不動産売却

不動産を売却するための必要書類とは?売却時や契約時など詳しく解説

2020/04/03
不動産を売却するための必要書類とは?売却時や契約時など詳しく解説

「不動産を売却するときに必要となる書類が分からない」と悩む人はいるでしょう。不動産を売買するには複雑な手続きがあり、売主や不動産に関連したさまざまな書類を用意することが必要です。

契約するときに必要書類がなければ、買主とのトラブルの原因になります。スムーズな取引を実現するために、不動産を売却するための必要書類とそれを用意する方法を知っておきましょう。

不動産売却には3分類の書類が必要

フリマアプリで不用品を売るのとは違い、不動産の売却では物件の情報などが記載された複数の書類が求められます。実際に不動産を売却するには以下の3分類の書類が必要です。

  1. 売主に関する書類
  2. 売却に出すときに必要な書類
  3. 契約を締結するときに必要な書類

それぞれのポイントにおける必要書類を具体的に説明します。

売主に関する書類

不動産の取引は高額となる傾向があり、買主としては売主の信頼性を確認したいものです。信頼性の確認だけでなく、不動産会社が契約を締結するためにも、以下3つの書類が求められます。

  1. 身分証明書
  2. 実印と印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
  3. 住民票(発行日から3ヶ月以内のもの)

不動産売却の契約段階に入る前に、これらの証明書を用意しておきましょう。

売却に出すときに必要な書類

不動産会社に仲介して物件を売却する場合、より良い条件で売却するには、物件に関する情報が記載された書類等をできる限り会社に提出するようにしましょう。具体的には以下の書類が挙げられます。

  1. 登記事項証明書
  2. 物件の図面
  3. 登記識別情報
  4. 建築確認済証
  5. 固定資産税納税通知書
  6. 重要事項説明書
  7. 土地測量図と境界確認書
  8. マンションの管理規約
  9. 耐震診断報告書
  10. 新築販売時物件のパンフレット

各書類を用意する方法は「3.売却に出すときに必要な書類」にて記載しています。スムーズに売却手続きを進めるために、あらかじめ必要書類を用意しておきましょう。

契約を締結するときに必要な書類

売りに出している不動産の買主が見つかり、契約を締結するときには以下3つの書類が必要です。

  1. 登記識別情報
  2. (残債が残っている場合)ローン残高証明書
  3. 銀行の通帳やキャッシュカード

また、不動産会社を仲介せずに契約を締結した場合、「売主に関する書類」や「売却に出すときに必要な書類」も必要です     。

各書類を用意する方法は「4.契約を締結するときに必要な書類」にて記載しています。不動産会社との契約が有る場合と無い場合で、必要書類を提出するタイミングが異なることを知っておきましょう。

売主に関する書類

売却の依頼や契約の締結時など、不動産の売却では売主に関する書類が必須です。どのような書類が必要となるのか、詳しく解説します。

身分証明書

不動産会社と契約を結ぶときや登記手続きで必要となるのが身分証明書です。運転免許証やパスポートなどの顔写真が付いた身分証明書を用意しましょう。もし顔写真が付いていない身分証明書しか持っていない場合、2点以上の証明書が必要となる場合があります。

実印と印鑑証明書

不動産売却における契約手続きを進めるには、実印と印鑑証明書も必要です。役所に登録していない印鑑では手続きできない可能性が高いため、実印を持っていない人は登録しておきましょう。

自分が持っている印鑑を登録するには、お近くの役所における窓口で手続きできます。印鑑を登録したら印鑑登録カードを受け取れて、そのカードで印鑑証明書を発行することも可能です。

なお、印鑑証明書は発行日から3ヶ月以内のものである必要があります。期限について注意しましょう。

住民票

買主と契約を締結するとき、売主の現住所と登記上の住所が異なる場合に住民票が必要となります。お住まいの役所における窓口で申請するか、郵送申請や電子申請で住民票を請求することで用意できるものです。

住民票を申請するには身分証明書や交付請求用紙が必要となります。郵送申請する場合は手数料を支払うための小為替や、書類を取り寄せるための返信用封筒も用意しましょう。

なお、住民票は発行日から3ヶ月以内のものである必要があります。期限について注意しましょう。

売却に出すときに必要な書類

不動産会社に依頼して物件を売却する場合、不動産に関する以下のような書類を提出しましょう。どのような書類が必要となるのか、詳しく知っておきましょう。

登記事項証明書

登記簿謄本の情報がコピーされた書類を登記事項証明書と呼びます。登記事項が詳しく記載された書類であり、売却に出すときに登記事項証明書を提出することが必要です。

用意するには法務省のオンラインによる登記事項証明書等の交付請求で申請する方法があります。また、最寄りの法務局の窓口で登記事項証明書を申請することも可能です。

物件の図面

売主が売却する不動産の間取りや設備を会社が把握するために、物件の図面が必要となります。不動産の購入時に売主や不動産会社から渡された図面を手元に用意しておきましょう。

登記識別情報

登記識別情報は登記申請が完了した人に対して送付される証明書です。不動産の所有者であることを示すのに必要な書類であり、不動産を売却するときに用意しなければなりません。

