不動産投資とは

「オーナーチェンジの物件VS空室の物件」初心者が不動産投資をする上での留意点を解説!

2021/06/03
「オーナーチェンジの物件VS空室の物件」初心者が不動産投資をする上での留意点を解説!

投資用不動産の物件情報を調べていくと、その物件情報に「オーナーチェンジ」や「空室」という記載があるのをご覧になったことがある方も多いでしょう。

不動産投資初心者の方の中には、

  • 「どのような魅力があるのか」
  • 「実際に不動産投資をするにあたっての留意点は何なのか」

など、よく分かっていない方もいらっしゃると思います。

こちらの記事では、不動産投資の初心者の方向けに、それぞれの魅力や留意点をはじめとして、成功をさせるためにはどちらを選ぶべきなのかを解説していきます。

どっちの物件を選ぶべきかと悩まれている方は、ぜひ最後までお付き合いください。

オーナーチェンジ物件

オーナーチェンジ物件とは?

オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で不動産売買が行われ、オーナー(不動産所有者)が変更になる物件のことをいいます。

前オーナーと入居者との間で結ばれた、賃貸借契約はそのまま引き継ぐ形となります。

よって、家賃収入を得ることができる権利がありますが、敷金の返還義務等も引き継ぐ形となります。

つまり、物件購入後すぐ家賃収入を得ることができます

初心者にとってのオーナーチェンジ物件の魅力

①すでに入居者がいるため、先々の収支の見通しが立てやすい

入居者がいない空室の物件では、いつ入居者がつくかどうかも分かりません。

よって、先々の収支の見通しが立てづらいです。

一方で、オーナーチェンジ物件は、すでに入居者がいるため一定期間安定した収入を見込むことができます。

②金融機関からの融資を引き出しやすい

既に入居者がいて、先々の収支が見通せる状態であれば、金融機関からの融資も引き出しやすくなります。

 初心者にとってのオーナーチェンジ物件の留意点

①家賃を変更しづらい

既に前オーナーとの間で結ばれている「賃貸借契約」の内容を引き継ぐ形となります。

周辺の家賃相場と比較して、やや低い状態だと収支に支障をきたしてしまいます。

もちろん、更新のタイミングなどで賃上げ交渉もできますが、それによって入居者が退去してしまい、多少の空室期間ができてしまう可能性もあります。

②購入前に室内の確認がしづらい

オーナーチェンジ物件は、入居者がいる状態で不動産取引が行われる形となります。

そのため、購入前に室内を細かくチェックすることが難しくなっています。

特に「隠れた瑕疵」については、その入居者が退去するまで確認することが厳しいといえるでしょう。

退去後に「大きな瑕疵」が見つかった際に修繕費が高額になってしまうリスクがあります。

予め、前オーナーと相談して「瑕疵担保責任」の期間を長めにとっておくとよいでしょう。また、管理会社に今までの物件の修繕記録を見せてもらうことも重要と言えます。

空室の物件

空室の物件とは?

