不動産投資とは

不動産投資の5つのデメリット!リスクを最小限におさえる回避策も解説

2021/07/29
不動産投資の5つのデメリット!リスクを最小限におさえる回避策も解説

昨今増税・年金先行き状況の不透明感などにより、老後資金を確保するため、様々な投資を検討されている方も多いのではないでしょうか。株やFX、外貨預金などの金融商品が知られています。

その中で、マイナス金利実施により市場最低金利だと言われている今、融資を活用できる不動産投資に人気を集めました。不動産投資は、長期にわたって安定した不労所得が見込まれる投資ビジネスとして、老後資金を作るにも適していると言えます。

しかし、投資商品である以上メリットだけではなく、デメリットもあります。そこで今回は不動産投資のデメリット、そのデメリットの回避策について書いています。

不動産投資には5つデメリットがある

不動産投資には下記4つのデメリットが挙げられます。

  • 空室リスク
  • 金利上昇リスク
  • 管理会社倒産リスク
  • 天災リスク

次から、上記4つのリスクを詳細に説明致します。

空室リスクと対策

空室リスク

不動産投資を検討する際に、最も大きな懸念事項として考えられるのが「本当に埋まるの?」といったことではないでしょうか。入居者がいなければ収入は入ってこない上に、融資への返済、管理費などの支払いが大きな出費になります。

空室対策

①サブリース

サブリースというのは、一言でいいますと転貸しのことです。不動産オーナーがサブリース会社に、所有している不動産を一旦貸し付けます。そしてサブリース会社が入居者に賃貸するという考え方です。

ここで、「それって管理会社委託というーことではないの?」と考えた方もいらっしゃると思います。しかし、サブリースと管理委託は違います。契約関係に違いがあり、サブリースと管理委託共にオーナーとの契約はあります。入居者との契約先が異なります。

要は普通の賃貸管理の場合、オーナーと入居者が賃貸契約を締結することに対して、サブリースの場合、オーナーとサブリース会社が賃貸契約を締結した先に、サブリース会社が入居者を再度賃貸契約を締結して、転貸ということになります。

しかし、サブリースにする場合、通常の家賃相場の9割前後になるケースが多く、手取りの家賃が減るというデメリットがあります。例えば、家賃相場が10万円の物件をサブリースにした場合、本来10万得られるのに対して、サブリースにすることによって、9万になってしまい、年間では12万の収入減になります。従って、サブリースは多少家賃収入が減ってもいいので、安定した家賃収入を得たい方にオススメします。

管理方法

契約形態

入居者との契約者

サブリース

オーナー → サブリース会社 → 入居者

サブリース会社

管理委託

オーナー → 入居者

オーナー

②その他空室対策

  • 駅徒歩10分以内物件に投資する(東京23区内の場合)
  • 入居者募集に強い管理会社を選択する
  • 駅徒歩10分以内物件に投資する(東京23区内の場合)

賃貸物件を探されている方は、やはり最寄り駅から近い物件を好みます。従って、最寄り駅から徒歩10分以内を一つの目安に物件を選ぶといいでしょう。最寄り駅の周辺にスーパー・コンビニ・病院などといった、生活に必要な施設が多いのもプラスポイントになります。

また、物件の資産価値という観点では。駅近なら需要が高く、値崩れもし難いといえます。そして地価も駅に近い方が安定しているため、駅に近いほど資産性が高いといえます。

③入居者募集に強い管理会社を選択する

空室期間をできるだけ短くするには、賃貸募集に強い管理会社を選ぶことも大切です。

集客力が高い不動産会社の特徴

  • 会社の方針・状況・理念そのものが、対象とする地域に精通している
  • 賃貸募集に対するノウハウがある
  • 電話問い合わせして担当者不在の場合、具体的な時間帯など合わせて折り返すなどの対応方法をとる
  • 管理している物件数が多い
  • 会社設立年数が長い
  • ネット上や知り合いから良い評判が聞かれる会社

地方不動産の空室に対する懸念と可能性

一方、人口が減っている日本は、地方不動産の空室リスクはどうでしょうか?

①過疎化・産業の空洞化による懸念

福岡市・大阪市・名古屋市・東京都などといった都市への産業集中により、地方の過疎化・産業の空洞化に対する懸念はここ5年間10年間で慢性的に傾向が高くなってきています。地方自治体はあの手この手で企業誘致をするなどして、人口流出歯止め・産業再発展を図っていますが、一部の地方自治体以外は、著しい改善・進展がみられているとは言い難い状況があります。

とは言え、地方でも住居に対する需要ニーズはあるわけですから、きちんとエリアの需要ニーズに合った物件を選ぶことができれば、空室リスクを最小限におさえることはできるでしょう。地方部への移住傾向を確認することも大切です。

金利上昇リスクと対策

金利上昇リスク

今は市場最低金利と言われるほど金利は非常に低いのです。しかし、不動産投資の融資は数十年も渡りますので、つまり、返済期間中に金利が上昇するリスク非常に高いのです。

仮に不動産投資を銀行から1億円の融資を受けたとします。金利2%・期間30年(ボーナス返済なし)で計算した場合、月々返済額(利子含め)は30数万円になります。

しかし、金利が5%に上がったら、月々返済額(利子含め)が10数万円程度増えることになります。万が一金利が上昇した時を想定して、今の家賃収入で返済できるかどうかシミュレーションすることが非常に重要です。

