不動産投資とは

建ぺい率、容積率って何?不動産投資を行う上で押さえておくべきポイントを徹底解説!

2021/04/27
建ぺい率、容積率って何?不動産投資を行う上で押さえておくべきポイントを徹底解説!

不動産投資に取り組んでみたいと考え、物件を探していると、必ず「建ぺい率(建蔽率)」や「容積率」といったワードを目にします。

しかし、これらの意味を完璧に理解されている方は、そう多くないのではないでしょうか。

上記2つは、ご自身が所有している土地の面積全体に対する「建築面積の割合」や「建物の延床面積の割合」を指しています。

これらは、「建築基準法」及び「都市計画法」により用途地域ごとで制限がかけられているのです。

こちらの記事では、建ぺい率や容積率の計算方法、また押さえてポイントを徹底解説していきます。最後までお付き合いいただければ幸いです。

不動産投資をするにあたって知っておくべき「建ぺい率」とは?

まずは、「建ぺい率」についてみていきましょう。

こちらは、土地全体の面積に対する建物の面積(建坪)の割合を指します。

端的に言うと、「上空から見た時に、家の面積が敷地に対してどのくらいを占めているか」ということになります。

算出式は、以下の通りです。

具体的な計算例を見ていきましょう。

例えば、土地全体の面積が200㎡の土地があったとします。そこに建坪が80㎡の家を建築した場合、建ぺい率は、

と算出することができます。上空から見た図は、下のようになります。

建ぺい率が60%のエリアであったと仮定します。もし、ご自身が所有している敷地の面積が300㎡であった場合には、300㎡×60%=180㎡までの面積の建物を建てることが出来ます。

ここまでで、簡単な計算方法はご理解いただけたでしょうか。

建ぺい率は、都市計画における用途地域ごとで30%~80%の範囲で決められています。

原則として、指定されている建ぺい率を上回る面積の建物を建ててはならないことが建築基準法で決められているのです。

もし、ご自身が住んでいるエリアの建ぺい率を知りたい場合は、「〇〇市 建ぺい率」という形で検索してみてください。

「都市計画図」が出てきますので、そちらで調べることができます。

不動産投資をするにあたって知っておくべき容積率とは?

容積率は、敷地全体の面積に占める建物の延床面積の割合を指します。

算出式は、以下の通りです。

こちらも具体的な計算例を見ていきましょう。

例えば、敷地全体の面積が200㎡の土地があったとします。そこに建物の延床面積が400㎡の建物が建っている場合の容積率は

と、算出が出来ます。

ここで行った計算を建物の横から見た図にすると下のようになります。

仮に、容積率が400%のエリアがあったとしましょう。

そこに、もしご自身が所有している土地が150㎡であった場合には、150㎡×400%=600㎡までの延床面積の建物を建てることができます。

容積率は、都市計画における用途地域ごとで50%~1300%の範囲で定められています。

原則として、この範囲を上回る延床面積の建物を建ててはならないことが建築基準法で決められているのです。

ご自身の住んでいるエリアの容積率を知りたい場合には、HPで検索することが可能です。

ぜひ、調べてみてください。

建ぺい率や容積率が緩和されるケースとは?

建ぺい率の緩和について

①制限を受けないケース

建ぺい率が80%となっている用途地域」かつ「防火地域内に耐火建築物を建てる場合」については、建ぺい率は100%になっています。

100%ということは、敷地内全てに建築しても良いということになるので、端的にいってしまえば制限はかからないことになります。

また本来は、「隣地境界線」から50センチメートル離さなければなりませんが、上記の場合には、その制限を受けることなく隣地境界線上いっぱいにまで建物を建てることが可能です。

②割り増し適用を受けられるケース

また、建ぺい率の割り増しを受けることが出来るケースもあります。

条件は、「建ぺい率80%以外かつ防火地域内にある耐火建築物を建てる場合」もしくは「特定行政庁が指定している角地」にあるときに適用になります。

上記のどちらかの条件を満たした場合は10%の割り増し、双方の条件を満たした場合には20%の割り増し適用を受けることができます。

容積率の緩和について

①地下室を設置するケース

地下室があるケースにおいては、住宅として使用する部分の床面積の1/3を限度に、容積率の計算から除外できるという特例があります。

こちらの例を具体的に見ていきましょう。

200㎡の敷地で容積率が80%のエリアがあったとします。このケースでは床面積の上限は200㎡×80%=160㎡となります。

もし、1階・2階・3階の床面積がそれぞれ60㎡の建物を建てようとした場合には、総床面積は60×3=180㎡となり、上限の数字を超えてしまうため、建築することができません。

