不動産投資とは

等価交換とは?等価交換で不動産投資をする際のメリット・デメリットを徹底解説!

2021/02/03
等価交換とは?等価交換で不動産投資をする際のメリット・デメリットを徹底解説!

この記事をご覧になっている方は、現在所有している土地にマンションがあり、老朽化等で建て替えを検討している方や、これから不動産投資用のマンションを建てて、ご自身が所有している土地を有効活用しようとしている方が多いのではないでしょうか。

建物の建築費用は、誰しもがなるべく抑えたいと考えているはずです。そのようなケースでは、「等価交換」という選択肢を検討できる余地があると言えます。

こちらの記事では、等価交換で不動産投資をする際のメリット・デメリット、そして留意点について解説していきます。

等価交換とは?

土地を所有しているけれど、活用方法に悩んでいるオーナー及び、建物を建てたいけれど、建てるための土地が中々見つからないディベロッパーの双方にとっての利害が一致する土地活用方法です。

一般的な等価交換に関して、まずオーナーは、自身が所有している土地をディベロッパー側に譲渡します。土地の権利を得たディベロッパーは、そこにマンションなどの建物を建築します。

オーナーは、建物の評価額に対する土地の評価額の割合に応じて、建物の所有権を得ることが可能になります

例えば、土地の評価額が1億円、建物の評価額が4億円のケースでは、オーナーとディベロッパーが1対4の割合で、区分所有権が決定する形となります。

このようにして、オーナーとディベロッパーのそれぞれが保有している、等しい価値の「土地」と「建物の一部分」を交換することから、等価交換と呼ばれています。

等価交換で不動産投資をする際のメリット

建築費用や建築手続きにかかる手間がかからない

建築費用はディベロッパーが支払うことになります。

つまり、建築費用がかかりません

また、一般的に建物を建てる際には、さまざまな手続きが必要となりますが、こちらもオーナー自身が行う必要はありません。建築費用の面や手間の面で、等価交換使った不動産投資をするメリットがあるといえます

不動産開発のプロ(ディベロッパー)と共同で行うため、リスクが低くなる

不動産のプロ(ディベロッパー)側がオーナーの所有している土地に興味を持つことからスタートします。

もし、オーナーが所有している土地が、ディベロッパーにとってあまりメリットのないものであれば、話が進まないはずです。裏を返せば、ディベロッパーが「この土地ならいける!」と思ったような場所で行われるケースが多いため、失敗するリスクは低いと考えられます

税制優遇を受けることができる

①相続税対策が出来る

もし、土地(更地)を所有していて活用が出来ていない場合、土地の評価額がそのまま相続税を決定する際の評価額になります。

そこに賃貸用の不動産を建てた場合、建築時に適用される軽減措置の適用が可能となります。よって、土地(更地)をそのままにしておく場合と比較して、評価額が下がることになり、相続税対策が出来ます

②立体買替えの特例が利用できる

一般的に、土地を売却した際には、譲渡所得が発生し課税対象となります。

しかし、等価交換を行う場合に課税の繰り延べが出来る「立体買替えの特例」があります。

立体買替えの特例は、「土地の譲渡」、「譲渡した土地へ階数3以上の建物を建築し、その所有権を全て所有するか一部所有する」、「建築した建物が耐火または準耐火建築物」といったいくつかの条件を満たすことで利用することができます。

この特例を使うと、等価交換を行うタイミングにおいては、譲渡所得税を支払う必要がないことも大きなメリットといえます。

しかし、この特例は譲渡所得税自体を免除するというものではありません。あくまで、「繰り延べる」だけであるということに留意が必要となります。

  自身の住宅に住みながら土地活用ができる

手に入れた不動産については、賃貸物件としての活用だけでなく、自身が住むことも可能です。

似たような運用の方法に「賃貸併用住宅」がありますが、こちらは金融機関からローン借り入れの条件に、住宅としての床面積に一定の制約があります。

等価交換のケースでは、賃貸併用住宅のような制限がないので、自身の意向に沿って住宅の床面積が決められる点においてメリットがあります。

等価交換で不動産投資をする際のデメリット

土地が自分だけの所有ではなくなる

等価交換を利用した不動産投資の場合、土地はディベロッパーとの共有となります

土地と建物の評価額の割合によって分割されることになります。

現在、自身が所有している土地を将来的に自由に使いたい意向がある方にとっては、等価交換は向かないかもしれません。

一般的な不動産投資と比較して、利回りが低くなる可能性がある

一般的な不動産投資であれば、マンションなどの建物の建設費など全額を減価償却費として毎年計上することができます。

等価交換を利用した不動産投資においても減価償却費は計上が出来ますが、持ち分割合の兼ね合いで建物全額分ではないことや、立体買替えの特例などを受けることによって、計上できる金額は小さくなってしまいます。

等価交換では、建物を建てる手間やリスクが低くなるのがメリットではありますが、逆に家賃収入などの収益に対して、課税金額が大きくなる可能性があり、結果として利回りが低くなる可能性があることも覚えておきましょう。

 ディベロッパーとの交渉に労力がかかる可能性がある

オーナーとディベロッパーの間で交渉が行われます。

オーナーにとっては、土地の評価額が高ければ高いほど良いです。その分の建物の所有権割合が増えるからです。

一方で、ディベロッパー側もビジネスとしてやっているので、土地の評価額をなるべく低く抑えようとする交渉をしてくるケースがあります。

このため、オーナーとディベロッパー双方の主張が対立し労力がかかる可能性があることを念頭に入れておかなければなりません。

等価交換に向いている土地とは?

面積が広い土地

マンションなどを建てる上で、面積が大きければ大きいほどよいでしょう。100坪~200坪あれば等価交換に向いているといえます。

好立地で資産価値が高い土地

資産価値が高い土地であれば、土地の評価額も上がります。評価額が高ければ高いほど、持ち分割合を決める際に、オーナーにとって有利となります。

有効活用出来ていない土地がある場合は、不動産会社へ相談してみるとよいでしょう。

等価交換を行う際の留意点

等価交換を行う際には、オーナーのことまでしっかり考えてくれるディベロッパーであるかどうか、つまり信頼できるディベロッパーと組むことができるかどうかが重要なポイントです。

ディベロッパー側は、ビジネスとしてやっているので、なるべく利益を出せるような動きをするのは当然のことといえます。

しかし、オーナーのことを全く考えていない、または考えているのか分からないディベロッパーとは組むべきではありません。

例えば、土地の市場評価額が1億円だったとします。

これを9千万円や8千万円と評価された場合に、交渉をOKしてしまうと、オーナー自身が大きく損をすることになってしまいます。

建物についても同様です。本来は適正な価格が1億円の建物をディベロッパーが1億5千万円とし、そのまま交渉がまとまってしまうと、土地に対して建物の金額割合が上がってしまうためオーナーが損をすることになります。

このような事態を避けるためにも、最初から1つのディベロッパーに絞ることなく、複数のディベロッパーと相談し、オーナー自身にとってより良い条件となる等価交換を実現できるようにしましょう

まとめ

いかがでしたでしょうか。

等価交換で不動産投資をする際のメリット・デメリット・留意点について解説してきました。土地活用を考えていて、等価交換に興味のある方にとっての参考になりましたら幸いです。

本格的にやってみたい方は、ぜひ不動産会社へ相談してみてください。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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