高度経済成長期の日本では、一度入った会社で定年まで働き続けることが一般的でした。
かつては、終身雇用、年功序列という性質の強い企業が多かった時代でしたが、現在では終身雇用制度は崩壊しつつあり、評価制度も年功序列から実力主義へとシフトしています。
このような動きの中で、FIRE(セミリタイア)を目指す動きが出てきています。
資金を貯めるか、自身にお金が入り続けてくる仕組みを作らなければなりませんが、そのための手法として不動産投資が有望視されています。
50代でFIRE(セミリタイア)するために、30代、40代のうちどのようなことをしておけばよいのでしょうか。
こちらの記事で解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
FIRE(セミリタイア)は、「FINANCIAL INDEPENDENCE RETIRE EARLY」の略語です。
直訳すると、「金銭的に自立して早期に退職する」ということです。
これまでの日本においては、高校や大学などを卒業後、定年まで同じ会社で働き続けることが一般的でした。
裏を返せば、一度会社に入れば、一生懸命働いている限りにおいては会社が一生面倒を見てくれる時代でもありました。
しかし、近年の日本においては終身雇用制度が崩壊しつつあるのは、皆さんご存知の通りです。
また、「副業解禁」という言葉も多く耳にするようになってきました。
働き手不足に伴って企業が人材確保のために、他の仕事をしている方を確保する狙いが背景にあります。
また、昔は長く勤めていれば、年々給与が上がり続けている時代もありましたが、近年では昔のように給与を大幅に上げることが難しくなってきてしまっています。
そのため「自分の所得は自分で稼いでください」と言わんばかりに、さまざまな企業が副業を解禁している側面もあるのです。
さて、FIRE(セミリタイア)をするためには、どのくらいのお金が必要なのでしょうか。
まず、老後に必要となってくる生活費についてみていきましょう。
公益財団法人の生命保険文化センターから公表されている「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、老後における「最低日常生活費」は、約22万円とされています。
この水準は、平成25年(2013年)以降、ほぼ横ばいになっています。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」
上記の金額は、あくまで「最低限」のレベルでの話です。
これに加えて、あとどのくらいのお金があれば「ゆとりを持った生活が出来るか」の問いに対しては、平均で14万円が必要であると答えています。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」
つまり、「最低基準」ではなく「ゆとり」を持った生活を送るためには、合計で22万円+14万円=約36万円が必要になるということです。
この金額を年間分にすると、実に約432万円になります。
生きていくには、意外にお金はかかると感じた方が多いことでしょう。
続いて、老後に受け取ることのできる年金についてみてみましょう。
厚生労働省から公表されている「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上の平均年金月額は約17万円となっています。
しかし、年々徐々に減少傾向にあり、年金制度を支えている若い働き手が減少し、年金をもらえる高齢者が増加していく今後の日本においては、この水準が上昇することは難しいといえるでしょう。
また、この金額は企業等で定年まで働き続けた方の分まで含んでいます。
年金額は、厚生年金を多く支払っている方(勤続年数が長い方)の方が大きくなるため、FIRE(セミリタイア)を50歳前後でする場合には、単純計算で12~13万程度になる可能性があるといえます。
出典:厚生労働省
この事実を踏まえて考えると、年金以外でどのくらいのキャッシュフローが確保できていればFIRE(セミリタイア)が現実的に見えてくるのでしょうか。
ゆとりをもった生活を送るためには、前述のように月々約36万円が必要です。年金も前述のように、平均約12万円程度が入ってくるとしましょう。差し引きで、「36万円-12万円=約24万円」が不足することになります。年間にすると約288万円となります。
よって、税引き前で400万円~450万円程度の収入があれば、FIRE(セミリタイア)が現実味を帯びてくるのがご理解いただけることと思います。
例えば、50歳の時に仕事を一切やめて(収入をゼロにして)、90歳まで40年間無収入で生活するとしましょう。
年間300万円を貯蓄から切り崩し続けて、40年間生活するのに、1億2,000万円が必要になります。
計算上は、1億2,000万円もの貯蓄があればこのようなやり方も可能ではありますが、こんなに貯蓄がある方は、ほんの一握りです。
そもそも、これだけ資産がある方であれば運用し、さらに増やすことを考えている方が多いことと思います。
FIRE(セミリタイア)をするために、不動産投資が有効である理由はどこにあるのでしょうか。
それは、不動産投資が若いうちから取り組むことができる投資商品だからです。
サラリーマンやOLの方など、本業を抱えていらっしゃる方であっても、手間がほとんどかからず本業に差し障りがほとんどなく運用することができます。
やることと言えば、年に1度の確定申告や納税、月に1度の管理会社とのコンタクトくらいです。
不動産投資は、得た家賃収入でローン返済をしていく仕組みになりますが、若いうちから取り組んでおくと、ローンが完済する年齢が早くなります。
そうすることによって、40代の方であっても、完済した投資用不動産を複数持つことが可能になるのです。
ローンが完済しても、固定資産税などの税金や管理費などはかかり続けますが、これらは家賃収入で十分に賄えるレベルのものです。
もし、ローンが完済した投資用不動産を3つ所有していて、それぞれの物件が月々8万円のキャッシュフローを生み出すことが出来れば、それだけで月24万円、年間288万円が達成可能になってきます。
FIRE(セミリタイア)をするために30代、40代でしておくべきこととは何でしょうか。
30代のうちに(早ければ20代のうちに)投資用不動産を購入しましょう。
FIRE(セミリタイア)の前にローンの完済が完了しているようなスケジューリングが理想です。
40代に突入してから新規で投資用不動産を購入すると、50代になるまでローンが残ってしまうため、FIRE(セミリタイア)をする上でのネックとなってしまいます。
また、区分投資にするのか、一棟投資にするのか検討が必要です。
FIRE(セミリタイア)をするにあたっては、複数の購入が必要となりますが、どのくらいの規模であれば、老後に入ってくるキャッシュフローが足りるのかどうかをシミュレーションするようにしましょう。
ここでは実際に区分マンションを複数所有した場合のシミュレーションをしてみます。
※ 自己資金300万円、借入額2,200万円、金利1.8%、借入期間35年間と仮定
このシミュレーション通りであれば、ローン返済中は、黒字の運営となります。
ローン返済が完了した後は、120万円から管理費・修繕積立金、税金などを除いても80万円~90万円のキャッシュフローが手元に残る計算になります。
ただし、このシミュレーションは満室想定の元に行っています。
FIRE(セミリタイア)を本気で検討するならば、賃貸ニーズなどの変化による家賃下落の可能性や、多少の空室を想定してシミュレーションを行うべきだといえるでしょう。
FIRE(セミリタイア)をするために必要なお金の目安について解説してきましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
自身にお金が入ってくる仕組みの構築方法として、不動産投資が有望であることは間違いありません。
50代でFIRE(セミリタイア)をするためには、若いうちからの動きが非常に大切です。
特に30代、40台をどのように過ごすかで、その後の資産形成は大きく変わってきます。
こちらの記事を読んで、興味の湧いた若い方は、ぜひ不動産投資を用いての資産形成を検討してみてはいかがでしょうか。