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賃貸併用住宅を検討する時のメリット・デメリットや留意点を徹底解説!

2021/04/15
賃貸併用住宅を検討する時のメリット・デメリットや留意点を徹底解説!

活用できていない土地がある方や自宅の建替えをする方で、賃貸併用住宅を検討する方が増えています。

賃貸併用住宅は入居者の家賃で自身の住宅ローンの返済ができて、ローンが終わればマルマル家賃が入ってくることから注目されているのです。

こちらの記事では、賃貸併用住宅を建設する際のメリットやデメリット、留意点について解説していきます。

賃貸併用住宅とは?

1つの建物の中に、「自宅部分」と「賃貸部分」が併設させている物件のことを賃貸併用住宅といいます。

賃貸部分には、住宅のみならず店舗事務所などが入るケースもあります。

詳しくは後述しますが、建物を建てるにあたって住宅ローンを組んだとしても、賃貸部分の賃料収入によって月々のローン支払い額を抑えられる可能性があります。

また、ローンの支払いが完了した後は、家賃収入が得られて老後の年金対策にもつながります。

メリット・デメリットの両面から投資するかどうかを判断していきましょう。

賃貸併用住宅のメリット

住宅ローンが利用可能

ワンルームマンションやアパートなどを購入して賃貸する場合は、マンションオーナーローンやアパートローンを利用します。

このようなローンは、一般的に住宅ローンより金利が高く設定されています。

一戸建てを建てる場合には、当然金利の低い住宅ローンが適用されますが、物件の一部を賃貸部分とする賃貸併用住宅は、どのローンが適用になるのでしょうか。

ある一定の条件を満たすことを前提に、賃貸併用住宅においても住宅ローンの利用が可能です。

具体的には、建物の床面積の1/2以上を自宅が占める場合となります。

さらに、自宅部分の床面積が50㎡以上である場合は、住宅ローン控除が適用になります。

自宅部分の割合を増やしすぎてしまうと、賃貸部分が少なくなってしまうため、収益面ではあまり効率が良くありません。

自宅部分と賃貸部分のバランスを鑑みて、よりよい選択をするようにしましょう。

家賃で住宅ローンが支払える

一戸建てを建てた場合、ローンは家主が自身の所得の中から毎月返済していくことになります。

しかし賃貸併用住宅の場合は、賃貸している部分の家賃収入の一部を住宅ローンの返済に充てることが可能になります。

さらに家賃相場が比較的高いエリアだと上手くいけば、住宅ローンの全額を家賃収入で賄えてしまう可能性もあるのは非常に大きな魅力です。

老後の年金対策になる

昨今、老後の年金問題に関するニュースが増えています。

平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金支給額が年々減っていることが分かります。

出典:厚生労働省

少子高齢化社会の中、年金受給額の増加は見通しづらい状況です。

年金に頼らない資産形成が必要ですが、賃貸併用住宅であれば、住宅ローンの返済が終わると、家賃収入のみが残ります。

もちろん、管理費などの諸経費は差し引いて考えなければいけませんが、老後の収入が年金のみの場合と比べれば老後資金の不安が大きく解消されることでしょう。

固定資産税の減税措置が受けられる

どんな物件でも所有者には固定資産税が課せられます。

この固定資産税は一定の条件を満たすことによって軽減措置が受けられます。

まず、居住スペースが総床面積の1/4以上であることが必須です。

また、住宅用地の特例によって、以下のような軽減措置があります。

軽減される割合は以下の通りとなっています。

一戸あたり200㎡までは、課税標準額が評価額の1/6となります

上記の表の「一戸あたり」というのがポイントで、賃貸併用住宅によって戸数が2つに増えれば、200×2=400㎡まで、3つに増えれば200×3=600㎡までが減額措置の対象となるわけです。

戸数の数は、建築する際に意識するようにしておいてください。

賃貸併用住宅のデメリット

建築費用が高くなる

どうしても、床面積自体が大きくなるので、一戸建てと比較すると建築費用は高額になります。

建築費用が高額になれば、金融機関から借り入れをする額も大きくなり、月々の返済も高額になります。

万が一、入居率が悪くなってしまうと、高額なローンを家賃収入が少ない状態で返済しなければならず、家計を圧迫してしまう懸念があります。

入居者との距離が近いため、煩わしさがある

一般的な賃貸マンションや賃貸アパートにおいては、オーナーが賃貸物件と同じ建物に住んでいるケースは稀です。

賃貸併用住宅にした際には、入居者と同じ建物に住むことになります。

頻繁に顔を合わせなければならないことや、夜に聞こえてしまう生活音などに煩わしさを感じる方がいらっしゃるかもしれません。

出口戦略がやや不利になる

ワンルームマンションやアパートは、賃貸併用住宅と比べて収益率が高く、比較的買い手がつきやすいといえます。

一方で、賃貸併用住宅の場合は賃貸部分の割合が低く収益率は低めとなります。

買い手は、利回りに基づいて購入価格を決めていくため、オーナー自身が売りたい価格とかけ離れてしまう可能性が高いです。

つまり、大幅に価格を下げなければ売ることができない可能性を念頭に入れておくようにしましょう。

賃貸併用住宅の留意点

住宅ローンの適用外になるケースがある

住宅ローンは、自己居住用のローンです。

ローンの担保として自宅が入っていることで、金利が低く設定されています。

賃貸併用住宅の場合は、全床面積の50%以上を自身の居住用とすることで住宅ローンの利用が可能になります。

借り入れした時には、50%以上だったけれどもリフォームなどを行う際には注意が必要です。

子どもが成長して巣立ち、リフォームして自宅の部屋の数を減らした分を賃貸用にと考える方もいらっしゃるはずです。

勝手に割合を変えてしまうと、銀行との契約違反になってしまいます。

住宅ローンの適用外となってしまうため、リフォーム等を行う際には、事前に金融機関に相談するようにしましょう。

おススメの間取りとは

同じマンションでも、上の階の方が賃料を高めに設定しているケースが多いです。

つまり、一般的には入居希望者は上の階を好む傾向にあります。

理由は、さまざまですが眺望の良さや日当たりの良さ、防犯面、上の階からの騒音などがあげられます。

もし、入居率を上げるのであれば「1階が自宅部分、2階が賃貸部分」とした方が良いと思われます。

また、オーナー自身も快適に生活するために、床に防音性に優れた素材を入れるなどして対策をしておくと良いでしょう。

賃貸ニーズを必ず確認する

賃貸併用住宅の最大のデメリットは、空室です。

空室になってしまうと、高額なローンをオーナー自身の所得から払わなければならなくなってしまいます。

あまりにも、ローン負担が大きすぎるとオーナー自身の生活を圧迫してしまうことにもなりかねません。

空室を避けるためにも、建築前にエリアの賃貸ニーズを必ず確認することが大切です。

地元の不動産会社に相談すると良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

賃貸併用住宅のメリットやデメリット、留意点を解説してきました。

興味を持った方は、デメリットを回避できるように、よく検討した上で賃貸併用住宅を建築してみてください。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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