不動産を購入した際に登記識別情報は受け取れるものであり、再発行することは不可能です。もし登記識別情報を失くしてしまった場合は、不動産会社と相談しましょう。

建築確認済証

不動産が建築基準法を守って建築されていることを証明するのが建築確認済証です。一般的には物件を購入したときに、建築確認済証を売主や不動産会社から受け取れます。

もし建築確認済証を失くしてしまった場合は、役所で台帳記載事項証明書を発行しましょう。台帳記載事項証明書には確認済証の記録があるため、建築確認済証の代用として活用できます。

固定資産税納税通知書

不動産を売却するときには固定資産税を買主と清算する必要があり、費用算出のために固定資産税納税通知書が求められます。毎年5月頃に公的機関から送付されるため、売却前に通知書をチェックしましょう。

重要事項説明書

不動産を売買するには買主に対して重要事項を説明する必要があり、その説明のために重要事項説明書が必須となります。重要事項説明書は以下のような要素が記載されているものです。

  • 登記事項に記録された内容
  • 不動産の私道に関連した負担の内容
  • 水道水や電気、ガスの供給設備や排水設備の整備状況
  • 建物の建築が完了した時点での不動産の形状や構造などの状況

上記の不動産に関する事項だけでなく、取引条件やその他の事項に関することも記載されています。売主にも買主にも不利益を生まないために、重要事項説明書の役割は重要です。

不動産を購入したときに重要事項説明書は受け取れるものであり、再発行するのは基本的に不可能。もし失くしてしまった場合は重要事項説明書がない旨を不動産会社に伝えましょう。

土地測量図と境界確認書

不動産の土地における境界線を証明するのに必要なのが土地測量図と境界確認書です。取引でトラブルを引き起こさないために、戸建てを売却する場合に必要となります。

土地測量図は登記事項を取り扱う法務局で発行してもらうことが可能です。お近くの法務局で窓口申請するか、登記・供託オンライン申請システムで申請することにより書類を取得できます。

境界確認書は土地家屋調査士事務所に相談することで、専門家が書類を作成してくれます。もし不動産の境界が曖昧である場合は、売却前に専門家の調査を依頼することがオススメです。

マンションの管理規約

マンションのお部屋を売却する場合、不動産会社からマンション管理規約の提出が求められます。マンションの管理規約には以下のような記載があり、売却するのに必要な情報だからです。

  • 敷地や建物などの範囲
  • 専有部分と共用部分の範囲
  • マンションの各区分所有者が保有する共有持分の割合
  • 専用使用権の範囲
  • マンションの使用に関連した詳細なルール
  • 管理組合や理事会、会計などに関連した事項

マンションの管理規約は区分所有者が申請することで取得できます。買主にマンションの使用ルールなどを確認してもらうために、前もって管理規約を用意しましょう。

耐震診断報告書

大きな地震が発生したときに不動産が倒壊しないかチェックするために、耐震診断が実施されている場合があります。もし売却する物件が耐震診断を受けている場合、不動産会社に耐震診断報告書を提出しましょう。

2000年5月以前に建築された物件は耐震性が劣る場合があり、建築士による耐震診断を行っておくことで買主への信頼性に繋がります。古い不動産を売却する人は建築士に依頼して、耐震診断報告書を用意することがオススメです。

物件のパンフレット

不動産を購入するときに参考として利用したパンフレットやチラシなどがあれば、それらの資料も提示しましょう。物件を買主にアピールするときにパンフレットは役に立ちます。

契約を締結するときに必要な書類

物件の売却を不動産会社に依頼することで、問題がなければ買主が見つかります。実際に不動産を売買するには契約を締結する必要があるため、以下3つの書類を用意しましょう。

  1. 登記識別情報
  2. (残債が残っている場合)ローン残高証明書
  3. 銀行の通帳やキャッシュカード

なぜこれらの書類が必要になるのか、詳しく解説します。

登記識別情報

不動産の所有者を他人に移すには、登記申請による手続きが必要です。登記識別情報は登記申請するために必要な書類であり、売買を成立するために使われます。

もし登記識別情報を持っていない場合は、司法書士に本人確認書類の作成を依頼することで登記申請が可能です。また登記識別情報を記載せずに申請して、後日に届く通知書類に従って手続きを進める方法もあります。

(残債が残っている場合)ローン残高証明書

売却する不動産にローン残高が残っている場合、買主に知らせるためにローン残高証明書を用意しましょう。証明書の代わりにローン返済予定表を用意しても大丈夫です。

銀行の通帳やキャッシュカード

不動産の売買では現金の振込によって料金が支払われることが多く、契約締結時には売主の銀行口座情報が必要となります。口座情報が記載された通帳やキャッシュカードを契約時に持っておくと良いですね。

まとめ

不動産を売却するには身分証明書だけでなく、不動産や権利に関するさまざまな書類が必要です。大半の書類は役所及び法務局に申請することで取得できます。

また、耐震診断報告書やパンフレットなど、保有していなければ提示が不要な書類もあるのです。もし用意すべき必要書類がなければ、不動産会社や買主と書類について相談しましょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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