こちらの記事をお読みの方の中で、不動産の売却を検討していて、その流れについて把握しておきたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、不動産価格が上昇している今、今が売却タイミングだと考えている方も多いでしょう。
いざ不動産売却となった場合、知り合いで購入してくれる人がいない限り、一般的には不動産会社に売却を依頼するでしょう。
そこで今回は、不動産売却の流れにつきまして、売却時の注意点にも触れながら解説します。
不動産売却成立までの流れ
以下で上記図における事柄を詳しくご説明致します。
不動産売却においては、まず売却を希望する不動産の相場を調べます。
不動産売却値の相場を知っていれば、売却を依頼する不動産会社を決める上での判断基準になり決めやすいです。この不動産売却値の相場ですが、簡易査定サイトを活用して自分の不動産の相場を把握するのが早い方法といえます。
下記にて3つの一括査定サイトをピックアップしましたので、ご活用してみてください。
一括査定サイトにて査定依頼をした不動産会社からご連絡を頂き、より正確な価格査定するには、不動産会社の担当者が現地へ足を運び、物件の周辺環境、物件の内装などを確認し、正確な査定という流れになります。査定は不動産会社によって査定方法・査定金額が異なるので、複数社へ査定を依頼するのがおすすめです。
査定が終わり実際に売却と決めた場合、不動産会社と媒介契約を結ぶ必要があります。
媒介契約には次の3種類の契約があります。
①一般媒介契約
一般媒介契約とは一番スタンダードな契約で、複数の不動産会社と媒介契約を結べます。
②専任媒介契約
専任媒介契約とは、特定の不動産会社一社以外には売却のお願いができない契約です。大きく広告をしてくれることが多く、買主が見つかりやすいというメリットがあります。
また、週一の報告などの義務付けもあります。
③専属専任媒介契約
専属専任媒介契約とは専任媒介契約と同様に、特定の不動産会社一社以外には売却のお願いができない契約です。そして当該の不動産会社さんが探してくれた買主以外との売買契約ができない契約です。
契約後不動産会社が、購入希望者探しで様々な活動を行います。
自社ホームページへの掲載・売却ポータルサイトへの掲載・雑誌への掲載・各種広告への掲載・営業マンさんが自分のお客様への紹介などといった具合になります。購入希望者・問い合わせの方がいれば、物件見学が行われます。
購入希望者・問い合わせの方がいれば、話し合い・交渉が行われます。
話し合い・交渉でやり取りされる内容は次の事柄が多いです。
なるべく希望に沿った売却契約になるよう、事前に不動産会社の担当営業に希望する条件などを伝えておけばスムーズに話が運ぶでしょう。
売買契約締結になった際に買主から手付金として、売却価格の10%から20%の金額受け渡しが行われます。売買契約書に印紙を貼る必要がありますので、印紙税が発生します。
なお、売主の場合、売買契約書を原本で所有する必要がないため、印紙税を節約したい方は、売買契約書のコピーをもらうようにしましょう。
また契約成立時点で、成功報酬として不動産会社へ仲介手数料も発生します。
買主が融資を利用する場合、その融資が無事おりることができれば、物件価格の残りの金額を支払うための決済が行われます。
売主に物件の残債を残っている場合、買主からの残りの物件金額の支払いを受け、売主は物件の残債を支払い完済します。
その後物件の所有権を買主へ移転するための登記手続きがなされます。
売主に抵当権が設定されている場合は、抵当権抹消手続きの必要もあります。
※抵当権とは?
住宅ローンを組んだ時に、万が一ローン返済が滞った・債権が焦げ付いた場合に金融機関が資産(不動産)を差し押さえられる権利のことです。
抵当権抹消手続きには、登録免許税・司法書士への謝礼(お願いした場合)が発生します。
次に不動産売却に必要な書類をまとめました。スムーズに売却するため、事前に準備しておきましょう。
より正確な査定をしてもらうには、物件に関連する書類をできる限り準備してください。具体的には下記のような書類が挙げられます。
①工事記録書・建築設計図書
どのような工事や設計が行われたのかを示す書類です。所在が不明な場合、施工会社や不動産会社への問い合わせとなります。マンション売却の場合、管理会社などからの取り寄せとなります。
②建物図面
建物の形状を確認する書類です(法務局にて取得できます)。
③住宅性能評価書
専門家が建築の知見を使って、性能を評価する書類です(専門機関から取得します)
④境界確認書・土地側面図
土地家屋調査士さんからの取得となります。
⑤地積測量図
土地の形状を確認するための書類です(法務局にて取得できます)。
⑥物件の販売パンフレット
新築時に購入した不動産の場合、物件の販売パンフレットも準備してください。
上記に加え、購入時の売買契約書・重要事項説明書・マンションの管理規約・ローン残高証明書が必要です。
そして地盤調査報告書・耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書の提出を、求められることがありま。手元にない場合施工会社や専門の業者・機関からの取り寄せすることができます。なお、昭和56年以降の物件に関しては必要ありません。