その名の通り、現状で入居者がいない物件のことです。入居者がいない状態で不動産取引が行われます。

オーナーが変更になりますが。このケースではオーナーチェンジ物件とは言いません。

初心者にとっての空室物件の魅力

オーナーチェンジ物件では、リフォームは厳しいですが空室の場合は可能となります。

リフォームができれば、資産価値が高まり、従前よりもニーズの向上に寄与するでしょう。

また、ワンルームや1Kなどの物件では、オーナー自ら予め洗濯機や冷蔵庫、電子レンジなどを配備してから、家賃を高めに設定して募集をかけることもできます。

入居者は、わざわざ自分で家電を準備する必要がないので、多少相場よりも家賃が高くても人気があるようです。

初心者にとっての空室物件の留意点

入居者がつくまで、家賃収入が入ってこない。つまり、不動産投資の最大のデメリットである空室リスクが留意点になります。

物件の所有権がご自身に移ってもなお、空室が続いてしまうと、ローン返済や税金だけがのしかかってきてしまいます。

なるべく早く入居者をつけるためには、決済後から動くのでは遅いです。

売買契約の締結から、実際に所有権が移行する決済まで1ヶ月~1ヶ月半程度の時間があります。

前オーナーに相談して売買契約を結んだ時点で、入居者募集をかけさせてもらえるかどうかの交渉をするとよいでしょう。

入居者が100%つくとは、限りませんが決済までの間に決まる可能性があります。

決済日以前の家賃が発生した場合は、日割りで前オーナーに家賃を渡さなければなりませんが、空室期間が長くなってしまう可能性があるのを考えれば、決して高い買い物ではないことをご理解いただけることと思います。

「オーナーチェンジVS空室」どちらが安く手に入る?

まず、不動産の取引価格の決まり方について確認していきましょう。

居住用不動産と投資用不動産では、取引価格の決められ方が異なります。

居住用不動産の場合、「取引事例比較法」という方法を用いて、査定価格が決定されます。

間取りや床面積・築年数・駅からの距離など、過去の似たような事例を比較するというものです。

これらの条件面がほとんど同じであれば、取引価格に差は出にくいといえます。

一方で、投資用不動産については、「収益還元法」という方法を用いて、査定価格が決定されます。

こちらのケースでは、先々どのくらいの収益を見込めるのか、といった「将来的な収益力」によって物件の取引価格が決められるということです。

間取りや床面積・築年数・駅からの距離などがほぼ同等であっても、設定家賃などの収入面や、管理費などの支出面の違いによって取引価格に差が出るということになります。

一般的には、家賃収入が高ければ高いほど、管理費は安ければ安いほど、取引価格は高くなります。

具体的な例で比較してみましょう。

  • A:築年数10年・駅徒歩10分・床面積25㎡
  • B:築年数7年・駅徒歩3分・床面積30㎡

これだけの条件でいけば、Bの方が高くなりそうですが、次の条件が加わったらどうでしょうか。

  • A:築年数10年・駅徒歩10分・床面積25㎡・家賃90,000円・管理費10,000円
  • B:築年数7年・駅徒歩3分・床面積30㎡・家賃80,000円・管理費12,000円

収益還元法で考えるならば、Aの方が高い金額で取引される可能性が高いということなのです。

よって、オーナーチェンジ物件と空室物件でどちらが安く手に入るのかという点については、家賃が取れていない空室物件の方が安く手に入ることが一般的です。

しかし、空室であっても、事前に内見ができてリフォームが可能なことや、オーナー自身が家賃設定をし直せるというメリットもあるので、入居者がいるときと同等で取引されるケースもあります。

「オーナーチェンジVS空室」初心者がやるならどっちが良い?

初心者の方が取り組むのであればどちらの方がよいでしょうか。

すぐに家賃収入を得たい、可能な限りリスクを取りたくないといったように、安定した収益を望む方は、オーナーチェンジ物件がオススメといえます。

しかし、この場合は前オーナーとの間で結ばれている賃貸借契約の内容面のチェックや、瑕疵が見つかった場合の対応などを事前に取り決めておく必要があるといえます。

不動産売買契約書、賃貸契約書などの書類をきちんと確認するようにしましょう。

空室物件の方は、前述のようなメリットが多くあるので、魅力を感じる方が多いと思います。

しかし、家賃収入がすぐに取れない可能性があることを再認識してください。

賃貸ニーズがある物件であれば空室でも入居者が決まりますので、きちんと見極めることが重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

初心者の方向けに、オーナーチェンジ物件と空室物件の違いや魅力を解説してきました。

ご理解いただけたしょうか。

どちらの物件も魅力がある一方で、留意すべき点があります。

双方のメリット・デメリットを十分理解してから、不動産投資に取り組んでいただくことをオススメします。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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