融資への返済が滞るとなると、最悪な場合は銀行の差し押さえを受け、自己破産まで追い込まれる可能性も十分に考えられます。

対策

①金利リスクを想定した事業計画

金利というのは自力ではコントロールできない要素です。事前に金利が上昇したことを想定して、シミュレーションを作ることが非常に大切です。

②自己資産を多く持つ

万が一金利が上昇して返済額が増えた時に備えて、自己資金をできるだけ多く持つことは安心できるでしょう。

金利上昇だけではなく、物件を所有しているだけで、エアコンが壊れたなど設備が壊れたり、オーナー負担で修理するケースも多く発生しますので、そういった時にも備えて自己資金を多く持つことが必要と言えるでしょう。

③固定金利を選択する

現在の不動産投資向け融資条件を分析すると、固定金利を利用できるのは日本政策金融公庫など一部を除いてはほとんどありません。期限は3年~10年が一般的です。

固定金利は金利が固定されていてキャッシュ・フローの算出がしやすいというメリットがありますが、固定金利も上昇するリスクはゼロではありません。また、固定金利は変動金利より高く設定されていることから、金利への支払いが多くなるというデメリットもあります。固定金利がいいのか、変動金利がいいのか、事前にきちんと返済シミュレーションをするようにしましょう

1.255年ルールの商品を選ぶ

金利上昇リスクに備えるために、1.25倍5年ルールの商品を選ぶことが大切です。

1.25倍5年ルールの商品とは、金利上昇になった時も、5年までは金利上昇せずに、5年を超えたときは、返済額は最高1.25倍までというルールです。全ての融資商品が対応しているわけではないので、事前に確認するようにしましょう。

管理会社倒産リスク

不動産投資オーナーの方には、個人で管理している方もいらっしゃいますが、ほとんどの方はプロである管理会社に管理を委託されています。

管理会社倒産の際のリスク

可能性は高くないですが、管理会社が倒産するリスクもあります。

①家賃の回収ができなくなる

家賃の回収を管理会社へ委託していた場合、入居者から一旦管理会社に入金して、管理会社は管理手数料を差し引いた金額をオーナーの口座に入金されます。つまり、管理会社が倒産することによって少なくとも1ヶ月以上の家賃の回収ができなくなる可能性があります。

従って、管理会社に依頼しているから安心するのではなく、毎月の入金日にちゃんと入金されたかの確認を必ずするようにしてください。倒産する前の会社は、入金が遅れることは一つの兆候として挙げられますので、ご自身で気づくことも大切です。

②新しい管理会社を探す手間が発生する

新しい管理会社を探すというのは、意外と手間暇がかかる傾向もあります。管理実績が高く評判も良い会社を見つけても、引き受けてもらえない・引き受けてもらうのに時間がかかるといったケースもあり得ます。

1社に限らず複数社に同時に問合せしてみてください。

信頼できる管理会社の探し方

信頼できる管理会社の特徴として下記の事項が考えられます。

  • 管理実績が高い
  • 対象としている地域の様々な事情(経済情勢・治安など)に詳しい
  • 複数の観点から、複数の契約内容を提案してくれる
  • 質問にはスムーズに回答してくれる
  • 依頼する側の都合・事情を親身に鑑みてくれる
  • ネットなどでみられる評判が良い

避けておきたい不動産会社の特徴

①管理実績に欠ける

管理実績は、管理戸数入居率が一番わかりやすい数値です。ただ、入居率に関しては、何を基準にして計算されるかによって大きく異なりますので、担当者に詳しく確認するといいでしょう。

②管理戸数に対して十分なスタッフが確保できていない

管理担当者が何人いるのか・一人の担当者が何戸管理しているのがポイントとなります。

天災リスクと対策

不動産投資において、地震などの天災も懸念事項といえます。管理会社選定などと異なり、地震は自力でコントロールできません。

地震によるリスクとしては倒壊リスク・2次災害の火災などによるリスクが考えられます。

新耐震基準について確認

新耐震基準では「震度6~7の揺れで倒壊しないこと、震度5強程度の揺れでほとんど損傷しないこと」と規定されていますので、この点の確認が必要です。

従って、新耐震基準に満たした物件を選ぶことは一つの回避策と言えます。

対象物件エリアの地盤状況

「揺れやすい地盤」などのサイトで、対象物件エリアの地盤が地震に対してどのような性質なのか確認しておくのも必要です。

地盤が弱いエリアは、基礎工事はしっかりしていると言われていますが、心配な方は避けておといいでしょう。

保険に加入

当然という感覚になるかもしれませんが、地震保険・火災保険など損害保険への加入も損害防止・損害を最小限にとどめるのには必要です。

万が一な時に備えて、きちんと保障が出ますので安心でしょう。

分散投資する

複数の物件を投資対象と考えている場合は、エリアを集中させずに分散させると地震が起きた際のリスクは軽減されると考えられます。

人口減と不動産投資への懸念

日本の人口減少はすでに起きています。また、全国の空室リスクも上昇しているというデータもありましたが、これから不動産投資をするリスクが高まるのではないかと心配されている方も多いでしょう。

簡単に結論を言いますと、要は入居ニーズが高いエリア、そのエリアの需要に合った物件を選ぶことができれば、回避できるリスクではないかと考えています。

衣・食・住は、我々が生きていく中でどうしてもなくてならないモノです。つまり、住むところとして不動産は絶対に需要があります。不動産投資で失敗する方は、住居ニーズが高くないエリアを選んだり、ムリした物件を購入したりなど様々な理由がありますので、単純に空室だけで失敗しているわけではありません。

従って、不動産投資のリスクをきちんと認識した上で、きちんと回避策を立てることが成功への近道と言えるでしょう。

まとめ

以上不動産投資のデメリットについて述べてきました。不動産投資にはデメリットはありますが、しかし、事前にデメリットを把握し、回避策を立てることによって、リスクを最小限におさえることができます。

ぜひ、こちらの記事を参考にしていただけますと幸いです。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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