づいて登録されています。

日本においては、高齢者や障がい者、子育てをしている世帯への住宅確保に向けて配慮が必要とされる方が増加する見込みになっています。

一方で、近年空き家数の増加が問題になっています。平成に入ってから空き家数は約2倍に増加し、空き家率も上昇傾向にあります。

このままの流れでは、空き家数の増加や空き家率の上昇に歯止めがかからない可能性があります。

出典:総務省統計局

住宅確保の要配慮者及び空き家数の増加の両面を鑑み、双方を活用する方法として注目を集めているのが「セーフティネット住宅」というわけです。

住宅セーフティネット制度の概要

住宅セーフティネット制度は、2017年の10月25日にスタートしました。

不動産オーナーの方は、「住宅確保要配慮者」向けの住宅として都道府県やその他自治体などにご自身が所有している賃貸物件を登録することが可能です。

下記の図は、制度の概要を端的に表したものになっています。

出典:国土交通省

住宅確保要配慮者とは、どういった方たちなのでしょうか。

例えば、月収158,000円以下の低所得者18才未満の子どもがいる子育て世帯及び高齢者や障がい者がそれに該当します。

これらに加えて外国人も定められています。

自治体では、オーナーの方が登録した賃貸物件の情報を「住宅確保要配慮者」に対して公表し、それを見た「住宅確保要配慮者」が入居の希望を申し出ることが出来るといった仕組みになっています。

住宅の登録基準はどのようになっているのでしょうか。賃貸物件ならば何でも登録できるわけではありません。

例えば、耐震性を有していることや、住戸の床面積が25㎡以上であることが求められ、規模や構造について一定の基準を満たす必要があります。

また、この制度は「住宅確保要配慮者の入居を拒むことはない」といったものですが、事前の登録の際に入居を認める範囲を指定することが可能です。

例えば「子育て世帯は拒まない」や「低所得者、障がい者は拒まない」といった形です。

これらの申請等は、下記のURLからできますので、ご興味がある方は一度ご覧ください。

セーフティネット住宅情報提供システムURL↓

https://www.safetynet-jutaku.jp/guest/index.php

住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業の概要

国土交通省は、住宅確保要配慮者専用賃貸住宅の供給数を高めるために、既存の住宅などを改修してそれを住宅確保要配慮者専用賃貸住宅にしてくれるオーナー向けに補助制度を設けています。

間取りの変更工事やバリアフリー改修工事、耐震改修工事などが補助の対象となっています。

補助限度額は、総工事費の1/3以内とされ上限は50万円となっており、防火及び消化対策や子育て世帯を受け入れるための対応工事は、さらに50万円が加算されることになっています。

公募期間は、2021年2月26日までとなっており、〆切が迫っております。お考えの方は、お急ぎください。

制度の詳細は、下記のHPからご確認いただけます。

出典:住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業HP

セーフティネット住宅のメリット

空室対策になる

不動産投資において、一番のリスクは空室です。

空室になるということは、その部屋の家賃収入が得られないということなので、利回りに大きな影響を及ぼします。

長い期間不動産投資をしていくうえで、多少の空室は仕方ありませんが、保有している投資用不動産の多くが空室になってしまっては、キャッシュフローに悪影響となります。

第1章で紹介したように、空室率は上昇していく可能性がありますが、このセーフティネットはいわば「住む場所がなく困っている方」向けの制度です。

住宅登録しておくことで、空室になる可能性を下げることが可能となります。

入居者をサポートする制度がある

住宅確保要配慮者専用賃貸住宅へ入居する方に向けての補助制度があります。

家賃及び家賃債務保証料における支援は1年につき上限で24万円となっています。

入居者にとっては、10年で最大240万円もの補助が受けられるということで、非常にメリットの大きい制度です。

この制度によって入居者の懐事情も多少助かることになります。

入居者のみならずオーナーの方にとっても、家賃滞納などのリスクも多少減らすことができるなど、プラスに働く制度であるともいえます。

出典:国土交通省

補助金を受けられる場合がある

前述のように、セーフティネット住宅にするための改修費用について、条件を満たせば補助金を受け取れることができます。

ご自身が保有している不動産をセーフティネット住宅用に改修する場合は、この制度を利用するようにしましょう。

セーフティネット住宅のデメリット

住宅確保要配慮者の入居は拒めない

一般的な投資用不動産であれば、職業や年収、勤続年数、過去の滞納歴など、入居審査で拒むことができます。

しかし、このセーフティネット住宅の場合には制度の特性上、入居希望者を拒むことができません。

そこで、属性に応じたリスクを考える必要があります。

例えば、高齢者の場合は入居中の物件で亡くなるケースもあり、資産価値が低下してしまう可能性があります。

また、外国人であれば言葉が中々通じず、また文化が異なることによるトラブルが起きる可能性もあります。

それぞれのリスクを鑑みた上で、どうしても入居されると困るという場合には、登録の際に、「入居を認める範囲を指定する」ことです。

もし、入居してほしくない方がいる場合には、登録の段階できちんとスクリーニングをかけることが重要となります。

家賃滞納のリスクがある

これは、一般的な不動産投資にもいえることですが、入居者が低額所得者である場合には、特に家賃滞納のリスクがあります。

自治体からの補助金などが出るとはいえ、あくまで「補助」程度なので、それによって生活が劇的に変化するわけではありません。

一般的には、家賃保証会社に加入してもらい、そこでリスクヘッジをすることになりますが、所得が低い方の中には、家賃保証会社に入れないケースも存在します。

対策としては、もし入居者が「生活保護受給者」の場合は、代理納付制度の利用をおすすめします。

事前に申請をすることによって、住宅扶助費を直接自治体からオーナーへ振り込んでもらうことが可能になります。

登録に時間と手間がかかる

住宅セーフティネット制度を利用するにあたって、登録をする必要があります。

登録にあたっては、「配置図」、「付近見取り図」、「各階平面図」、「建築確認済証」、「耐震基準適合証明書」といった複数の書類の提出を求められます。

また、物件によっても提出を求められる書類が多少異なるなど、時間と手間がかかる可能性があります。

最近では、多くの自治体でオンライン申請が可能になっていて、このデメリットは緩和されつつあります。

オンラインでの申請ができる場合には、積極的に利用しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

セーフティネットの特徴メリット・デメリットについて解説してきました。

不動産オーナーの方で、空き家対策に悩んでいる方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。

なお、セーフティネット住宅改修補助の利用を考えている方は、2月26日までの申請となっていますので、ご注意ください。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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