ワンルームマンション投資という不動産投資法をご存知の方も多いかと思います。不動産投資の中では比較的始めやすいもので、多くのサラリーマンの方がワンルームマンション投資を行っています。
しかし、実際に失敗された方もいます。ここではワンルームマンション投資を成功するために知っておきたい基礎知識から必要な費用、物件の選び方やメリット・デメリットまで、詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお読みになって、ワンルームマンション投資を行う際に役立ててください。
ワンルームマンション投資とは、単身者用のワンルームマンションを一戸から複数戸購入し、その家賃収入で利益を得ることを言います。
最初は不動産投資ローンを組んで一戸購入し、ローン残高が減少し運用が軌道に乗ったら次の一戸を買い増ししていく、という手順で所有する物件を徐々に増やしていく方法をとることが一般的です。
年金だけでの老後生活に不安が広がっている中、長期に渡り資産形成が適しているワンルーム投資を活用し、毎月安定した家賃収入を私的年金として老後の生活費の足しにしたいと考えている方、円安がどんどん進んでいる中で、インフレ対策としてワンルームマンション投資を考えている方など、様々な理由でワンルーム投資に人気を集めています。
不動産投資における利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」の二つがあります。>表面利回りは(家賃収入÷物件価格)×100で算出され、実質利回りは(年間収入-必要経費)÷(物件購入価格-物件購入時の諸経費)×100で算出されます。一般的には表面利回りは概算利回りであり、実質利回りはより正確な利回りとなります。
ワンルームマンションの東京都城南地区における想定利回りは不動産投資家調査によると、2018年4月現在で4.4%となっており、全国の主要都市における想定利回りは4%から5%の間を推移しています。
参考:http://www.reinet.or.jp/?page_id=172
この想定利回りが都心の方が低く、その他の都市ではやや高い傾向にるのは、都心の地価の価格が高いことに原因があります。家賃水準は地方都市と都心ではあまり変わりませんが、ワンルームマンションの価格が都心のほうが高額になるため、都心におけるワンルームマンションの利回りがやや低くなるのです。
ワンルームマンション投資にはさまざまなメリットがあります。ここではそのメリットについて紹介していきます。
ワンルームマンション投資は不動産投資の中では、比較的少額の自己資金で始めることができる点がメリットであるといえます。
融資を受ける審査基準も一棟投資物件を比較して低くなっていますので、融資は受けられやすいと言えます。
日本は年々晩婚化が進み、単身者が住むワンルームに対する需要が増えています。単身者のニーズを満たすことができる物件を購入すれば、長期にわたり安定した家賃収入が期待できます。そのためには、単身者に人気のエリアにある物件を選ぶことが重要です。
不動産投資ローンを組む際に、ほとんどの場合団体信用保険への加入が義務付けられています。この団体信用保険に加入しておけば、不動産投資ローンの契約者に万が一のことがあった場合、その後のローン返済が免除されます。ですので、残された遺族にその後の生活の糧となるワンルームマンションを残すことが可能です。
不動産は相続の際に、実際の売買価格ではなく路線価などの相続税の課税評価額で評価されます。投資用物件の相続税の課税評価額は居住用の物件よりさらに低い価格になるため、最終的には実際の売買価格の三分の一程度の評価になります。
この相続時の課税評価額に対して相続税が課せられるので、時価で評価される現金や有価証券で財産を持っている場合と比べて、相続税を節税することが可能です。
前章ではワンルームマンション投資のメリットについて解説していきましたが、ワンルームマンション投資にはデメリットもあります。ここではそのデメリットについて解説していきます。
ワンルームマンション投資を行うにあたり、一番注意すべき点は収支のバランスです。家賃収入よりも不動産投資ローンの返済やその他の経費の合計が上回っていれば、利益を上げることはできません。
そうなると利回りはマイナスになってしまうため、事前に十分なシミュレーションを行い急な出費にも耐えられるよう収支のバランスを取っておくようにしましょう。
