不動産投資において「現地調査」は非常に重要です。現地調査のポイントを知っておけば、物件の良し悪しを判断しやすくなるため、物件の収益性を測ることができるからです。
そこでこの記事では、投資用物件の現地調査におけるポイントを6つに絞って解説していきます。投資物件の購入を検討している方は参考にしてみてください。
現地調査でチェックすべき1つ目のポイントは、主要施設までのアプローチに関する以下の点です。
駅や商業施設までは必ず歩いて確認しましょう。歩いて確認することで以下のようなことに気づけるからです。
仮に、「駅まで徒歩5分」や「大型商業施設まで徒歩5分」という点が魅力の物件だとしましょう。しかし、実際は歩道が狭く坂道なので、体感時間は7~8分かかってしまうのであれば魅力は半減します。
つまり、実際に歩くことでその物件本来の魅力が分かるので、その物件の適正価格を見極めやすくなります。そのため、少なくとも最寄り駅や商業施設など、入居者が良く行く施設には必ず足を運んで確認しましょう。
また、現地調査をする前に、交通事故発生件数マップなどで交通事故のリスクをチェックしておきましょう。
たとえば、交通事故発生件数マップを見て、物件周辺のある地点だけ事故が多いとします。
その場合、その地点だけ「見通しが悪い」や「交通量が多い」などのデメリットがあるかもしれなく、現地をきちんと確認する必要があるのです。仮に、物件から駅までのアプローチにその地点がある場合は、物件のリスクになるので注意する必要があります。
現地調査でチェックすべき2つ目のポイントは、以下の点を意識して街の雰囲気をチェックすることです。
街の雰囲気をチェックするときは、曜日と時間帯を変えて見学しましょう。特に駅前は平日と休日、夜と朝では雰囲気が異なるからです。
たとえば、曜日や時間帯によって以下のような違いが考えられます。
前項のような違いは物件のデメリットにもなり得ますが、時間帯や曜日を変えて現地調査をしないと気づけないことです。
仕事が忙しく時間を作ることが難しい場合もあると思いますが、購入を本格的に検討しているのであれば時間をつくって調査しましょう。
また、検討している物件の反対口も確認が必要です。というのも、前項の「朝と夜」「平日と休日」のように、駅の出口が異なるだけで雰囲気が全く異なる場合があるからです。
仮に、その雰囲気が入居者にマイナスになるような雰囲気であれば、その点も考慮して物件を選ぶ必要があります。
現地調査でチェックすべき3つ目のポイントは、以下の点を意識して室内を隅々までチェックすることです。
投資用物件は「すでに入居中」の物件を購入するケースも多く、その場合は室内確認ができません。そのため、上記のチェックポイントは基本的に空室の物件を購入する場合と考えて下さい。
また、入居中の物件の場合は管理会社に過去の修繕履歴をチェックし、将来的に設備交換費用や修繕費用は「いつ」「いくらくらい」かかりそうか?を予測することが大切です。
意外と流し見してしまう箇所としては収納内が挙げられます。収納内は以下のようなリスクがあるのでしっかり確認しましょう。
まず、収納内は湿気が溜まりやすいので、カビなどで劣化していないかをチェックします。
また、ハンガーパイプの数や物置の大きさなど使い勝手を意識しましょう。というのも、投資用物件は単身用のコンパクトな物件が多いので、収納スペースが少なく、逆に収納はどれくらいの大きさか?をチェックする人は多いからです。
そして、収納は図面上で小さいか大きいかを判断できるので、図面に反映されたときの見栄えもチェックしましょう。
たとえば、ウォークインクローゼットと表記できるかできないかなど、実際は少しの差ですが間取り映えするかどうかは集客に大きな影響を及ぼします。
また、クロスやフローリングの細かい傷や汚れも確認する必要があります。入居者が退去するときの原状回復の費用は、経年劣化はオーナーが原状回復費用を支払うことになり、賃借人から請求できるときは「賃借人の故意・過失によるもの」だけだからです。
