不動産投資とは

区分マンション投資をするメリット・デメリットを徹底解説

2020/01/15
区分マンション投資をするメリット・デメリットを徹底解説

一棟投資物件の融資が厳しくなり、「区分マンション投資」を検討される方が増えたのではないでしょうか。

一棟投資物件と比較して、区分マンション投資にはメリットがあれば、デメリットもあります。成功するには事前に知っておくことが非常に重要です。

今回は、そんな区分マンション投資を検討している人に向けて、メリット・デメリットを徹底解説していきます。

区分マンションのメリットとは?

まず最初に区分マンション投資のメリットをみていきましょう。区分マンション投資のメリットは以下の点が挙げられます。

  1. 共用部の管理と修繕の手間がない
  2. 耐用年数が長い
  3. 物件数が多い
  4. 物件価格が安い
  5. 建物の修繕費用を分散できる
  6. 複数所有することによってリスク分散ができる

共用部の管理と修繕の手間がない

区分マンション投資の1つ目のメリットは、共用部の管理と修繕の手間がないという点です。というのも、区分マンションの場合は、建物全体の管理と修繕は、管理会社にて対応してもらえます。

オーナーから組成される管理組合が管理会社を選定し、その管理会社が長期修繕計画を策定することで、管理費や修繕積立金が決まるという仕組みです。

そして、決められた管理費と修繕積立金を、持ち分によって部屋ごとの所有者が支払うという流れになります。

つまり、区分マンションであれば、基本的に管理会社が主導して管理・修繕費用の設定や徴収を行うので、建物全体の管理に関してはオーナーはほとんど手間がかからないのです。

一方、一棟投資の場合は自分で管理会社を選定し、かつ修繕内容や修繕時期などもオーナーが決めなければいけません。

耐用年数が長い

区分マンション投資の2つ目のメリットは、耐用年数が長いという点です。

建物の法定耐用年数は以下のように構造によって決まっています。

  • 木造:22年
  • 軽量鉄骨(厚さ3mm以下):19年
  • 軽量鉄骨(厚さ4mm以下):27年
  • 重量鉄骨:34年
  • 鉄筋コンクリート(RC)造:47年

参考:【東京都主税局】減価償却期間の耐用年数表

区分マンション投資は一般的にはRC造のものが多いため、耐用年数は長いです。

耐用年数が長いということは、単純に建物の寿命も長いので、築年数が経過していても物件価値が付きやすいです。

また、経費として計上できる費用の中に「減価償却費」というものがあり、この減価償却費用は耐用年数が長い方が計上できる期間も長いです。

つまり、耐用年数の長いRC造の区分マンションは、減価償却費用の計上期間が長く、節税効果が高い投資ということです。

物件数が多い

区分マンション投資の3つ目のメリットは、物件数が多いということです。

たとえば、大手投資物件のポータルサイトで、種別ごとの物件数を検索すると以下のような結果でした。

  • 区分マンション:27,631件(全体の44.2%)
  • 1棟マンション:10,031件(全体の16%)
  • 1棟アパート:14,731件(全体の23.5%)
  • 戸建:3,919件(全体の6.2%)

このように、区分マンション投資は全体の半数近くにものぼり、圧倒的な数があることが分かります。とは言え、ポータルサイトの更新スピードが少し遅いので、あくまでも参考程度で使って頂ければと思います。

物件価格が安い

区分マンション投資の4つ目のメリットは、一棟物件と比較して区分マンションは物件価格が安いという点です。

もちろん、築年数やエリアにもよりますが、同じ場所に同じ条件(構造や築年数など)の一棟マンションと区分マンションがあれば、当然ながら区分マンションの方が安価です。

建物の修繕費用を分散できる

区分マンション投資の5つ目のメリットは、建物の修繕費用を分散できる点です。

上述のように、区分マンションの場合は、マンション全体の修繕は全てのオーナーが負担して修繕積立金をみんなから徴収しています。

つまり、その修繕積立金を建物共用部(外壁や共用廊下など)などの修繕に充てるため、一人が修繕費用を負担するわけではありません。そのため、実質は修繕費用の支払いを区分所有者全員で分散しているということです。

一方、一棟投資の場合はそのマンションを保有している人が修繕費用を負担するため、費用の分散ができません。

複数所有することによってリスク分散ができる

区分マンション投資の6つ目のメリットは、物件を複数所有することによって以下のリスクを分散できるという点です。

  • 空室リスク
  • 家賃下落リスク
  • 自然災害のリスク

仮に、複数物件所有すれば、空室になってもほかの部屋の収益でカバーできます。

また、エリアを分散して物件を保有しておけば、仮にそのうちの一つのエリアの価値が下がり家賃が下落しても、ほかのエリアの物件には関係ありません。

そして、エリアを分散しておけば、自然災害のリスクも分散できるというメリットもあります。

区分マンションのデメリットとは?

