不動産投資とは

【徹底解説】不動産投資のレントロールとは?成功させるためにチェックすべき8ポイント

2020/08/31
【徹底解説】不動産投資のレントロールとは?成功させるためにチェックすべき8ポイント

「レントロールって一体どんな物?」

「レントロールを見るときに、注意するべきポイントとは?」

レントロールという言葉を聞いた時、上記のような疑問を感じたことはありませんか?

おそらく、不動産投資を考えたことのある方なら、一度は感じた事があるはずです。では、レントロールとはどのような物なのでしょうか?

レントロールとは、物件の賃貸契約の状態がわかる一覧表のことです。

「投資を成功させるために重要な利回り」や「将来の収支予測を計算するうえでとても重要な内容」が表記されています。

レントロール一つ見れば、その物件の賃貸状況がひと目でわかるため、不動産投資をするうえで非常に重要な書類といえます。

ただし、重要であるがために、改竄されることや悪い内容を表記しないなどの悪質な行為も少なくありません。

そこで、この記事では、「レントロールとは何なのか?」から「レントロールを見る上で注意するべきポイント」まで詳しく解説していきます。

不動産投資に失敗したくないという方は、ぜひ参考にしてみてください。

レントロールとは

冒頭でも述べましたが、レントロールとは、物件の賃貸契約の状態がわかる一覧表のことです。

各部屋の賃貸状況や賃料などがわかる書類で、物件の収益を判断するのに、利用されています。

表記内容

代表的な表記内容は以下の内容です。

  • 階数、部屋番号
  • 空室かどうか
  • 入居者情報
  • 入居日や契約開始日
  •  間取りや賃貸面積
  •  賃料
  •  共益費
  •  敷金や保証金

これらを見る上で、重要な事は、相場に合っているかどうかという事です

慎重に確認するようにしてください。

 レントロールの重要性

レントロールに表記されている内容は、その物件の現在の収益状況や将来の利回りなどを判断することができる重要な内容です。

不動産投資をする際には、どの投資家も必ずチェックをし、この書類から投資をするべきかどうかを決めるにあたって一つの参考データです。

ですから、不動産投資に成功するための判断材料として、最も重要な書類と言っても過言ではありません。

 レントロールを見る時の注意点

まず、注意すべき点は、レントロールの作成は法律で決められておらず、公式に決められた書式もないということです。

そのため、レントロールを作成していない会社や存在自体を知らない会社も存在します。

このような会社が、不動産投資を仲介するときには、細心の注意が必要です。

次に、注意してほしい点は、レントロールは物件を売りたいオーナーや不動産会社が作成しているという点です。

先ほど、説明したように、レントロールの表記内容は会社ごとに異なります。

つまり、不動産会社にとって物件を販売するさいに、不利益な情報を隠すことが可能ということです。

上記で紹介したレントロールに記載されている内容が記載されていなかった場合は、必ず確認するようにしましょう。

レントロールのチェックポイント8つ

不動産投資を成功させるために、絶対にチェックすべきところを8つ紹介していきます。

家賃にバラつきがないか

表記されている家賃の差が大きい場合には、注意が必要です。入居者の家賃は新築当初に入居した方が高く、築年数が経って入居した方が安い傾向にあります。

長く入居している人が退去してしまうと、家賃収入が下がる可能性があることを知っておいてください。

また、入居者の契約時期が一緒で、家賃の金額が違う場合には、事故物件の恐れやオーナーが知人に家賃を安く貸している可能性も考えられます。

そのため、家賃のバラつきとともに、入居者の契約開始時期も確かめることが重要です。

このように、家賃のバラつきを確かめることで、現状の収支予測がどれくらい精度の高いものかを判断することができます。

家賃が近隣の家賃相場に合っているか

表記されている家賃の相場が適正かどうかを確かめることが、とても重要になります。

なぜなら、家賃が近隣の家賃よりも安い場合でも、高い場合でも問題があるからです。

近隣の家賃相場が物件の家賃より高い場合には、家賃を下げないと入居者が集まらない物件の可能性があり、近隣の家賃相場が物件の家賃より安い場合には、現在の入居者が退去した後、更に家賃を下げないと、新規の入居者がこない可能性があります。

