不動産小口化商品とは1つの不動産を数万円〜100万円単位で小口化して販売し、少額で不動産へ投資する商品です。
そのため通常の不動産投資と同じように「減価償却して節税したい」と考えている人も多いのではないでしょうか?
不動産小口化商品は確かに不動産へ投資をするものですが、減価償却できない商品と減価償却できる商品に分かれるので注意が必要です。
不動産小口化商品で減価償却したい場合の商品の選び方や注意点について詳しく解説していきます。
不動産小口化商品とは、多くの人でお金を出し合い不動産を購入し、その不動産から得られる収益を出資割合に応じて分配するというものです。
1人では購入できない高額物件へ投資できる点が特徴です。
なお、不動産小口化商品には次の3つの形態があります。
事業者と投資家が匿名組合契約を締結して出資を行う方法、不動産は事業者名義
事業者と投資家が任意組合契約を締結し、投資家は不動産を区分所有する
投資家が不動産を購入し、その不動産を事業者へ貸し出す。
任意組合型と賃貸型は投資家が出資比率に応じて不動産を所有する形態です。
不動産小口化商品へ投資することはメリットとデメリットがはっきりと分かれています。
不動産小口化商品に投資するメリットは次の5点です。
不動産小口化商品へ投資する5つのメリットについて、詳しく解説していきます。
不動産小口化商品は少額から好立地の物件へ投資することができます。
不動産小口化商品は個人では高額すぎて手を出せない都心の一等地の物件へ投資が可能です。
好立地の物件は値下がりしにくく稼働率も高いので、個人で投資するよりも効率的な投資ができます。
不動産小口化商品を管理するのは事業者です。そのため投資家は管理や運営にすることは何もありません。
面倒な管理や運営を任せられるのも不動産小口化商品のメリットです。
不動産小口化商品は少額の資金をさまざまな不動産へ分散できます。
一棟・一部屋投資であれば、まとまった資金を1つの物件へ投資しなければなりませんが、小口化商品は少ない資金を分散できるのでリスク回避が可能です。
不動産小口化商品は稼働率の高い好立地の物件へ投資をするので、家賃収入が安定する傾向があります。
一度投資をすれば毎月安定した家賃収入が得られるので安定した副収入の確保にもつながります。
不動産小口化商品の物件を選定するのはプロの運営事業者です。
プロの目から見て収益性が安定しており、稼働率も高い好物件が選定されるので、一般個人が物件を選ぶよりも確かな物件へ投資できます。
不動産小口化商品へ投資することには以下のようなデメリットもあるので、しっかりと理解しておかなければなりません。
実物不動産へ投資することと比較した場合の4つのリスクについて、詳しく解説していきます。
不動産の価格が下落すれば元本割れするリスクがあります。
一棟・一部屋投資のように、リフォームやリノベーションなどによって資産価値を引き上げることも不可能です。
運用会社が倒産してしまうと、対象不動産が売却され、運用事業者が変わる可能性などがあり、安定的に運用できません。
運用会社の業況によって投資成果が左右される可能性があるのもデメリットです。
不動産小口化商品の人気は高く、人気の物件は抽選になるケースがほとんどです。
そのため、なかなか投資したい物件へ投資できません。
欲しい物件が手に入らないというのも不動産小口化商品のデメリットです。
基本的に不動産小口化商品は契約期間中に解約をすることが不可能です。
契約期間内は投資した資金を現金化できないので、急にお金が必要になった場合なども引き出せません。
通常の不動産投資であれば、タイミングよく売却できればすぐに資金化できますが、不動産小口化商品は投資家の都合に合わせて売却できない点もデメリットです。
不動産小口化商品は減価償却できます。しかし減価償却できるのは一部の商品のみです。
減価償却とは何か、どんな商品は減価償却できるのか、詳しく解説していきます。
減価償却とは不動産の価値を毎年少しずつ減価させ、耐用年数に到達した段階で資産価値をゼロ(残存価格のみ)とする処理です。
例えば3,000万円の建物を期間30年で資産価値ゼロにするためには、毎年「減価償却費」という費用を100万円計上(定額法の場合)していくことで、30年後に資産価値をゼロにすることができます。
建物は経年劣化とともに資産価値がなくなっていきますが、この資産価値の減少分は、「建物を使用して利益得るために必要な費用である」という考えのもとに、毎年「減価償却費」という費用を計上し、資産価値を減価させていきます。
減価償却費に計上できるものは建物ばかりではありません。
次のような資産も減価償却費として計上できるので理解しておきましょう。
自動車や機械などの備品や、ソフトウェアなどの無形固定資産も減価償却の対象になります。
不動産投資の場合には、投資した物件への移動や管理のために必要な自動車も減価償却の対象となる場合があります。
減価償却をすることによって節税効果があります。
例えば年間家賃収入が1,000万円で、その他の諸経費がない場合、不動産所得は1,000万円ですので、所得税は1,000万円に対して課税されます。
一方、この不動産投資に300万円の減価償却費が発生した場合の不動産所得は1,000万円-300万円=700万円となり、所得税は700万円に対した課税されます。
減価償却費は資産価格を目減りさせるための費用ですので、現金が流出しません。
従って、現金を流出させずに所得を圧縮できるため、節税効果のある費用だと言えます。
減価償却費を計上できる所得は事業所得や不動産所得などの所得のみです。
そして、不動産小口化商品は形態によって次のように所得が変わります。
実際に不動産の所有権を取得する、任意組合型と賃貸型の不動産小口化商品だけが減価償却できます。
もちろん、一棟、一部屋、一戸建て投資などの通常の不動産投資でも減価償却費は計上可能です。
減価償却費を上手に活用すれば、節税をしながら不動産投資をすることができます。
その場合には商品選びと業者選びに十分注意しましょう。
不動産小口化商品で減価償却できるのは、「任意組合型」と「賃貸型」だけです。
不動産小口化商品を減価償却して節税したい方は「任意組合型」か「賃貸型」を選択しましょう。
実際には「賃貸型」の不動産小口化商品はほとんど販売されていないので、「任意組合型」一択と言えるでしょう。
不動産小口化商品は様々な業者が販売しています。
業者の中には、これまでの運用実績が悪い会社や、資産価値のない不動産を高値で販売するような悪徳業者も存在します。
契約前にこれまでの運用実績や評判を必ず確認し、信頼できる業者を選択しましょう。
実際に不動産小口化商品を始めるには、取り扱いのある不動産会社のホームページを確認することで募集中の物件を探すことができます。また、当サイトのように、不動産小口化商品を取り扱っている業者の情報をまとめているので、一覧より確認することができます。
しかし何も知識がないのであれば、まずはセミナーへ参加することがベストです。
小口化商品の運営会社各社は定期的にセミナーを開催していますので、まずはできる限り多くのセミナーへ足を運び、不動産小口化商品の特徴や商品性をしっかりと理解しましょう。
不動産投資では減価償却をすることで、現金の流出を伴わない費用を計上でき、節税できます。
不動産小口化商品でも「任意組合型」と「賃貸型」であれば減価償却費を計上可能です。
減価償却を利用した節税をしたい方は、まずは自分が投資しようとしている商品がどの形態なのかを確認しましょう。
また、不動産小口化商品への投資においては、運営会社が優良かどうかも重要ですので、投資の前に必ず運営会社の情報を確認するようにしてください。