投資用マンションは経年劣化や、周囲の環境の変化による眺望の悪化などで資産価値が下がることがあります。それに伴い家賃を下げる必要が出てくることもあるでしょう。
このような物件自体の資産価値の下落についても注意しておくようにしましょう。
今の不動産投資ローンの金利は史上最低と言われています。長期に渡り融資を受けている場合、返済期間中に金利が上昇してしまうリスクは十分にあると考えられます。
変動金利で不動産投資ローンを組む際には、金利上昇リスクも念頭に入れておきましょう。
不動産投資における出口戦略とは、その物件をいつ売却すればトータルで利益が得られるかといった戦略のことです。
ワンルームマンション投資に限らず不動産投資を行う場合には、その物件を手放したときにトータルでいくらプラスになったかという点を重視しなければなりません。
購入時に高利回りが予想される物件であっても、資産価値が下がりやすく売却時(出口)に大きく資産価値が下がる可能性があれば、投資用として購入することはお勧めできません。
家賃収入から得られる利益と、その投資用物件を売却した場合の価格を合計した金額が、初期費用やそれまでかかった諸費用を上回る時点で売却することを考えておかないと、トータルで損をすることになってしまいます。
新築ワンルームマンションとは建てられたばかりでまだ誰も居住したことがない物件のことを言います。つまり「建てられて一年未満の物件であり、まだ使用されていない物件」のことです。
そしてそれ以外の物件のことを中古物件と呼びます。つまり、建てられて一年未満であってもすでに誰かが住んだことがある物件は中古物件として扱われます。
新築物件は物件自体の価値が高く、販売価格に販売する業者の利益が含まれているため販売価格が高額である点がまず一番の特徴です。それに対して中古物件は、新築物件と比較した場合、販売価格が低額になります。
中古物件は販売価格が低くなるため、高い利回りが期待できます。利回りが良いということは、得られるキャッシュフローが大きいということなので現金が蓄積される速さは新築物件より速いと考えることができるのです。
しかし、中古物件であっても都心など家賃が高い傾向にある場所に建っている物件の場合、築浅の物件は購入価格が新築とあまり変わらないため、利回りが新築物件とあまり変わらない傾向にあります。
また、不動産投資ローンを組む際にも購入しようとしている物件が新築物件であるか中古物件であるかによって、借り入れ可能な金額が変わってきます。
不動産投資ローンの契約者の年収や勤続年数が同じでも、物件の評価額は中古物件のほうが低くなることが一般的です。
そのため、物件自体の価値が高い新築物件のほうが高額の融資を受けることができ、時にはフルローンで物件を購入することが可能なケースもあります。また、金利も新築物件のほうが低くなることもあります。
建物には法定耐用年数というものがあり、新築マンションの法定耐用年数は45年となっており、30年や35年といった長いローンを組むことができるのに対して、中古物件の場合には、法定耐用年数から築年数を差し引いた期間の長さのローンしか組むことができないケースが多くなっています。
そのため、フルローンの利用ができない中古物件を購入する際に、月々の支払いを家賃収入以下に抑えるためには、まとまった金額の頭金を用意する必要があるのです。
なるべく綺麗な部屋に住みたいというのがほぼすべての入居者の希望であるため、多少家賃が高くても新築物件に人気が集まる傾向があります。
ですので、中古物件を購入いた場合には、比較的大掛かりなリフォームを行う必要が出てくることも考えられます。
そのため思った以上の出費が必要になることもあり、また一口に中古物件といっても築年数や間取りなどがさまざまであるため、投資スタイルを絞りにくいといった点もデメリットです。
中古物件には立地を選びやすいというメリットがあります。新築物件にこだわるあまり不便な場所に投資用ワンルームマンションを購入しても、低い家賃しか見込めないといったケースもあります。
反対に中古物件でも便利な場所にあれば、比較的高額な家賃収入を得ることができることもあるので、これは中古物件ならではのメリットであるといえるでしょう。
ここまで、新築物件と中古物件を比較してきました。それぞれにメリットやデメリットがあることがお分かりいただけたと思います。
