近年、経済成長が著しいカンボジアでは、不動産投資の分野でも注目を集めています。しかし、魅力的な投資先だからといって、常に成功するとは限りません。海外の不動産投資はさまざまなリスクもあるためです。
そこで今回は、カンボジア不動産投資がバブル期と言われている理由やカンボジア不動産投資の利回り、価格動向、カンボジア不動産投資をする際の注意点、失敗しない方法などについて解説します。
アジア開発銀行「アジア経済見通し2022年版」によると、カンボジアのGDP成長率予測を5.3%で据え置いています。
2020年の成長率は-3.1%でしたが、2021年には3%にまで回復しています。また、2023年には6.5%にまで伸びると予測されており、カンボジアでは今後の経済成長が期待されているのです。
引用元:一般社団法人 日本カンボジア協会「カンボジア、2022年は5.3%の経済成長へ ADB予測」
CIA「The World Factbook」によると、カンボジアの年齢中央値は2020年予測値で26.4歳とされています。近隣諸国のマレーシアでは29.2歳、タイで39.0歳、ベトナムで31.9歳です。
カンボジアでは、国民の多くが子どもや若い人たちであり、人口増加に伴い、賃貸需要が高まっています。
カンボジアでは、多くの日本企業が進出しています。みなさんが知っている企業をピックアップしてみました。
日本の銀行がカンボジアで出張所の開設認可を取得したのは初めてです。日系企業をターゲットに預金や貸出、インターネットバンキングなどのサービスを提供しています。
2014年6月に1号店「イオンモール プノンペン」がオープンし、2018年5月には2号店「イオンモール センソックシティ」、2022年にオープン予定の3号店は、ASEAN最大級の「イオンモール ミエンチェイ」がオープンします。
どんどん店舗が増えているのは、カンボジア国内の需要が高まっていることがわかります。
不動産賃貸仲介のエイブルは、2022年11月プノンペンに「エイブルネットワーク プノンペン店」をオープンしています。海外出店舗数は4店舗目です。
カンボジアの現地での通過は「リエル」ですが、東南アジアの中で唯一米ドルが流通通貨になっています。
米ドルの方が広く流通しているため、国内でも多くの場所で利用できます。例えば、旅行会社やホテル、レストラン、タクシー、トゥクトゥクなど、幅広く利用可能です。
また、不動産投資の購入資金、得た利益なども米ドルで受け取ることができます。
カンボジアは非居住者・外国人でも口座開設ができるのが特徴です。つまり、カンボジアに住んでいなくても、日本に住みながら口座開設ができます。
不動産投資をされている場合は、家賃をいちいち海外送金する必要がなく、カンボジア現地の銀行に口座開設して、そのままドルのままで貯金することが可能です。そのため、海外送金の手数料を節約することができ、収益を最大限に享受することができます。
カンボジアの銀行は、比較的高い金利を維持しています。平均金利は2.0〜5.0%程度です。
銀行に1,000万円を預けると20〜50万円の利息が得られます。
一方、日本の銀行では、一般的に0.002〜0.003%であるため、カンボジアの金利が高いことがわかります。
東南アジア諸国の中でも比較的不動産の価格が安くなっています。コンドミニアムの1㎡あたりの販売価格は3,000米ドル前後です。
首都であるプノンペンの中心地にある不動産は、それなりに価格が上がっていると言われていますが、それでも近隣のフィリピン、タイと比較して比較的安価なので、投資しやすいと言えます。
引用元:PHNOM PENH 2021 MID-YEAR REVIEW
カンボジア不動産投資の利回りは、東南アジア諸国の中でも比較的高くなっています。
と3番目に高い利回りです。
日本の東京都はわずか2.66%となっています。利回りが高いであることがわかります。
カンボジアでは、8%の高利回りなど、保証利回りの案件もあります。例えば、8.5%利回り保証付きのアパートメントユニットなどです。
少し前まではコントミニアの物件が主流でしたが、今はホテル物件、オフィス物件も購入できるようになりました。10年保証利回り、10年買い戻し保証など、収益が保証されるような物件もありますので、ぜひ探してみてください。
なお、保証つき物件は開発会社、販売会社は実績があるのか、信頼性についてきちんと調べておく必要があります。
新型コロナウイルス感染拡大後は、ハイエンドのコンドミニアム新規供給は減少傾向にあります。
