不動産投資とは

IRR とは何か?IRRの重要性や計算方法を徹底解説!

2021/02/01
IRR とは何か?IRRの重要性や計算方法を徹底解説!

「IRR」という単語を耳にしたことはありますでしょうか?「Internal Rate of Return」のことで、日本語訳すると「内部収益率」という意味になります。

IRRは、不動産投資において重要な指標の1つとされており、数値が高ければ高いほど良いとされています。こちらの記事では、IRRの重要性や計算方法を解説していきます。

IRRとは

「Internal Rate of Return」のことで、日本語訳すると「内部収益率」という意味になります。

投資をしている期間における利回りを把握することができます。

このIRRは、将来的に得られるキャッシュフローのみならず、その投資自体が効率的なのかどうかを判断する材料にもなるという特徴があります。

この指標をきちんと理解し、数字が高くなるような不動産運営を行っていけば、自ずと不動産投資の成功に近づくといえます。

 

IRRの計算式とその式が持つ意味

IRRの計算式

IRRの計算式は次の通りになります。

C0は投資額を表します。
C1は1年目の収益を表します。
C2は2年目の収益を表します。
C3は3年目の収益を表します。
Cnはn年目の収益を表します。

この数式を満たす「r」がIRRとなります。

この数式の持つ意味とは?

一見、難しそうな数式で諦めようとする方もいるのではないでしょうか。ここでは、そんな方のために、数式が持っている意味についてかみ砕いて解説します。

「n年目」の「n」の数字が大きくなればなるほど、分母の数字が大きくなります。分母の数字が大きくなるということは、その項は「0」に近づき全体の数式全体に及ぼす影響が小さくなるということです。つまり、将来的な収益はIRRの計算への影響が小さく、直近の収益が評価されるということがお分かりいただけると思います。

例えば、500万円の投資をしたとしましょう。そして、5年後に100万円の利益を含めて合計600万円が手元に返ってきたとします。

  • パターンA

1年目に100万円の利益で合計600万円、その後2年目から5年目までの利益が0円だった場合のIRRは、20.0%となります。

  • パターンB

1年目から4年目までの収益が0円、5年目の収益が600万円だった場合は、この場合のIRRは3.7%となります。

この2つのパターンを比べるとパターンAの方が効率の良い投資であるということが言えます。では、どうして5年後の利益が同じにも関わらず、パターンAの方が良い投資なのでしょうか。

2つのパターンの大きな違いは、「どれだけ早く投資した金額を回収」出来ているかにあります。

それは、IRRが「複利」による効果を加味しているからなのです。

IRRの具体的な計算方法

IRRをより深く理解していただくために、定期預金と不動産投資を例にして比較してみましょう。

前提条件として、定期預金及び不動産投資のどちらとも、「1,000万円を投資して3年間で60万円の利益が得られた」として計算していきます。

(1)定期預金の例

まず、定期預金の例として元本1,000万円を年利2%の定期預金(単利)に預け入れたとします。

3年間で得ることが出来るキャッシュフローは次の通りになります。

・1年目・・・1,000万円×2%=20万円

・2年目・・・1,000万円×2%=20万円

・3年目・・・1,000万円×2%=20万円

 これに元本の1,000万円(C0)を加えて3年間合計して利益は60万円になり、合計1,060万円になりました。

次にIRRを計算してみます。

この式で計算するとIRRは2.0%となります。定期預金と同じ利回りです。

(2)不動産投資の例

次に、不動産投資のように毎年得られるキャッシュフローが異なるケースについて計算してみましょう。

1,000万円の投資用不動産を購入して、1年目は年利3%、2年目は年利2%、3年目は年利1%で運用、そして1,000万円で売却したとします。3年間で得られるキャッシュフローは次の通りになります。

・1年目・・・1,000万円×3%=30万円

・2年目・・・1,000万円×2%=20万円

・3年目・・・1,000万円×1%=10万円

これに不動産売却額の1,000万円を加えて3年間のキャッシュフローは60万円の、合計して1,060万円となります。

定期預金同様3年間で60万円の利益が得られましたが、IRRはどのようになるでしょうか。 

この式で計算すると、IRRは2.013%となります。

定期預金の例と比べて、投資額や期間の利益が同じであったにも関わらず、不動産投資の例の方がIRRの数値が高くなりました。これは、定期預金の例と比べて、1年目に回収した金額が大きかったからです。

直近の収益が大きいとIRRに良い影響を及ぼすことがご理解いただけたことと思います。

1年目に回収した金額が不動産投資の方を高く設定している関係で、このシミュレーションでは不動産投資の方がIRRの数字が高くなっています。必ずしも、定期預金より不動産投資の方がIRRの数字が良くなるわけではありませんので、誤解のないようにお願いします。

投資用不動産を探されている時に、条件がさほど変わらずどちらを選んだらよいか迷う場合には、投資を行った初期段階からより大きな利益を上げることができる物件を選んだ方がIRRの数字が高くなるといえます。

IRRを活用した不動産投資

ここまで解説してきたIRRの計算方法を基にして、不動産投資においてどのような物件を購入することが重要なのでしょうか。重要なポイントは、以下の2点です。

キャッシュフローをしっかり生み出せる物件へ投資する

1点目は、キャッシュフローをしっかり生み出すことができる物件へと投資するべきだということです。

不動産投資を行うにあたっては、金融機関から借り入れをすることが一般的ですが、家賃収入をはじめとする収益が、ローンの返済に充てられてしまうと「複利」を発揮できなくなってしまいます。

また、キャッシュフローが十分にないと、新規入居者を募集する際に、リフォームや設備交換など、本来かけるべき部分にお金をかけることが出来ず、十分な家賃収入を得ることが出来なくなる可能性もあります。お分かりだと思いますが、家賃収入が減少すれば当然IRRも低下します。

 それでは、具体的にどのような不動産に投資するべきなのでしょうか。それは、「高利回りかつ融資期間が長い」物件であるといえます。

資産価値が下落しにくい物件へと投資する

2点目は、資産価値の下落がしにくい物件に投資するということです。

直近の利回りが高かったとしても、将来的に資産価値が落ちてしまうような物件では、結果として不動産投資が成功するとはいえません。人口減少が進む日本において、投資を考えているエリアの人口動態や賃貸ニーズをきちんと把握してから投資物件の選定を行うことをおすすめします。

IRRを高めるために解説したポイント2点には実は矛盾があります。2点を満たす物件は、相当運が良くない限り巡りあうことがないからです。もしくは、ないと言っても過言ではありません。

それは、資産価値が下落しにくいエリアというのは、それだけ不動産価格自体が高いため、利回りは低くなるケースが多く、キャッシュフローを中々生み出しにくい状況にあるからです。逆に高利回り物件が比較的多い地方の不動産では、将来的に人口減少の可能性があり資産価値が減少してしまうリスクを秘めているのです。

つまり、「高利回りや融資期間の長さ」「資産価値の下落リスク」両面のバランスを考慮した不動産選びが重要となってくるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

IRRは、不動産投資において重要な指標の1つですが、こちらの記事ではIRRの重要性や計算方法を解説してきました。不動産投資を成功させるために、ぜひ、購入を検討しようとしている不動産については、IRRのシミュレーションを行ってみることをおすすめします。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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