このように、家賃相場をみることで、物件の人気や家賃が適正かなどを把握することができます。

さらに、検討する際は、以下の内容に気をつけることで、より正確な物件の精査が可能です。

①    近隣物件を比較するポイント

1点目は、物件の間取りや構造、築年数、距離などの条件が、できるだけ近い物件で、比較することです。

なぜなら、条件が異なると、家賃も変動し、正確な比較ができません。正確な比較を行うために、条件を合わせるようにしてください。

②    空室時の募集家賃を確認する

2点目に、空室時の募集家賃も確認することです。

空室がある場合には、募集家賃が表記されているため、その家賃と比較をしてみてください。

念の為、実際にその部屋の募集内容をインターネットでも確かめるようにしましょう。

もし、空室がない場合には、入居した日が、一番新しい家賃と比較してみてください。

入居期間が長い場合は現在の募集家賃より、高い場合が多いので、最新の家賃相場も把握しておくといいでしょう。

このように、家賃相場をみることで、投資しようとしている物件の収支について、より精度の高い予測が可能になると言えます。

空室期間を確かめる

空室が多い場合や空室期間が長い場合は、物件に問題があることが少なくありません。

事故物件や部屋が破損しているなど、新規の入居者が入居しづらい要因がある可能性があるので注意してください。

もし、空室が目立っている場合には、不動産会社やオーナーに確かめるようにしてください。

入居者の属性を確かめる

入居している方の属性(法人や個人、性別など)についても、確かめなければいけません。

中には同一法人が複数の部屋を借りている可能性もあります。もし、同一法人が借りている場合には、社員寮として利用している可能性が高く、同一時期に、いなくなる危険性があります。

一度に退去されてしまうと、家賃収入が大幅に減少し、収支状況が悪化する可能性があるため、注意が必要です。

他にも、性別や年齢層を把握することで、物件の特徴が分かるということが挙げられます。

例えば、20代女性が多い場合には、女性向けの物件の可能性が高いです。

特徴がわかれば、その特徴がある物件と家賃などを比べることで、より詳細な物件の内容を収集できます。

このように、属性を確かめることで、危険性や物件の特徴を把握することが可能になるというわけです。

現オーナーの親族や知人の入居がないか

家賃が極端に低い部屋がある場合は、オーナーの知人や親族が入居していることが多いです。

そこで自分がオーナーになった場合には、家賃の値上げを交渉することができますが、とても手間がかかる可能性があります。

日本の法律では、オーナーよりも入居者が強い権利を持っているため、値上げ応じずに、揉めると考えておくべきです。

このように、現オーナーの知人や親族が入居している場合には、上記のような危険性があると、理解しておく必要があります。

店舗や事務所の家賃相場が適正か

投資を考えている物件に、店舗や事務所などがある場合は、注意が必要になります。

店舗や事務所があると、家賃の収入で店舗や事務所の割合が高くなるからです。

そのため、事務所や店舗に入居がないと、収支のバランスが一気に崩れてしまう可能性があります。

事務所や店舗には、このような危険性があるため、「店舗の家賃相場が適正なのか」を判断することはとても重要です。

もし、家賃相場よりも低い場合には、高い危険性がある物件と判断できるので避けるようにしてください。

また、近隣テナントの家賃が家賃相場より、安いのに空き店舗やテナントが多い場合には、需要が低下していると判断ができるので、注意する必要があります。

そのような場合には、店舗や事務所が退去してしまうと、次の入居者が決まる可能性は低いです。

このように、店舗や事務所の家賃相場を確かめることで、将来の危険性が判断できます。

特に、店舗や事務所の家賃が家賃比率の20%を超えている場合は、細心の注意をはらってください。

敷金の確認

敷金を確かめるのも、とても重要なポイントです。

すべての部屋から敷金をあずかっているのなら、その物件はいい物件と判断ができます。

なぜなら、敷金をゼロにしないといけない物件というのは、需要がないため、そうしないとうまらない物件といえるからです。

また、敷金で確認すべきなのが、関西方式を採用しているかどうかという点です。

一般的には、物件を購入したさいに敷金は購入者に引き継がれます。しかし、関西方式の場合には、敷金は引き継がれません。そのうえ、敷金の返還義務だけは引き継がれるというものです。

