不動産投資物件選び

不動産投資として倉庫はどうなの?倉庫へ投資するメリットや留意点を紹介

2020/09/23
不動産投資として倉庫はどうなの?倉庫へ投資するメリットや留意点を紹介

不動産投資というと、多くの方がマンション投資やアパート投資を想像されるのではないでしょうか。

マンションやアパートの不動産投資の場合、土地価格上昇により、都内の区分マンション投資の利回りは大体5%前後が一つの目安になっています。

しかし、「倉庫」は、利回りが15%を超えるものも多く、「不動産」に比べて高利回りであることから、新しい投資先として注目されています。

この記事では、倉庫を不動産投資先にする場合のメリットや留意点を紹介していきます

倉庫を不動産投資先にするメリット

駅近でなくとも大丈夫

不動産投資において、マンションは駅からの距離が非常に重要です。

もちろん、他の要素もありますが、一般的には駅に近いほど良いとされます。

一方で、倉庫は駅から離れていても大丈夫です。

地域の人口の増減の影響を受けにくく、競争力を必要とする立地条件を避けることが可能になります。

用途が多種多様

不動産投資をマンションやアパートで行っている場合、使用用途は主に住居と限定されます。

一方、倉庫であれば住居以外にもさまざまな用途があるのが、大きな魅力です。

メンテナンス費用があまりかからない

マンションなどの場合、設備が壊れてしまった際にはオーナー側の負担になることが一般的です。

しかし、倉庫は設備、現状変更や原状回復など借り手側の負担になるため、メンテナンス費用があまりかかりません

入居期間が長め

倉庫の場合、入居の際にある程度長いスパンで借りることを前提に設備投資やリフォームを行ったりすることが一般的です。

費用をかけている分、出て行きづらくなります。

高い利回りを期待できる

倉庫は、前述のように設備、現状変更や原状回復などメンテナンスの費用があまりかからないことで、マンションやアパートに比べて、高利回りが期待できます

倉庫を不動産投資先にする際の留意点

空室になると期間が長めになる

マンションやアパートの場合は、競合が多い分、入居ニーズもそれなりに多いです。

一方、倉庫の場合は、競合が少ない分借り手ニーズも少なくなります

テナントとして入ってもらっている時には、手間もほとんどかからず良いのですが、一度空室になってしまうと大変です。

退去告知を半年以上前にするなどに設定し、次のテナントを十分に見つけられる時間を確保しましょう

固定資産税が割高になる

倉庫であっても、「土地に定着している」、「外気を遮断できる」、「用途性を満たす建物である」といった要件を満たす場合は、面積に関わらず課税の対象になります。

倉庫は、他の投資物件と比較して土地も建物も大きいため、また住宅用としての減税を受けることができないため固定資産税が高くなるケースが多いです。

「倉庫業」は許可が必要

①国土交通省の許可が必要

国土交通省のHPに以下の記載があります。

引用

「倉庫業とは、寄託を受けた物品を倉庫において保管する事業であり、原料から製品、冷凍・冷蔵品や危険物に至るまで、国民生活・経済活動に欠かせない多種多様な物品を大量かつ安全に保管する役割を担っています。


他人の貴重な物品を預かるという営業倉庫の特性から、倉庫業を営むにあたっては倉庫業法に基づく登録を受ける必要があります。


登録を受けるためには、保管する物品に応じた倉庫施設の基準をクリアした倉庫であること、倉庫ごとに一定の要件を備えた倉庫管理主任者を選任すること等が必要となります。」