次に売却時までに準備しておく書類をピックアップしました。
①登記手続きで必要な書類
②あると買主の方からの好印象につながる書類
売り手としては、当然価格が高いときに売りたいと考えるものです。ただ価格変動の潮目を見極めるのは、プロでも難しいといわれています。これにも関わらず、強いて「1~3月という繁忙期」が挙げられます。
暦を意識した時期も、タイミングを考える時のポイントといえます。日本では年度の変わり目が4月です。そこで、会社の新年度や学校の新学期が始まる4月までに引っ越しなどを完了させる方が多いです。これにより新年度の少し前である1月~3月に不動産への需要が増し、売却がしやすいと考えられます。
売買契約そのものは、大体1時間程度で完了します。
売主の方と買主の方は物件下見で会っていることが多いですが、ここでも改めて顔合わせとなります。場所は売主の担当となる不動産会社で行われることが多いです。
不動産会社から買主に対して、対象不動産の付帯設備について説明がなされます。
売買契約を締結する日には、売買契約書と重要事項説明書の2つの書類があります。
売買契約書は普通の担当者での説明でいいですが、重要事項説明書はきちんと宅地建物取引士の免許を持った方による説明が必要です。宅地建物取引士のカードも見せてもらうようにしてください。
売買契約書や重要事項説明書には専門用語が多くありますので、その場で質問すると時間がかかってしまうため、前もって売買契約の文書(内容)を入手できていれば理解しやすくなりますので、担当者に作成が出来次第に送付してもらいましょう。
契約書などの内容について全て納得した場合、不動産会社からの説明を受けたあとに、全書類に住所・氏名などを記入し捺印します。
売買契約書により、現金による手付金の受け渡しとなります。大金なので買主には伝え難いかもしれませんが、後からもめごと・トラブルにならないようその場で落ち着いて金額チェックをした方が良いです。
買い主の方の方もこれを望む方もいらっしゃいます。金額確認後、領収証を渡すという段階になります。
買主は融資を利用する場合、融資の申込み手続き完了後に決済を行う段取りになります。決済は大体契約して2週間後に行うケースが多いです。
決済が無事終わりましたら、売主についていた抵当権が外されて、買主が登記をします。物件の引き渡しは事前に交渉した日程を守るようにしましょう。
上記までに複数司法書士・金融機関・不動産会社という言葉が出てきましたが、わかりやすいようにここで各々の役割を整理しておきます。
役割 | |
---|---|
不動産会社 | 売却値計算・購入希望者探しの営業全般・重要事項説明etc... |
金融機関 | 残債の返済・抵当権の抹消 |
司法書士 | 抵当権抹消登記・所有権転移といった登記の手続き処理 |
とは言え、知り合い同士での売却、完済している不動産を売却するなど様々なケースに応じて、必ずしも司法書士・金融機関・不動産会社と付き合う必要があるというわけではありません。
不動産会社によって、得意分野・能力は様々です。
マンション売却が得意な会社に、一戸建ての売却を依頼しても、そもそもノウハウが違うため、なかなか満足のいく売却ができないでしょう。
売買時には、売り主・不動産会社の営業マンすら気付かなかった瑕疵が後で生じる可能性があります。万が一瑕疵を見つけた場合、その責任はどっちにあるかきちんと明記することが大切です。
一般的には、売主に1年間の瑕疵担保責任がついています。どうしても瑕疵担保責任を負いたくない場合、買取業社への売却を検討してみてください。
満足のできる不動産売却をするには、信頼できる担当者を見つけることも非常に重要です。
以下にて信頼できる担当者のチェックポイントをピックアップしましたので、参考にしてみてください。
不動産の売却は税金がつきものです。以下には不動産売却する時の税金についてみてみましょう。
マンション売却では必ずしもプラスが出るわけではなく、マイナスが生じる可能性もあります。売却損をした時に何もしない方が多いのですが、実は不動産売却を損をした場合、確定申告して「損益通算」することによって、給与で天引きされた所得税、住民税が還付されます。
また、その損益通算は1年で相殺しきれなかった場合は、翌年以降の所得からも繰り越して引かれる「繰り越し控除」というシステムもあります。このシステムは、売却年の翌年から最長3年間の所得まで有効となります。つまり売却年含め、最長で4年間の税対策となります。
固定資産税の納付義務者は、毎年1月1日現在の所有者となります。つまり、その年度の途中で売却した場合でも、一旦売主が固定資産税を支払うことになります。
しかし、売却したあとはもちろん買主の物件になりますから、売主と買主が所有する日数で固定資産税の日割り計算を行います。
一般的には決済日に所有権が移されますので、決済日を基準に固定資産税が日割り計算され、売買金額の中で調整されます。例えば固定資産税年額が8万円として、決済日が7月1日とした場合、買主は固定資産税半額の、4万円を支払うという考え方になります。
以上不動産売却の流れについて述べてきました。参考になりましたでしょうか。
不動産売却の流れについて特に重要なこととして、次の3つが挙げられます。
こちらの記事を参考に、スムーズに満足のできる不動産売却ができたら幸いです。