では、新築物件と中古物件どちらがワンルームマンション投資に向いているのでしょうか?新築も中古にもそれぞれにメリットとデメリットがあります。利回りが少し低くくてもいいので、修繕などの諸経費をあまりかけずに長期にて所有したい方は新築物件に向いているでしょうし、やはり利回りを高く取りたい方は中古の方が向いているでしょう。
それぞれのメリットとデメリットをきちんと理解した上で、ご自身の投資目的に合ったタイプを選ぶようにしましょう。
ここでは、ワンルームマンション投資を始めるにあたって必要な初期費用について解説していきます。
当然ながらまず一番に必要になるのは投資用ワンルームマンション本体の価格です。これは新築物件か中古物件か、どのような場所にその物件が建っているかという点により大きく変わってきます。
この不動産仲介手数料は、不動産会社を利用して中古物件を購入する際に必要になる費用です。不動産仲介手数料は物件の価格により変わってきます。
物件の価格が税込売買価格で200万円以下の場合は5%、200万円をこえる部分から400万円までは4%(+2万円)、400万円を超える部分以上は3%(+6万円)が上限です。
この金額はあくまで上限として定められているものなので、不動産会社にとってはこれより安い仲介手数料で仲介を行ってくれる場合もあります。
なお、売主から物件を購入する場合仲介手数料がかからないので、初期費用をおさえるには売主から物件を購入するオススメします。
これは、不動産投資ローンを組む際に、利用する金融機関へ支払う費用です。金融機関によって定額制の場合と、組む不動産投資ローンの総額に対する定率制の場合があります。定額制の場合の相場は3万円程度となっています。
通常、金融機関において不動産投資ローンを組む場合には借主とは別に保証人を立てる必要があります。しかし、不動産投資ローンは金額が大きく返済期間も長いため、保証会社に保証を依頼することが一般的です。
保証会社は貸し倒れに備える必要があるため、保証料は数十万円程度と高額であることがほとんどです。
不動産投資ローンを組むにあたっては、その投資用物件が担保となるため物件が天災などにより無価値になることに備えて火災保険への加入を求められます。
鉄筋コンクリート造りのマンションは木造建築に比べて丈夫なので、安い金額で火災保険に加入することができます。
印紙代は売買契約書とローン契約書(金銭消費貸借契約書)でそれぞれ必要です。契約書に記載される金額により必要となる印紙代は異なるため、注意しましょう。
中古物件を購入する際には、所有権移転登記が必要です。この手続きに必要な費用は不動産価格の2%となります。
しかし注意すべき点は、ここでいう不動産価格とは売買する金額ではなく、固定資産税などの算出に用いられる路線価による不動産の評価額であるということです。
なお、新築物件の場合には所有権保存登記という手続きになります。また、不動産投資ローンを利用して投資用物件を購入する場合には抵当権の設定が必要です。これは借入額の0.4%が登録免許税として必要となります。
司法書士への報酬は、登記手続きや取引の立会い、抵当権設定、その他実費を含めて10万円前後です。手続き自体はどの司法書士に依頼しても同じなので、なるべく費用が安価な司法書士事務所を探して依頼することをお勧めします。
不動産取得税は、購入時に支払うものではなく、投資用物件の購入後3か月から6か月程度の期間が過ぎた後に納税通知書が届きます。
金額は平成20年4月1日から令和3年3月31までの間に物件を取得した場合、固定資産税評価額の3%となります。
この費用は、投資用物件を所有し続ける限り毎年支払う必要が出てくる税金です。
固定資産税は毎年1月1日に固定資産台帳に登録されている(不動産を所有している)人に対して課せられる税金です。納付時期は不動産が建っている市区町村により異なります。税額は路線価による不動産評価額(固定資産税評価額)の1.4%です。
都市計画税とは、物件を所有するすべての人が支払う必要がある税金ではありません。所有している物件が「市街化調整区域」にある場合に納付の義務が生じる税金です。
都市計画税は固定資産税評価額×税率(上限0.3%)の計算で求めることができます。この都市計画税の税率は、市区町村によって異なります。
不動産投資ローンを組むことで、少ない自己資金でもワンルームマンション投資を始めることができます。また、毎月のローン返済の金額を家賃収入以下に抑えることで、その差額を利益として手元に事すことができます。