一方、一棟投資物件と比較して、区分マンション投資には以下のデメリットがあります。

  1. 物件あたりの収益が小さい
  2. 中古の場合、購入後すぐに修理費が発生する場合がある
  3. ほとんど土地の所有分がない

物件あたりの収益が小さい

区分マンション投資の1つ目のデメリットは、一棟投資に比べて1物件あたりの収益が小さい点です。一棟投資であれば、物件取得費用が大きいものの、部屋が複数あるので収益額は大きくなります。

たとえば、1億円の一棟マンションを購入した場合と、1,500万円の区分マンションを購入した場合で、どちらも利回りが6%であれば、収益は以下の通りです。

  • 一棟マンション:1億円×6%=年間600万円
  • 区分マンション:1,500万円×6%=年間90万円

もちろん、上記は運営に成功しているという前提であり、一棟物件の方が運営に失敗した場合の損失も大きくなります。

中古の場合、購入後すぐに修理費が発生する場合がある

区分マンション投資の2つ目のデメリットは、中古の場合には購入後すぐに修理費が発生する場合がある点です。

特に、築古物件を購入すると、購入後に以下のようなケースが起きる可能性があります。

  • 給湯器が故障した
  • 水まわりの設備の一部が破損した
  • 壁面にクラック(ひび割れ)ができた

上記に関しては、故障や破損の原因が賃借人の故意や過失でない限り、そのマンションのオーナーが負担します。そのような事態に備えて、資金を用意しておくといいでしょう。

ほとんど土地の所有分がない

区分マンション投資の3つ目のデメリットは、ほとんど土地の所有権がない点です。

マンションは、土地を区分所有者全員で共有している上に、土地だけを売却したり、個人の判断で用途変更したりできません。

たとえば、土地も自分で所有するアパート経営などであれば、「駐車場にする」や「増改築する」などの判断が個人でできます。

一方、区分マンション投資はこのような判断ができないので、その点はデメリットといえるでしょう。

優良な物件を選ぶポイント

ここまで読んで頂ければ区分マンション投資のメリット・デメリットを分かって頂けたでしょう。最後に、優良な物件を選ぶポイントを解説します。

  1. 管理状況の見極め
  2. 長期修繕計画書の確認
  3. リスク管理

管理状況の見極め

まずは、以下のような点をチェックし、管理状況を見極めましょう。

  • 共用部の使い方
  • 共用部の清掃状況
  • 管理人の態度

「マンションは管理を買え」という言葉があるくらい管理は重要です。たとえば、ゴミ置き場にゴミが溢れかえっていたり、自転車置き場の使い方が悪かったりすれば、そのマンションの管理会社のルール作りが甘いか注意喚起をしていません。

また、清掃状況が悪いのであれば、管理会社の清掃の質が悪いか、そもそも清掃頻度と内容が悪い可能性があります。

いずれにしろ、このような点は賃付けのときに影響してくるので、物件取得時は必ずチェックするようにしましょう。

長期修繕計画書の確認

上述のように、マンション共用部の修繕は、管理会社が長期修繕計画書を策定し、その計画に従います。その計画書が甘いと、結局修繕しきれずに資産価値がどんどん下がっていくリスクにつながるのです。

そのため、区分マンション購入前に、そのマンションの長期修繕計画は必ず確認しましょう。

とはいえ、長期修繕計画の質を見極めるのは大変なので、国土交通省が出典しているガイドラインを参考に、修繕の項目に過不足がないか?などを確認することをおすすめします。

参考:
【国土交通省】長期修繕計画標準様式
【国土交通省】計画修繕ガイドブック

リスク管理

最後に、リスク管理について以下を確認しておきましょう。

  1. 需要があるエリアかどうか(人口動態など)
  2. 災害リスクの確認(ハザードマップなど)

①需要があるエリアかどうか(人口動態など)

まずは、需要があるエリアかどうかを、以下のようなデータを参考にして調べましょう。

  • 人口推移
  • 最寄り駅の乗降客数

不動産投資の需要は、そのエリアの人口が重要であり、人口が増加していくということは賃借人も増加していくということです。そのため、行政のホームページなどで人口推移を確認し、今後の需要を予測しましょう。

また、鉄道会社のホームページなどで、最寄り駅の乗降客数を調べることも重要です。というのも、その駅の需要(≒人気≒家賃相場)を端的に表しているのが乗降客数なので、乗降客数が多いほどニーズのある駅だからです。

不動産において「最寄り駅」は非常に重要なので、その駅の需要も調べておくことが重要です。

②災害リスクの確認(ハザードマップなど)

次に、そのエリアの災害リスクも調べておきましょう。自然災害はコントロールできない要素ですが、行政が出典しているハザードマップや液状化マップ、地震に関する地域危険度一覧表などでリスクを予測することはできます。

まとめ

このように、区分マンションには「安価である」「リスク分散できる」などのメリットがある一方で、「1物件あたりの収益が小さい」などのデメリットもあります。

大事なのは、上述したメリット・デメリットをきちんと理解した上で投資を検討することです。

そうすれば、自分に合った投資ができ、成功する可能性が上がるでしょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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