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フラット35の金利上昇!?金利上昇による住宅ローンへの影響と今後の動向を徹底解説!

2021/02/25
フラット35の金利上昇!?金利上昇による住宅ローンへの影響と今後の動向を徹底解説!

2021年2月に入り、フラット35の金利が上昇しました。

背景には、どのような理由があるのでしょうか。また、金利上昇によってどのような影響があるのでしょうか。

こちらの記事では、金利の決まり方や今後の動向を解説していきます。

フラット35とは?

独立行政法人の住宅支援機構と全国の300以上の金融機関が連携して提供される住宅ローンのことを指します。

フラット35において、金利は全期間固定金利型となっており、借り入れを行う段階で返済終了までの金利と返済合計額が確定します。

仮に、途中で市場金利が上下したとしても、フラット35では金利の変動がなくフラット(平ら)です。

なお、金融機関によって、借り入れ金利や手数料は異なっています。

詳細は、各金融機関にお問合せいただくか、HP等でご確認ください。

以下は、主な「フラット35」の提携金融機関です。

  • 都市銀行/信託銀行/その他銀行
みずほ銀行りそな銀行三井住友銀行
埼玉りそな銀行三井住友信託銀行イオン銀行
楽天銀行住友SBIネット銀行
  • 地方銀行
北海道銀行青森銀行みちのく銀行
秋田銀行北都銀行荘内銀行
山形銀行岩手銀行東北銀行
七十七銀行東邦銀行群馬銀行
足利銀行常陽銀行筑波銀行
武蔵野銀行千葉銀行千葉興業銀行
きらぼし銀行横浜銀行第四北越銀行
山梨中央銀行八十二銀行北陸銀行
富山銀行北國銀行福井銀行
静岡銀行スルガ銀行清水銀行
大垣共立銀行十六銀行三重銀行
百五銀行滋賀銀行京都銀行
関西みらい銀行池田泉州銀行南都銀行
紀陽銀行但馬銀行鳥取銀行
山陰合同銀行中国銀行広島銀行
山口銀行阿波銀行百十四銀行
伊予銀行四国銀行福岡銀行
筑邦銀行佐賀銀行十八親和銀行
肥後銀行大分銀行宮崎銀行
鹿児島銀行琉球銀行沖縄銀行
西日本シティ銀行北九州銀行

また、「省エネルギー性」・「耐震性」・「バリアフリー性」など、質の高い住宅を取得する際に、金利が一定期間引き下げられる「フラット35S」もあります。

出典:住宅金融支援機構

フラット35の金利上昇?

以下の表は、2019年以降のフラット35の金利推移です。

※借入期間が21年以上35年以下、融資率が9割以下、新機構団信付きのケース

年月最低金利最高金利
2019年1月1.330%1.960%
2019年2月1.310%1.960%
2019年3月1.270%    1.960%
2019年4月1.270%1.960%
2019年5月1.290%1.960%
2019年6月1.270%1.960%
2019年7月1.180%1.870%
2019年8月1.170%1.870%
2019年9月1.110%1.870%
2019年10月1.110%1.870%
2019年11月1.170%1.870%
2019年12月1.210%1.870%
2020年1月1.270%1.940%
2020年2月1.280%1.940%
2020年3月1.240%1.870%
2020年4月1.300%2.030%
2020年5月1.300%2.030%
2020年6月1.290%2.030%
2020年7月1.300%2.060%
2020年8月1.310%2.060%
2020年9月1.320%2.060%
2020年10月1.300%2.060%
2020年11月1.310%2.060%
2020年12月1.310%2.060%
2021年1月1.290%2.060%
2021年2月1.320%2.170%

※青は2019年以降の最小値、赤は2019年以降の最大値

最低金利と最高金利でのそれぞれの最大値・最小値を見てみます。

最低金利は、2021年2月で1.320%と2019年1月~2月と比較してほぼ同水準です。

提携金融機関の多くは、上記の表のうち「最低金利」の方を採用します。

金利は、各金融機関が決められるものの、大手銀行の金利は同じです。

つまり、ほとんどの金融機関は2年前とほぼ同水準で融資をしているといってよいでしょう。

最高金利は、直近の数字が2.170%と過去2年間で最大値をマークしました。

この数字が跳ね上がったので、世間では騒がれています。

しかし、長いスパンで見るとそこまで大げさになる必要はないと思います。

なぜならば、ちょうど10年前の2011年2月(平成23年2月)において、最高金利は3.500%、最低金利ですら2.550%だったからです。

現在は、金利上昇したといっても、10年前の最低金利にすら遠く及ばない水準なのです。

フラット35の金利はどのようにして決まる?

