遊休地の活用について様々な疑問を持たれている方もいらっしゃるでしょう。結論から言うと、遊休地は不動産投資などで活用できるケースがあります。
遊休地を放置すると損をしてしまうデメリットが多く、上手に活用することが出来れば、デメリットを解消できるだけでなく大きなメリットを得ることも出来ます。
しかし、上手に活用するためには、遊休地の活用について詳しく理解しなければいけません。この記事では、遊休地を放置する時のデメリットや活用するメリット、活用事例まで詳しくご紹介します。ぜひ最後までお読みください。
遊休地とは、住宅や農地のように一定の用途で利用されていない土地のことです。
このように利用されていない土地は空き地とも呼ばれ、様々なトラブルのもとになります。その土地のニーズによって、不動産投資などで活用することができます。
遊休地を不動産投資などで活用する主なメリットは以下の2つです。
それぞれについて詳しく解説していきます。
遊休地を活用することで、収入を得ることができます。例えば、アパート経営や駐車場、太陽光発電、定期借地などです。このように、収入が得られる形で活用することにより、活用で得られる収入から固定資産税などの必要経費を支払うことができます。
また、遊休地を活用している人の中には、固定資産税を支払うどころか収益がプラスになっていることも珍しくありません。
遊休地にアパートなどの賃貸用不動産を建築して運用することで、相続税対策が可能です。相続税対策となる理由としては3つ挙げられます。
1つ目は借り入れをすることにより、借り入れ分は負債となるため、資産から割り引くことが可能なためです。
2つ目は賃貸用不動産を建築することで、土地の相続税評価を減額できるためです。建物を建築することで、更地と比べて利用制限を受けるため、減額措置が取られています。
土地の相続税評価額は以下の計算式にて算出することができます。
「土地の相続税評価=土地の評価額−(土地の評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」
3つ目はアパートなどの賃貸用不動産は「賃家」として相続税評価されるためです。
「賃家」になると、賃借人の利用権によって所有権が制限されるため、賃家の評価は制限された分を割り引くことができます。このときの割引率を「借家権割合」と呼び、現在の割引率は30%に設定されているため、建物の相続評価額から30%の減額ができます。
賃貸に出されている建物の相続税評価額は以下の計算式です。
「建物の相続税評価額=建物の固定資産税評価額×(1−30%)×賃貸割合(賃貸用部屋が埋まっている割合)」
上記3つの減額措置を踏まえ、どれほどの相続税対策になるのか、具体例を紹介します。
■前提条件
前提条件は以下の内容です。
■相続税を計算する
上記の前提条件にて計算してみましょう。
遊休地の状態では8,000万円の相続税評価額が、賃貸用不動産を建築することで1,600万円になります。つまり、6,400万円(相続税評価額上)の課税額の節税効果があることが分かります。
また、相続する際の非課税枠を利用すれば、相続税が0円になるケースがありますので、賃貸ニーズがある遊休地であれば、活用する大きなメリットが大きいと言えます。
一方、遊休地を放置することは、以下のリスクがあります。
それぞれについて詳しく解説していきます。
遊休地を放置すると、雑草が伸びることやゴミの不法投棄により、近隣の家からクレームが出る可能性があります。このような近隣クレームが来ると、土地の所有者として対処しなければなりません。対処するには、時間や手間、お金が必要です。
土地を所有していると、固定資産税を納める必要があります。さらに、場所によっては、都市計画税も納めなければなりません。遊休地は所有しているだけで、多額のお金が掛かってしまうのです。
そのため、活用せずに放置していると、お金を生み出さず税金だけが掛かるので損をしてしまいます。
遊休地を放置することで、土地の価値が下がる可能性があります。土地の価格は常に変動しているためです。もちろん中には価値が上がる地域もありますが、人口が減少している地域などでは、価値は下がる可能性があります。
毎年固定資産税が必要なことも考慮すると、活用することが難しい場合は売却することをおすすめします。
続いて、実際に遊休地を活用する事例をご紹介します。
主な活用事例は以下の5つです。
それぞれについて詳しく解説していきます。
安定した家賃収入を得たいならアパートや、賃貸住宅などの賃貸用不動産で活用するのがおすすめです。遊休地を賃貸用不動産で活用することにより、長期的かつ安定した家賃収入を見込むことができます。
