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【第2回】「知っていそうで知らないサブリース 問題」不動産投資の落とし穴~ある「悪徳不動産会社」が語るサブリース悪用方法~

【第2回】「知っていそうで知らないサブリース 問題」不動産投資の落とし穴~ある「悪徳不動産会社」が語るサブリース悪用方法~

サブリース契約を巡る問題について、前回のコラムでオーナーとサブリース業者それぞれにメリットとデメリットがあることを紹介した。

サブリースという仕組み自体にも大きなメリットがある。それは空室リスクのヘッジ(回避)だ。不動産経営で最大の問題は空室リスクだ。アパートやマンションに誰も借主がいなければ、家賃が入ってこないため、金融機関への返済や固定資産税ばかりが発生してしまう。

このリスクをヘッジする上で、サブリースは有効だ。3部屋のマンションで1部屋に空室があると収支が大きく下がってしまうが、これが30部屋あると1部屋の空室では影響は少ない。これをもっと大きな規模でおこなえば、大船に乗った経営ができるというわけだ。サブリースという仕組み自体は、小規模大家にとっては役立つものなのだ。 

この元社員は、自ら「悪徳不動産会社でした」と自己紹介する人物だ。昨年、廃業した投資用不動産の販売会社に勤務していた際に、上司の指示で様々な不正を行っていたという。

倒産を前提に高値のサブリースを提案

 その内の一つがレントロールのふかし(偽装)だ。
「仕入れた物件の利回りをよく見せるために、家賃を上げてシミュレーションを作成し、お客さんに提案していました。例えば1000万円の売り出し価格の不動産があります。家賃10万円で貸せるとすると、12万円に上げてからレントロールを作るのです。」

通常

  • 物件価格 1000万円
  • 通常家賃 10万円×12ヶ月=120万円
  • 利回り  12%

ふかし

  • 物件価格 1000万円
  • 変更家賃 12万円×12ヶ月=144万円
  • 利回り  14.4%

一見すると、高い収益が見込めそうなため、利回りを12%に固定して物件価格をつり上げることができる。

本来であれば、家賃を上げるために設備を追加したり、リノベーションをしたり追加の投資をする必要がある。それをしないままに家賃を上げることは不可能だ。あくまで机上の空論でしかない。しかし、後述する方法で無理矢理、借主を探すこともできなくはない。

この不動産業者では事実を覆い隠すのにサブリースを悪用していたという。

「サブリースします。といえば、相場よりも高い家賃にふかしていても関係ありません。ちょっと調べれば分かることですけど、どのお客も安心して購入してくれました」

元社員によると、数年で荒稼ぎして会社は倒産させる予定だった。つまりレントロールの偽装とサブリースは一体的な不正だったというわけだ。

 「私も会社が倒産してから知りましたが、はなから守るつもりのないサブリース契約だったわけです」

危ないサブリースを見抜く方法

こうした危ないサブリースを見抜くために、相場は自分の目で確かめなければいけない。そのために、以下の2点をおすすめしたい。

①ポータルサイトで家賃相場を調べる
②地元の不動産業者に聞く

しかし、賃貸物件の募集では「おとり広告」として、相場よりも「安い」家賃の物件が多めにあるのも事実だ。

ポータルサイトで調べた相場より高いと主張すると「入居者を探すためのおとり広告が多い。本当はもっと高い家賃で貸せるはずです」などと、主張してくることもある。

そのため②地元の不動産業者に電話して聞いてみるのが、確実に相場を知るには一番有効だ。しかし、どうやって聞き出せばいいのだろう。慣れていない人にはハードルが高いと感じるかもしれない。
しかし、「このエリアで投資用不動産の営業を受けているので、家賃相場を教えて欲しい」と言えば、確実に教えてくれるはずだ。不動産業者は話し好きが多く、自社に関係しないことには親切だ。

本筋からは外れるが、北関東で不動産業を営むある経営者は「おたくの物件の募集家賃が安いから、(近くで物件購入を考えている)お客様が買い渋っている。募集広告を止めて欲しい」という電話を受けたことがあるという。もちろん「厚かましいにもほどがある」と断ったそうだが…。

※参考サイト:不動産業統計集( 公益財団法人不動産流通推進センター)
 

さらに不動産データ会社の経営者によると偽装されたレントロールには特徴があるという。

「偽装されたレントロールでは、なぜか同じ時期に入居した部屋がいくつもあります。これは販売業者が仕入れてから、空室を埋めるために仲介店に多額の手数料を払って無理やり満室にしているからです。最初の数ヶ月は家賃が発生しないなどの好条件で募集していることもありますね。同じ時期に複数の部屋で入居がある物件は偽装の疑いが濃厚なので、賃貸借契約書の写しを要求して契約内容を確認したほうが良いですよと私はアドバイスしていますよ」

しかし、大切なのは、まず業者から提示されるサブリースを鵜呑みにしないことだ。

「サブリース問題」のテーマは今回で終了として、次回からは別のテーマから不動産投資に切り込んでいきたい。

株式会社グローバル住販(THEグローバル社グループ)

株式会社THEグローバル社(東証1部上場)を中心とした企業グループで不動産開発~販売~管理を一貫して行う。従来からの実需用住宅に加え、近年はホテル運営や投資物件開発・販売等へと事業領域を拡大している。

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