引用元:CBRE Cambodia カンボジアのコンドミニアム供給数(完成物件)と推移
また、IMFのデータによると、2021年のコンドミニアム1㎡あたりの販売価格も下落しています。
引用元:IMF Country Data
このように外国人投資家が多いカンボジアでは、コロナによる影響が大きいと見られます。
カンボジアでは、個人や法人問わず、外国人、外国法人が土地を所有することは法律で禁止されています。
アパートやコンドミニアムなど、集合住宅の2階以上の上層階部分については、外国人、外国法人でも所有が認められています。
海外不動産は、物件が建設される前に購入する「プレビルド」が一般的です。
カンボジアでも同様にプレビルドで購入する場合がほとんどです。
また、カンボジアの不動産市場は法整備が完全ではありません。開発会社の経営悪化により、建設が中止になるリスクもあるのです。
カンボジアでは内戦により、不動産の権利に関する書類が処分された過去があります。
そのため、1979年以前の所有または占有に関する権利が無効となっています。
現在は、ソフトタイトルとハードタイトルという不動産の権利証があります。
ソフトタイトルは区分建物所有権証明書です。
ハードタイトルは建設省が発行する土地所有権証明書です。
カンボジアは経済成長が著しく、不動産価格も上昇傾向にあるため、投資話を持ちかけられる可能性もあります。
不動産会社から架空の儲け話などで騙されないよう注意しなければなりません。
カンボジア不動産投資を行うには、投資詐欺や相場より高い物件を購入させられないために信頼できる現地のエージェントや日系の不動産会社を選ぶのが得策です。
ホームページなどがあれば、口コミや実績なども確認しておきましょう。
また、カンボジア現地に事務所があるような会社は現地の情報をいち早く早く、正しく得ることができるので、ぜひチェックすべきポイントになっています。
首都のプノンペンは経済発展が著しく、高層ビルやコンドミニアムなどの建設も積極的に行われています。
他のエリアだと賃貸が入らないなどの空室リスクが大きくなるのと、不動産の価値が下落しやすいなどのリスクがあるため、投資エリアはプノンペンに限定するようにしましょう。
プレビルド方式の物件は、経営悪化により建設途中で倒産するケースも珍しくありません。
物件の購入前には、デベロッパーの実績を調べておくことが重要です。
倒産リスクを避けるには、大手デベロッパーの物件を選ぶのが無難でしょう。
物件を購入する前には、現地に行ってみないとわからない部分が少なからずあります。
そのため、実際に物件を視察することでより細かな物件の状態や周辺環境を把握することができるでしょう。周辺環境は空室にも影響する場合があるので、地元の人から話を聞くことも大切です。
コロナの影響で自由に海外に行けないこともあり、中には現地中継して案内してくれる会社もありますので、そのようなサービスを提供されている会社に相談してみるといいでしょう。
経済状況や不動産価格は、常に一定ではありません。イレギュラーなことが起こる可能性もゼロではないため、常に最新の情報を取り入れることが重要です。
カンボジアの不動産投資は、空室リスクや竣工リスクが生じる可能性があります。物件を保有する期間や売却時期など、あらかじめ出口戦略を立てることがポイントになります。
また、カンボジアでは、海外送金が比較的容易で出口戦略としてもメリットもあるでしょう。
カンボジア不動産投資では、今後、キャピタルゲイン税の導入が予定されています。
経済財務省は当初、2020年7月の導入を計画していましたが、新型コロナウイルス感染拡大などの影響により、2024年1月に延期するよう要請しています。
したがって、不動産価格の下落に注意しながら、最新情報を収集する必要があるでしょう。
カンボジア不動産投資がバブル期と言われている理由としては、直近のGDP成長率が3%であり、経済成長が見込まれている、平均年齢が若く、賃貸需要が見込まれる、日系企業が多く進出している、東南アジアの中で唯一米ドルが流通通貨になっているなどがあります。
また、カンボジア不動産投資は、利回りが比較的高いのも魅力的です。
カンボジア不動産投資の注意点は、以下のとおりです。
カンボジア不動産投資で失敗しないためには、実績があり、信頼できる不動産会社を選ぶ必要があります。また、投資エリアは首都のプノンペンに限定し、できる限り現地視察をすることが大切です。
なお、カンボジアでは、キャピタルゲイン税の導入が予定されています。常に最新情報を収集し、あらかじめ出口戦略を立てておくとよいでしょう。