さらに、更地の状態よりも固定資産税も安くなるため、経済的なメリットは大きいです。ただし、初期投資の費用が高額なことや立地によっては空室になるリスクが高いこともあるため、注意をする必要があります。
賃貸ニーズや利回りなどの情報を把握したうえで、慎重に賃貸用不動産に活用するのかを決めるようにしてください。
手間とコストをかけたくないなら、定期借地での活用がおすすめです。
定期借地とは、事前に設定した契約期間で建物をたてるための土地を貸すことを指します。土地を貸すだけなので、不動産の経営もする必要がなく、手間をかけずに安定した収入が得られます。さらに、不動産を建てる費用も必要がないため、コストもかかりません。
ただし、途中で解約ができないことや定期借地契約の種類によっては長期間の契約が必要なことがデメリットです。一般定期借地契約の場合は契約期間が50年、事業用定期借地契約の場合は契約期間が10〜30年になります。そのため、中短期の活用を考えている方には向きません。
定期借地での活用は手間とコストがかかりませんが、長期間の活用になることを覚えておきましょう。
費用をあまりかけたくない方におすすめの活用方法が駐車場です。
駐車場は初期費用が安いだけでなく、狭い遊休地でも利用できることや設備も少ないため更地に戻しやすいなどのメリットもあります。ただし、収益性は賃貸不動産よりも悪く、節税効果も薄いです。
また、田舎の遊休地の場合は、駐車場需要が少ないため、収益につながらない可能性があります。
遊休地が郊外の土地の場合や住環境が良くない場所にあるなら、トランクルームでの活用がおすすめです。
トランクルームは、家に置けないものを保管するため、駅前などの立地が良い場所でなくてもある程度の収益が見込めます。初期費用も安く狭い遊休地でも活用できるので、手軽に始めることが可能です。
しかし、トランクルームを認知してもらうためにある程度の広告費が必要なことや土地が余っていて倉庫の需要が少ない田舎などでは需要がないなどのデメリットもあります。
さらに、遊休地が「第一種低層住居専用地域」「第二種住居専用地域」「第一種風高層住居専用地域」に該当すると建築できないので注意が必要です。
駐車場や賃貸住宅の需要が低い田舎の土地の場合にオススメの活用方法が太陽光発電です。
太陽光発電は、過疎地の遊休地でも活用できることや、太陽光を利用するため運用コストが少ないことがメリットとして挙げられます。
一方で、ある程度の広い土地が必要なことや日照時間が短い地域では向かないことには注意が必要です。さらに、電力会社の買い取り価格が変動するリスクがあることも理解しておく必要があります。
遊休地を不動産投資などで活用するときの主な注意点は以下の3つです。
それぞれについて説明していきます。
遊休地の活用方法を決める前に、遊休地のある場所の法規制について確認することが重要です。トランクルームの事例でも説明したように、都市計画法の用途地域によっては建築できる建物が限られるためです。
場合によっては、希望する活用方法が出来ない可能性もあります。このため、所有している遊休地の法規制は必ず把握するようにしておいてください。
遊休地のあるエリアのニーズを確認することは非常に重要なポイントです。
賃貸需要がないエリアや駐車場の需要がないエリアにアパートや駐車場を建築しても収益は得られないためです。
そのため、遊休地にどういったニーズがあるのかをしっかり分析しなければいけません。例えば、人口増減や近隣の駐車場の活用状況などについてです。ニーズに合った活用方法を選ぶことが出来たら、成功の可能性は大きく上がります。
遊休地を活用する目的を明確にすることも重要なポイントです。活用方法には、前述したように様々な種類があるためです。多数ある活用方法から自身に最適な方法を選ぶためには、活用する目的を明確にする必要があります。
節税対策や投資目的のように、活用する目的を明確にすることで、選択肢を絞ることができるでしょう。
遊休地を放置して不動産投資などに活用しないことは、大きなリスクを伴います。放置していると、税金などの維持費がかかるだけでなく、近隣クレームになる可能性があるためです。仮にこういったトラブルに巻き込まれると、解決までに手間と時間、お金がかかってしまいます。
こういったトラブルを避けるためにも、遊休地は活用することをおすすめします。ご自身で活用することが難しい場合は売却することも一つの選択肢と言えます。
遊休地の活用を検討する際は、この記事を参考にして頂けると幸いです。