不動産投資管理

不動産投資した収益物件を満室にする方法

不動産投資した収益物件を満室にする方法

満室にできるかどうかで利回りが大きく違ってくる

不動産投資の目的はいうまでもなく、収益を上げることです。投資における収益は「利回り」に左右されますが、みなさんは利回りをどのように想定していますか?

マンションやアパート経営などの広告に掲載されている利回りは「満室状態における年間賃料」を元に計算されます。

利回り=満室状態の年間賃料÷不動産の購入価格

上の式から言えることは、利回りは収益物件が満室の状態であることを前提に考えられているということです。つまり、空室が出れば利回りは大きく下がります。

例えば、購入価格2,000万円、月額家賃5万円、10室のアパートで年間2戸空室があれば、利回りはどのくらい下がるでしょうか?

(満室の場合の利回り)
(5万円×12×10)÷2,000万円→利回り3%
(2室空室がある場合の利回り)
(5万円×12×8)÷2,000万円→利回り2.4%

上の例では、利回りは0.6%下がってしまいました。

空室がある状態が続くと、0.6%利回り分の収益が入らないままです。

よって、満室にできるかどうか、満室状態を継続することができるかどうかは、投資運用においてとても重要なことです。

満室になる物件と空室率の高い物件の違いは?

いつも満室で空きがないアパートやマンションと空室があるアパートやマンションにはどんな違いがあるのでしょうか?

満室になる物件は端的に言えば、物件を探している入居候補者が満足できる物件であることです。言い換えると、空室率が高い物件は入居候補者のニーズを満たしていないと言えます。

空室率が高い物件の多くは家賃が適正でない、入居者が求める設備が整っていない、収納が不便などさまざまな理由が考えられます。

逆に満室になる物件は、家賃が適正で設備も整っています。

入居者の目線で考えてみると良いかもしれませんね。

また入居候補者が求める条件は、都心部と地方部、物件の場所や物件周囲の環境によって異なります。

都内では駅やコンビニ、スーパーとの距離(立地、利便性)・間取りと家賃の関係が重視されがちです。入居を考える方が、駅から遠いのに家賃が高いと感じればまず成約には至りません。

地方で重視されがちなことは駐車場の有無が多いです。 地方の生活は車が必須であることが多く、敷地内に駐車場がないという理由で契約を見送るケースがあります。

もちろん、すべての物件ですべてのニーズを満たすことは難しいですが、満室物件と空室率が高い物件を比べれば、満室にするための対応策はあるはずです。

満室にするために具体的にできること

空室率を最小限に食い止める、また満室にするためにはどのようなことをすれば良いでしょうか?

以下のようなことが考えられます。

  • 家賃を見直す
  • 敷金を見直す
  • 礼金を見直す
  • リフォームをする
  • 仲介会社と連携する
  • 仲介会社に支払う金額を増やす
  • 入居対象者の間口を広げる

家賃は入居者が契約を検討する上で最も重視する項目です。

周囲の環境や立地、周辺物件の相場(間取り等も考慮しながら)と所有物件の家賃を比較しましょう。

例えば鉄筋コンクリート造(RC造)と木造(W造)で家賃や間取りが変わらなければ、入居候補者は前者を選ぶ可能性が高いです。

家賃を高めに設定している理由があれば「なぜ高めなのか」を入居候補者に伝えられれば成約率も上がるはずです。

よって仲介会社との連携、連絡を密にすることも重要です。

なぜ成約に至らなかったのか、大家としてできることはないかなど、仲介会社と協力すると良いでしょう。

敷金・礼金も入居候補者から重要視されます。

敷金・礼金は引っ越し初期費用の中でも大きな割合を占める上、入居する前に支払うお金です。

つまり入居候補者にとって、支払のハードルがとても高いお金と言えます。

特に礼金を払うことは入居者にはまったくメリットがありません。

家賃だけでなく、礼金の額が適切かどうか、あるいは本当に礼金を取る必要があるのかまで含めて検討しましょう。

室内の設備に不満があるために契約を見送られるケースもあります。例えば、独立洗面台がない、室内に洗濯機を置けない、無料インターネットがないなどです。

余裕があれば、できる範囲でリフォームすることも物件を満室にするためには必要なことです。

リフォームという投資をすることになりますが、空室状態が続く物件が満室になるのであれば、魅力的な投資と言えるでしょう。

仲介会社は入居候補者にさまざまな物件を紹介します。言い換えると、仲介会社が貴方の物件を積極的に推さなければ空室率が高くなります。

仲介会社との連携を深めることが重要だと書きましたが、仲介会社に支払うお金を増やすなどして、所有物件への斡旋をお願いすることも効果的です。

入居対象者を絞り込みすぎることも問題です。

優良入居者の選定のために審査基準が厳しすぎると、空室率は高まります。

もちろん入居者の属性は重要ですが、審査基準を見直して緩めることも満室に近づけるための方法です。

まとめ

空室は利回りに影響しますので、物件を満室にすることは利回りの安定、ひいては不動産投資の運用安定に繋がります。空室率が高い物件は、物件を探している入居者のニーズを満たしていないケースや、家賃が適正でないなど、何らかの原因があるものです。家賃や敷金・礼金の見直しはもとより、リフォームや仲介会社との連携など、満室にするための工夫をぜひ検討、実行して下さい。

高野 友樹(たかの ゆうき)

不動産コンサルティング事務所 Resorz Consulting 代表
(公認 不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士)
不動産会社にて仲介、収益物件管理を経験した後、国内不動産ファンドでAM事業部のマネージャーとして従事。
社団法人GINAとして海外事業にも参画。

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