ここで、地下室を作ることにします。

地下1階・1階・2階で同様の床面積の建物を建てる場合は、総床面積は同様に180㎡となりますが、地下の床面積は容積率の計算に参入されないため、1階・2階の分である60㎡×2=120㎡が上限を下回っているため、建築が可能になるということです。

こちらの説明を図にしたものが下になります。

②車庫を設置するケース

また、建物の1階に車庫があるケースでは、建物の1/5を限度に容積率の計算から除外することができます。

例えば200㎡の敷地で容積率が80%のエリアがあったとします。このケースでは床面積の上限は200㎡×80%=160㎡となるはずですが、車庫の面積として最大1/5である32㎡分は、計算から除外されます。

つまり、この特例によって本来建てることが出来ない床面積が180㎡の建物であってもそのうち駐車場が30㎡、という建物の建築が可能になるのです。

③特定道路が近くにあるケース

幅員が15m以上である道路(特定道路)が付近にある場合、容積率が緩和される特例があります。

ご自身が所有している土地の前面道路の幅員が6m以上12m未満(特定道路から分岐している道路)である場合、特定道路からの距離が70m以内であれば、その距離に応じて容積率の加算措置を受けることができます。

広い道路に接する土地と比較して、そこから分岐している道路の容積率が急激に下がるのを防ぐためです。

建ぺい率や容積率の留意点や押さえておくべきポイントとは?

既存不適格と違法の違いとは?

建ぺい率や容積率が基準を超えてしまっている場合には、どのように考えたらよいのでしょうか。

基準値を超えてしまっている物件は、「既存不適格」と「違法」に分類されます。

既存不適格の建物は、建築基準法が改正されるまでは適法だったけれども、改正されたことによって現在の法律に照らし合わせた場合に違法となってしまう建物のことです。

既存不適格である証明には、新築時に完了検査を受けて「検査済証」が交付されているかどうかで判断することができます。

もし、検査済証があれば建築当時は適法であったということで、行政からの罰則等を受けることはありません。

しかし、消防法に抵触してしまうケースにおいては指導の対象となります。

一方で違法建物は、そもそも建築された当時から違法だったものや、建築時は適法だったものの、増改築をした際に再検査を申請せず「検査済証」の再発行をしてもらっていないケースがあります。

この場合は、先ほどの既存不適格のケースと異なり、行政から罰則を受けることになります。

金融機関の評価はどうなる?

建ぺい率や容積率がオーバーしている物件については、「担保価値」が低い評価を受けることになります。

万が一、融資してローン返済が滞ってしまった場合に、担保の物件が売却出来なければ資金の回収が出来ないので、融資が下りにくいことになります。

もし、既存不適格の収益物件で収益性が見込める場合には、高評価がつき融資を受けられる可能性はあります。安く買えて、一般的な物件と同等の融資が受けられたら収益性も高まるでしょう。

違法の建物には絶対に手を出さないこと

基準値を超えている投資用不動産は、物件価格が安くなって出回っていることがあります。

そのような物件でも、付近の賃貸ニーズや市場価値から、家賃収入もそれなりに見込めるであろうというケースもあります。

しかし、利回りが良く、ご自身にとって目先は有益な状況でであっても違法である建物を投資用物件として購入することは、やめましょう。

オーナー自身の社会的な価値が下がってしまう可能性がありますので、絶対に購入するべきではありません。

重要事項説明の中で、これらの他に「法令上の制限」がいくつかありますが、何よりも最優先すべきは、「法令の遵守」です。

これは、不動産投資家のみならず、一般的に社会全体にいえることです。

どんなに売上高があり、利益を出している企業であっても、法令を遵守しなければ、一発で社会的に糾弾されるのと同じです。注意しましょう。

まとめ

不動産投資を行う上で、建ぺい率や容積率について知っておいていただきたい知識を解説してきました。

意味や計算方法はご理解いただけたでしょうか。

抑えておくべきポイントや法令を理解した上で、不動産投資を行うようにしましょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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