フラット35の金利はどのようにして決まるのでしょうか。

フラット35は、前述のように「全期間固定金利型」です。この固定金利は、「10年物国債」の利回りを基準として決定されています。

国債は、国が発行する債券のことです。

国を運営していくにあたって必要な資金を調達することが目的で、このうち、満期が10年の国債を10年物国債と呼んでいるのです。

  • 直近3ヶ月間の10年物国債利回り推移

出典:三井住友銀行

上記のグラフは、直近3ヶ月間の10年物国債の利回り推移です。

2020年10月~12月の間は、0.00%~0.04%の間の中で推移し、2021年の年明けから上昇し始め、2021年2月に入ってから急激に上昇しているのがご覧いただけると思います。

  • 直近3年間の10年物国債利回り推移

出典:三井住友銀行

上記のグラフは、直近3年間の10年物国債の利回り推移です。

2018年の秋をピークに徐々に下落し始め、2019年はほとんどの期間で利回りがマイナスで推移しました。

2020年の第1四半期は、新型コロナウイルスの影響のあり乱高下した後、下半期はほぼ横ばいで推移してきました。

グラフの最右端が2021年に入ってからの推移ですが、長いスパンで見ると「騒ぎ立てるほどのことでもないのでは?」と多くの方がお感じになるのではないでしょうか。

金利は、どのようにして決まっていくのでしょうか。

金利が決定していく過程においては、景気の動向が大きく影響してきます。

景気が好調であれば、物価も連動して上昇していきます。

その場合は、引き締めと呼ばれる金融政策によって国債の価格を下落させ、利回りを上昇させていきます。

利回りが上昇すると金利も連動して上昇していく仕組みとなっているのです。

景気が不調の際には、逆です。

緩和と呼ばれる金融政策によって、国債の価格を上昇させて利回りを下落させていきます。

利回りが下落すると、金利も連動して下落していくという仕組みです。

ここでは詳しく言及しませんが、「変動金利」の方は、10年物国債の利回りではなく、日本銀行の「政策金利」が基準となって決定されていきます。

今後の金利動向はどうなっていくのか?

2021年1月21日に行われた金融政策決定会合後の黒田総裁の記者会見の中で、長期金利についての言及がありました。

その記者会見での内容とは、「10 年物国債の金利が0%程度で推移するように、上限を設けずに必要な金額の長期国債買入れを行う」というものでした。

こちらの記事を読んでいただいている皆さんは、この言葉が表す意味がお分かりでしょうか。

フラット35の金利(つまり固定金利)は、10年物国債の利回りで決まることを説明してきました。

また、その利回りが上昇すれば金利もそれに連動して上昇すると説明してきました。

黒田総裁が発した、この「金利0%」は、10年物国債の「利回りを上げない」つまり「フラット35などの固定金利を上昇させない」と言っているのに等しいことがご理解いただけるでしょうか。

第3章で、2つの期間での利回り推移を紹介しましたが、短期的なスパンでは、激しく上昇・下降をしているように見えても、長期的に見れば決してそのようなことはないといえます。

フラット35の金利上昇は、一過性のものであるという可能性が高いといえるではないでしょうか。

出典:日本銀行

まとめ

いかがでしたでしょうか。

2021年2月に入り、フラット35の金利が上昇したことを受けて、金利の決まり方や今後の動向を解説してきました。

こちらの記事で解説してきたように、今回の金利上昇は一時的のものである可能性が高いです。

今後の動向について、細かく知りたい方は、専門家に相談してみてください。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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