みんかぶ不動産

【第1回】知っていそうで知らないサブリース問題

筆者: 株式会社グローバル住販(THEグローバル社グループ)コラム
2019/04/032019/04/04

不動産投資について考える時に「サブリース問題」は避けては通れない。これから不動産投資を始めようと考えている人でも、「サブリース」という言葉自体は耳にしたことはあるのではないだろうか。しかし、「サブリース契約は今、問題になっていて、気をつけたほうが良い」くらいの知識があれば良いが、その事さえ全く知らない人も多いと思われる。今どのような問題が起こっているのかしっかりと学んでおきたい。


まずはサブリースから解説したい。


サブリースとはサブリース業者が賃貸住宅などで複数の不動産を一括で借り上げて、第三者に転貸することを指す。平易に言うならば又貸しだ。

満室時の家賃を100%とした場合、サブリースで借り上げる際は80%~90%ほどの家賃で契約することが多い。
 

オーナーにとっては、満室時よりも収入は減るが、所有する不動産の入居状況に関わらず、一定の家賃収入が見込めるというメリットがある。また入居者の家賃の回収や日常的な管理業務などを、まるごとサブリース業者に任せることができる。

 借り上げるサブリース業者にとっても満室になれば利益が見込める。


「一括借り上げ」や「家賃保証」と呼ばれることもある。企業によって呼び方は異なるが、オーナーから不動産を借り上げて第三者に貸す点では同じである。今回のコラムでは「サブリース」で統一する。


サブリース自体にはメリットもあるが、現在、問題になっているのはサブリース業者と契約をしていた家賃から一方的に減額を要求されたり、契約を打ち切られたりすることが増えているからだ。


消費者庁はウェブサイトなどで契約は、サブリース業者がアパート等の賃貸住宅をオーナーから一括して借り上げるため、一定の賃料収入が見込めることや、管理の手間がかからないことなど、オーナーにとってのメリットがある一方で、近年、賃料減額をめぐるトラブルなどが発生しています。サブリース契約をする場合は、契約の相手方から説明を受け、契約内容や賃料減額などのリスクを十分理解してから契約してください。と注意喚起している。 

「こんなはずじゃ」が続出

東京都内に相続した土地に8戸のアパートを所有する50代の男性オーナーは驚いた。アパート完成から約2年しか経ていないのに、サブリース業者から「家賃の減額を要請された」からだ。サブリース契約を結んでいたのは、建築を担当した住宅建築会社の子会社だった。サブリース業者の言い分によると「周辺に複数の競合するアパートが建ってしまい、家賃を下げないと空室が埋まらない」のだという。
 

「たった2年で市況が大きく変わるわけないじゃないか」と男性オーナーは納得できずにいる。サブリース業者から要請を受けた減額を飲めば、銀行への返済分を支払った後はほとんどお金が残らなくなってしまう。

 「契約では10年ごとに家賃を見直すという約束だったから安心していたのに…」と嘆いているが、売却することも含めて検討中だ。


このような「こんなはずでは無かった」という人が続出しているのだ。

一方的な減額がなぜ許されるのか

では、なぜこのようなサブリース業者の一方的な言い分がまかり通るのだろうか。


実は、以前は法律の専門家でも意見は分かれていたが、今はサブリース契約とはあくまで不動産の賃貸借契約であると考えるのが一般的だ。つまり、サブリース業者はオーナーから建物を借りている借主であるため、借地借家法という法律に則って、契約期間内であっても賃料の減額を請求する権利があると考えられている。

 そもそも日本の借地借家法は、諸外国に比べ、借りる側をより手厚く保護していると言われていて、例えば契約書に「サブリース会社は支払う家賃を10年間は一定とする」などの文言があっても、それは関係ないとされる。借りる側からは家賃の減額を請求できるし、交渉が折り合わなければサブリース契約を解除できるのだ。(参考:最高裁判決 平成1 5年1 0月2 1日、最高裁判決 平成16年11月8日など)


この理屈が直感的に理解しづらいのは、サブリース契約を結ぶ当事者たちには、規模にあまりに大きな格差があるからだ。


先述の男性オーナーは食品スーパーに勤める一般庶民だ。対して手厚く保護されている借主のサブリース業者は兆円単位の売上高を誇る大手ハウスメーカーの子会社であったりする。


一般庶民と大企業との利害が一致しない時に、法律が大企業を守るのは時代に逆行したものに思える。

 実際に、弁護士などの法曹関係者や所管する官庁の職員も、心情としては「これはおかしいだろう…」と思っていたりもする。しかし、法律や判例の中でしか動けないのが彼らの宿命でもある。法律が変わらない限りは、現状の情勢が続く。


それだけ不動産投資、つまり大家業を行うことは重いことであると理解すべきなのだろう。またこれを理解できる人でなければ、不動産投資をやっても上手くいかないということも事実だろう。


決してすべてのサブリース契約が問題になっているわけではない。ただ全国で行われているサブリースによる取引のうちどれだけが、一方的な減額要請や解約などに繋がっているかは不明なものの、一定の割合で起こっているのは事実である。


適切な対応をすることで、「こんなはずじゃなかった…」は防げる可能性も高い。


次回はサブリース契約を行う際の貸主の対応について触れておきたい。

株式会社グローバル住販(THEグローバル社グループ)

株式会社THEグローバル社(東証1部上場)を中心とした企業グループで不動産開発~販売~管理を一貫して行う。従来からの実需用住宅に加え、近年はホテル運営や投資物件開発・販売等へと事業領域を拡大している。