といった感じで最初からキャンプ場の経営を選択肢から外している方も少なくないと思います。しかし、サラリーマンを始めた会社員の方の投資先として、キャンプ場の経営が注目されてきています。
こちらの記事では、キャンプ場の経営についておさえておくべきポイントを解説していきます。少しでもキャンプ場経営にご興味がある方は、ぜひ最後までお付き合いください。
ご自身で土地を探してキャンプ場経営を始める際には、さまざまな許可が必要となります。
具体的にどんな許可が必要か一つずつ見ていきましょう。
もし、食材や料理の提供を行う場合には、飲食店業の許可が必要となります。
あわせて防火対象物使用開始届を消防署へ届け出る必要も出てきます。また、許可の申請に際しては、専任の食品衛生責任者が必要です。
食材の提供を行わず、場所を貸すだけのケースではこれらの申請・許可は必要ありません。
酒類の提供については、飲食店業の許可を得ていれば、コップに注いで提供する分については、追加で許可を取る必要はありません。
もし、ビンや缶の酒類を提供する場合には、飲食店業の許可ではなく、酒類販売業免許の交付を受ける必要があります。
キャンプ場なので、深夜に営業することはほとんどないと思いますが、万が一深夜0時を過ぎても酒類を提供する場合には、別途許可必要となりますので、留意してください。
もし、キャンプ場を作る際に、森林の伐採が必要となる場合、その面積に応じて林地開発許可が必要となります。
面積の基準は、1ヘクタール(100m×100m)以上となります。これを上回る場合には、許可が必要ですが、下回る場合は不要です。
なお、こちらの許可は、ご自身が所有している森林であっても必要となります。
市区町村の窓口で申請が出来ますが、許可が出るまでに3ヶ月近くかかることがあるので、スケジュールを鑑みて余裕をもった申請を行うようにしましょう。
もし、キャンプ場側で設置した設備に宿泊してもらうことで宿泊料金を徴収する場合は、旅館業の許可が必要となります。
なお、キャンプを利用する方がご自身で宿泊用のテントなどを持ち込んだ場合には、旅館業の許可は必要ありません。
万が一無許可での営業がバレてしまうと、罰金または懲役などの処分が下されてしまいますので注意が必要です。
このように自身で土地を探し、キャンプ場を始める際には、さまざまな許可が必要となります。
もう1つ、現在他の方が経営しているキャンプ場を引き継ぐという選択肢もあります。
下表をご覧ください。
一般社団法人 日本オートキャンプ協会から公表された資料によると、この数年、キャンプをする方が増えてきています。
2020年のデータがまだ出ていませんが、上半期は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響で利用者が落ち込んだと思われます。
しかし、緊急事態宣言が解除された下半期以降は、密閉空間にならないキャンプ需要が増えていることは想像に難くありません。
2021年に入っても、なお収束しない新型コロナウイルスの感染状況を踏まえると、今後もキャンプ場の需要は増えることがあっても減ることはないといえるでしょう。
もう1つ資料をご覧ください。
出典:旅行新聞
こちらは、1994年以降のキャンプ人口の推移です。
近年増加してきているキャンプ人口ですが、実は1990年台に最盛期がありました。
2000年以降、徐々に減少し2008年の705万人を底にして徐々に盛り返している状態です。
この最盛期から約25年経っています。
その当時に始めた経営者の方たちが徐々に高齢化し、後継者がいないことから売却するケースやキャンプ場自体を閉鎖するケースが出てきています。
今後、需要が伸びていく可能性のあるキャンプ場経営を見越して、後継者が見つからないようなキャンプ場を購入して経営する方が増えてきているのです。
利益を出すためには、売上高を上げていくことが求められます。
売上を伸ばすには、既存顧客の満足度向上はもちろんのこと、これまでキャンプに興味のなかった層を掘り起こす必要があります。
つまり、新規顧客の発掘です。
既にリピートをしてくれているようなお客さんに対して、友人紹介・家族紹介制度などがあるとお客さんが増えていく可能性があります。
例として、「他の家族と一緒にご利用の方及び紹介されて利用した方は、各種利用料が30%OFF」などです。
これならば、誘う側にも誘われる側にもメリットがあるため、来ていただきやすくなるでしょう。
他のキャンプ場と比べて特にウリはない・・・としたら差別化戦略の点で優位に立てているとは言えません。
利用者は、数あるキャンプ場の中から選びます。
特徴がないキャンプ場は埋もれてしまう可能性があるのです。
差別化のポイントとしては、「価格面」や「サービス」などが挙げられます。
これは、何もキャンプ場の経営に限ったことではありません。どんなビジネスにも通ずるところになります。
差別化の例として、「手ぶらで参加できるキャンプ場」といった打ち出し方があります。
「手ぶら=事前準備する必要がない」ため、初心者の方が参加しやすくなるといえるでしょう。
また、「体験会」などの設定も有効的です。
魚釣りやラフティングなど川が近くにあることを活用するイベントや、地元野菜の収穫やそれを使った料理イベントなども人気が出るといえるでしょう。
ぜひ、他のキャンプ場にない強みを持てるようにしましょう。
第1章でも解説したように、自身でキャンプ場の経営を始める場合には、さまざまな資格や許可が必要となります。
欲しいと思っても、すぐに得られるものばかりではありません。
前述のように森林伐採などを行う場合には、許可が出るまでに3ヶ月近くかかるので、スケジュールをきちんと段取るようにしましょう。
他の人から引き継いだケースに関しても、ご自身が経営を行っていく上では、必要な資格の取得は必須です。
酒類販売業免許や旅館業の許可など、「ご自身でやりたいこと」に照らして、事前に資格の取得をしておくことをオススメします。
自身で土地の購入をするなど1から始める方も、他の方から引き継ぐ場合も、「資金」は必要となります。
場所によりけりですが、引き継ぐ場合でも2,000万円~3,000万円程度は必要になります。
政策金融公庫から融資が受けられるほか、近年ではクラウドファンディングなどでも資金を調達する方が増えてきています。
出資への返礼として、キャンプ場への無料招待などをすることで、効果的に資金調達ができる可能性があります。
いかがでしたでしょうか。
キャンプ場の経営について解説してきました。
さまざまな許可や申請が必要になることをご理解いただけたでしょうか。
色々やることがあるため、何から手を付けたらよいか分からないという方も多いと思います。
ぜひ、専門家に相談していただくか、既にキャンプ場の経営をしている方とコンタクトを取ってアドバイスをもらいながら進めると良いでしょう。