しかし、不動産投資ローンを組む際には、現在の預金残高や年収、勤続年数により審査が行われます。この審査に受からなければ不動産投資ローンを組むことはできません。
今年の前半までは、年収が500万円以下であってもその他の条件により不動産投資ローンを組むことができる金融機関も存在しましたが、区分マンション投資の融資も少し厳しくなりつつであり、今ではやはり年収500万円がスタートラインになります。もちろん、年収が高ければ高いほど有利です。
基本的に金融機関は規模が大きくなればなるほど貸し倒れリスクを避けるために、審査が厳しくなります。しかし、審査が厳しい反面、大規模な金融機関は小規模な金融機関に比べて金利が低くなる可能性が高くなります。
ですので、自分の年収でも審査に通りやすく、なるべく低い金利で融資してくれる金融機関に融資を申し込むようにしましょう。
では、どのような方法を取ればワンルームマンション投資で成功する確率を高めることができるのでしょうか。以下にてそのポイントをピックアップしましたので、参考にしてみてください。
投資用ワンルームマンションは、自分が住まないため物件の価格や想定利回りなどの計算のみで物件を選選びがちですが、それでは入居者が決まりにくい可能性があります。まずは、自分でも住みたいと思えるような物件を探しましょう。
そのような物件の条件としては、以下のようなものが挙げられます。
利便性の高い場所に位置している物件を選びましょう。例えば駅などの公共交通機関の便が良い場所に建っていれば、入居者も決まりやすく、自ずと高額の家賃を設定することができ、高い利回りが期待できます。
これは特に中古物件に対して言えることですが、外観や室内に古さや痛みを感じさせない物件であることが重要です。もし、室内の痛みがひどいようであれば、リフォームを行い、可能な限り綺麗な物件にしましょう。
四階建てなのにエレベーターがない、水回りが古い三点ユニットであるなどの設備の場合、立地が良くても入居者を募ることが難しいことが予想されます。物件を選ぶ際には、このような設備が整ったものを選ぶようにしましょう。
近年では凶悪犯罪が増えていることから、しっかりしたセキュリティー対策が施されている物件に人気が集まっています。物件を選ぶ際には、しっかりしたセキュリティー対策が施されているものを選ぶとよいでしょう。
家賃を設定する前に、周辺の家賃相場を調べておきましょう。この周辺の家賃相場から大きく外れた家賃を設定してしまうと、入居者が決まりづらくなります。
ワンルームマンション投資を行う際には、長期的に見てどのような方法を取れば将来的に大きなリターンを得られるかが大切です。
ワンルームマンション投資には安い価格でワンルームマンションを購入し、価格が上奏した時点で売却するといった方法もありますが、この方法は素人には難しいでしょう。
ですので、あくまで長期的なスパンで運用することをお勧めします。
ワンルーム物件は、ファミリー層の多い郊外よりも、駅に近く利便性が高い地域のほうが需要が高い傾向にあります。ですので、投資用ワンルームマンションを購入する際には、単身者に需要が多い立地に建っている物件を選びましょう。
ワンルームマンション投資を行う前に、家賃収入とローン返済のシミュレーションを綿密に行っておくことも重要です。
ワンルームマンション投資は長いスパンで行うものなので、単純に家賃収入とローン返済の差額を計算するだけでは十分ではありません。
購入したワンルームマンションから得られる家賃収入から、ローン返済額、税金、管理費などの諸経費を差し引いた後に残る利益をシミュレーションしておく必要があります。
また、築年数が経過することにより家賃を下げる必要が出て来たり、空室リスクも考慮しなければなりません。
このようにさまざまな要素を頭に入れて、丁寧にシミュレーションを行いましょう。
ここまで、ワンルームマンション投資について詳しく解説してきました。ワンルーム投資を行う場合に必要な費用や物件の選び方、メリット・デメリットなどについてお判りいただけたと思います。
ワンルームマンション投資はあくまで投資なので、当然リスクはあり損をしてしまう可能性も考えられます。
そのような事態を避けるためにも、ワンルームマンション投資についてよく勉強し、シミュレーヨンを十分に行ってからワンルームマンション投資を始めるようにしましょう。