つまり、原状回復費用はオーナー負担になることも多いため、物件購入前に傷や汚れをチェックしておく必要があります。
この点を見落として購入してしまうと、結局原状回復の費用が高く付いてしまうリスクにつながってしまうのです。
水まわりも以下の理由で重点的に確認する必要があります。
水まわりはカビが発生しやすい上に、水垢などの汚れが目立つ部分です。
さらに、特に浴室やトイレは衛生的に気にする人も多いので、物件購入前の清掃状況は必ず確認しておきましょう。最悪の場合、物件の引渡し後に自らクリーニングの手配をすることになり、余計な費用負担が発生するリスクにつながります。
最後に、以下の設備の動作確認をしておきましょう。
上記は全物件に全設備が備わっているわけではありませんが、故障のリスクがある設備は全て動作確認をしておきましょう。
というのも、引き渡し直後に故障していたことが分かった場合、その故障が引渡し前なのか引渡し後なのか分からないため、売主に瑕疵担保責任を追及できるかどうか分からないからです。仮に、瑕疵担保責任を追及できたとしても、面倒な手間が増えてしまいます。
そのため、設備の動作確認をして、故障していないかを確認しておくことでリスクヘッジする必要があるのです。
現地調査でチェックすべき4つ目のポイントは、共用部の以下をチェックすることです。
まずは共用部の清掃状況を確認しましょう。というのも、共用部の清掃状況で管理会社の質が分かるからです。
区分マンションは管理組合(入居者で組成される組織)が管理会社を選定しており、その管理会社によって清掃内容・頻度などは異なります。
仮に、清掃が満足でない場合は、区分マンションであれば管理会社を変更するのは管理組合の承認がいるので厳しいと思っておきましょう。
仮にアパート経営だとしても、オーナーが依頼している管理会社の質が良いかどうかを見極める必要があるので、清掃状況の確認は必須といえます。
アパート経営の場合は自分主導で管理会社は変更できますので、もし質が悪ければ変更も可能です。しかし、その場合はアパート購入後に「管理会社の選定」という手間が増える点は認識しておく必要があります。
また、駐輪場や駐車場などの使い方も確認しておきましょう。仮に、所定の位置にきちんと停車していない自転車が多かったり、乱雑に停車していることが多かったりすれば、入居者のモラルは高いとはいえません。
モラルが低い物件であれば自分の部屋の賃借人とのトラブルリスクが高まるなどのリスクがあるので、共用部の使い方をチェックすることでリスクを測っておくことが重要です。
現地調査でチェックすべき5つ目のポイントは、以下のような周辺の嫌悪施設の確認です。
上記のような嫌悪施設があれば売主は重要事項説明書に明記すべきですが、売主側の抜け漏れも考えられます。その場合は、重要事項説明義務違反を追及できるものの、認められるか分かりませんし、何よりも時間がかかります。
そのため、自分の足で隈なく現地調査をして、嫌悪施設の有無は確認しておきましょう。
現地調査でチェックすべき6つ目のポイントは、境界杭の確認です。このチェックポイントは、投資物件では少ない「戸建て」の話になります。境界杭とは、隣地や道路との境界を確定させる杭のことです。
一般的な不動産売買の場合には境界杭の位置をきちんと確定させ、測量図に起こした上で売買することが一般的です。
ただし、境界杭が破損している場合などは、今一度境界杭を埋め込む作業が必要になるなど、費用負担が発生することがあるので、境界杭のチェックは必須というわけです。
境界杭のチェックは、仲介会社経由で実測図などをもらって行いましょう。
このように、不動産投資の現地調査はアプローチのチェックや、曜日・時間帯を変えてのチェックなど手間がかかるのも事実です。
しかし、不動産投資の成功の鍵は収益性の高い物件の見極めが鍵を握るので、現地調査は時間をかけて入念に行いましょう。