出典:国土交通省

つまり、他社(他人)の荷物を預かる倉庫業を営むためには国土交通省の許可が必要となります。

②倉庫は建てるまでが大変

また、倉庫に関してはさまざまな基準が設けられています。

これらを満たさないと、「他の人に貸し出すことを前提」とした投資用倉庫を立てることは難しいのです。

出典:国土交通省

③中古の倉庫は、基準を満たしているか要チェック

中古の倉庫は、「倉庫業法」を満たしているか確認してください。

自社(自分)の荷物を保管するにあたっては、倉庫業法の規制を受けません。

今まで、自社(自分)で使っていた倉庫が、中古として市場に出回っていることもあります。

こういった倉庫は、倉庫業法を満たしていません。

購入する場合は、自家用の倉庫なのか、他社(他人)のものを預かることが出来る倉庫(=倉庫業法を満たしている)なのか、十分に確認が必要です。

以上のように、倉庫投資はハードルが高いので、業としてする方ならあまりオススメしないです。

レンタル収納スペースとは

倉庫とレンタル収納スペースの違い

国土交通省から倉庫業の許可を受けずに営業をしているものとして「レンタル収納スペース」があります

前述のように倉庫業の許可を得るのは、相当大変ですので「他社(他人)の荷物を預からない」で運営しています。

あくまで、レンタル収納スペースは「荷物を置く場所をレンタルする」ということなのです。

「荷物を預かる」とは一言も書いてありません。

どこのレンタル収納スペースにも「場所を貸す」と書いてあります。

レンタル収納スペースは倉庫と比べて許可を受ける必要もありません

始めるのに手間がかからず、比較的手軽にできることから、近年では投資家から人気がでてきています

レンタル収納スペースと不動産投資の比較

以下は、レンタル収納スペース投資と倉庫業を「定義」、「契約形態」、「初期費用」、「始めるまでの手間」などの観点から比較した表です。


レンタル収納スペース投資倉庫投資
定義物品を収納する場所を貸す寄託を受けた物品を倉庫で保管する
契約形態賃貸借契約寄託契約
初期費用数百万程度数千万円〜1億円程度
始めるまでの手間比較的簡単手続きが面倒
物品の保管責任なしあり
物品の搬出・搬入
利用者が自由にできる
※原則無料
倉庫業者の立会いが必要
※原則有料
利用可能期間24時間の利用が可能倉庫業者の営業時間中のみ

レンタル収納スペースと倉庫業は、同じようにみえて契約形態から異なります

レンタル収納スペースは、一般的な不動産と同じ「賃貸借契約」であるのに対し、倉庫業は「寄託契約」となります

寄託契約とは、受寄者(荷物を預かる側)が、寄託者(荷物を預ける側)に対して、物品を保管することを約束し、それを受け取ることによって成立する契約のことです。

倉庫業の場合は、契約の性質上、物品の出し入れにも立ち会いが必要のため、搬入・搬出の時間帯に制限がかかってしまいます。

また、倉庫業の許可をもらうためにも、相当数の時間を要するため、レンタル収納スペースの方が投資先としては有望です。

レンタル収納スペースは手軽に始められますが、不動産と同様、「空室リスク」は存在します

1店舗につき複数の貸し部屋があることでリスクの分散はできます。

また、投資を行う場所の近くに同様のレンタル収納スペースが多く存在している場合は、価格競争が起き、レンタル料金が下がってしまう可能性があります。

事前に周辺を調査し、競合が多い地域はなるべく避けるようにした方が良いでしょう。

また、収納スペースの大きさにも配慮が必要です。

個人で利用する場合は、小さめのスペースの需要が高くなりますが、企業で利用する際には、大きめのスペースの方が高需要になる傾向にあります。

エリアによって、どちらの借り手が多いのかを調査することも忘れないようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今後の新たな不動産投資先として倉庫はどうなのか、ということについて解説しました。

マンション投資やアパート投資と比べても、多くのメリットがあり魅力的に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一方で、倉庫業法の絡みもあり、手間がかかるのがイヤな方は、「レンタル収納スペース」を考えてみてはいかがでしょうか

「レンタル収納スペース」は、ニーズが増えて最近注目を集めている、高利回りが期待できる投資なのでオススメです。

是非、こちらの記事を参考に良い物件を見つけて、高利回りの投資ができますと幸いです。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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