つまり、300万円の敷金の返還義務がある場合には、物件の購入者が300万円を返還するために、支払うことになります。

よって、物件の購入金額と敷金の返還金額が必要になってしまいます。

このようなことを防ぐためにも、関西方式かどうか確かめることはとても重要といえます。

利回りを確かめる

ここまで、多くのポイントを解説してきました。

これらのことを踏まえて、最後にチェックするのが利回りを確かめることです。

利回りとは、投資した費用に対する収益の割合を表したものを指します。

この利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があり、不動産会社が示す指標は表面利回りの場合が多いです。

表面利回りは、年間収入を物件価格で割って、計算します。

そのため、購入時にかかる経費などの計算がなく、大まかな数値といえます。

実際に、物件の購入を検討するための、指標として必要なのが、実質利回りです。

実質利回りは、年間収入から諸経費を引いて、物件価格に購入時の経費を足したものになります。

この実質利回りを計算するための内容をレントロールから読み取り計算することが大切です。

さらに、家賃収入が悪いパターンや最悪のパターンも合わせて、計算することで、最悪の状況でも収支が問題ないかを確かめることをおすすめします。

なお、利回りについて詳しくは下記の記事を参照にしてみてください。

レントロールに表記のない収入・支出

ここまで説明してきたように、レントロールは物件の収益を確かめるうえで、とても重要な書類です。

しかし、このレントロールに表記されない収入や支出もあります。

この表記されていない収支を把握することは、不動産投資を行ううえで、とても重要になります。

表記のない収入

レントロールに表記されていない収入で、代表的なものを紹介していきます。

①自動販売機

物件に自動販売機が設置されている場合は、その売り上げも収入になります。

しかし、毎月4千円以上の売り上げがないと、電気代のほうが高くなるので、もし設置されている場合は売り上げは確認しておいてください。

②携帯の基地局

物件に携帯基地局が入っている場合は、毎月場所代として5〜8万円程度の収入が入ってきます。

ただし、相手の都合で撤去されることもあるので、利回りの計算には、入れないようにする方が無難でしょう。

③看板広告

広告看板が設置されている場合には、場所によって違いますが、東京エリアだと設置代として3万円程度の収入があります

設置場所や大きさなどで、収入が変わるため、レントロールに記載がない場合は不動産会社に問合せるようにしてください。

表記のない支出

レントロールに表記されていないものは、収入だけではなく、支出も存在します。

代表的なものは、以下の4つです。

①インターネット費用

インターネットの費用を家賃に含んで提供している場合は、インターネットの使用料金を支払う必要があります。

その場合は、インターネットの費用も踏まえて、収支を計算するようにしてください。

②ケーブルテレビ

地域によってはケーブルテレビと契約しないと、民放局などのテレビが見られないところがあります。

そのような場合には、ケーブルテレビと契約をしないといけないため、その費用の負担が家賃に含まれているのかを確かめるようにしてください。

③外部の駐車場

物件に駐車場が少ない場合は、外部に入居者用の駐車場を借りている場合があります。

月に数万円から多い所では、10万円以上も費用がかかっている場合もあり、注意が必要です。

④貯水槽

物件に貯水槽が設置されている場合、清掃費などの整備費がかかります

購入する前に、いくら掛かっているかを確認するようにしてください。

物件概要書の確かめる

物件概要書はレントロールと合わせて、物件概要書も確かめることで、より物件の良し悪しを見極めることが出来ます。

レントロールと同じように、不動産会社から取り寄せることができるので、レントロールを取り寄せる際に、一緒に取り寄せるようにしてください。

この物件概要書には、築年数、構造、敷地面積、価格、表面利回り、所在地、交通情報などの内容が表記されています。

この中で確かめるべきなのが、築年数、価格、利回り、所在地です。

これらの内容をレントロールと合わせて、確かめることで、家賃相場の比較や収支予測などをより正確な内容にすることができます。

まとめ

ここまで記事を読んでくれたあなたはレントロールが不動産投資をするうえで、とても重要なものだと、理解してくれたはずです。

レントロールが重要な資料であるために、改竄や必要な内容を表記しないなどの不正も多くあります。

確認する際にこの記事に書かれているポイントを注意して確かめるようにしましょう。

レントロールの見方、確認方法などについて分からない方は、この記事を参考にして頂けると幸いです。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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