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ライフプランとは?必要な4つの理由、作り方などについてFPが解説

2024/03/14
ライフプランとは?必要な4つの理由、作り方などについてFPが解説

10年後、20年後の自分自身の姿を思い浮かべてみたことはありますか。

近年、よく「資産運用のためにもライフプランを立てておきましょう」と言われるようになりました。実際に、将来のお金や生活について不安に思っている方は多いと思われます。

その将来のお金や生活に対する不安を解消する方法の一つとして、ライフプランの作成があるのです。

本記事では、ライフプランとは何かという基礎知識からライフプランが必要な理由、その作成方法を徹底解説していきます。

ライフプラン、ライフプランニングとは?

ライフプランという言葉は知っていても、実際に何をすれば良いのか分からない人は多いでしょう。

そもそも、ライフプランとは「結婚や出産、マイホームの購入などのライフイベントによって変わる将来の生活を、お金の面も含めて具体的に計画したもの」のことです。

計画を立てるという点や、実際に立てた計画に沿って実行していくことに焦点を当ててライフプランニングとも言われます。

ライフプランを立てることのメリットは、何と言ってもライフイベントに備えることができるという点です。

ライフイベントとは、結婚や出産、子どもの進学や住宅の購入など、人生の中で起きる大きなイベントを指します。そのイベントが起きるであろうタイミングや、その際に必要となる費用の大まかな金額を把握することができるので、余裕を持って準備することができるのです。

また、ライフプランを立てることで家計の見直しもはかれるのもメリットの一つと言えるでしょう。

ライフプランが必要と言われている4つの理由

ライフプランを立てることで得られるメリットについて理解いただけたでしょうか。ここからは、ライフプランが必要と言われる理由を4つご紹介します。ライフプランを立てることのメリットの詳細でもありますので、ここを読めばライフプランを立てることの重要性についてより深く理解できるでしょう。

いつまでにいくら必要かが分かる

上記の通り、ライフプランを立てる一番のメリットは、ライフイベントが起きた際に必要な費用を大まかながら把握することができることです。

例えば、30歳までに結婚しようと考えた場合、まず必要になるのは結婚資金になります。その結婚資金を5年で貯めようと考えたら、月々いくらぐらい貯蓄に回すべきなのかを考え実行していくことになります。

更に、大きなインベントであるマイホームの購入のためにはいくら必要なのか、住宅ローンを組むとしたら借入金額はいくらなのか、返済期間はいつまでにするのかを考えることになります。加えて、子供が生まれれば教育資金も準備が必要になります。

もし、ライフプランを立てずに人生の大イベントを迎えた場合、どうなるでしょうか。資金が用意できていなかったり、予算が合わず満足のいくものではなくなってしまったりするかもしれません。

ライフプランを立てておくことで、何歳までにいくら用意していれば良いのかが分かり、余裕とゆとりを持って生活することができます。

計画的にお金のプランニングを立てることができる

ライフイベントに備えるためには、計画的なお金のプランニングが必要です。ライフプランを立てていない場合、この「計画的なお金のプランニング」ができない可能性があります。

例えば、結婚資金やマイホームの購入だった場合、いつまでにいくら必要かを逆算して貯金しようと考えるでしょう。しかし、「何となく貯金でもしておこうか」と思っただけの場合、手元にあるお金を「まだ使えるから」とついつい散財してしまう可能性があります。

つまり、ライフプランを立てるということは、ライフイベントという目的達成のために、どうすればお金を予定した時期までに貯められるのかを考えることです。そうすることで、貯金だけで良いのか、資産運用も考えた方が良いのかなど、さまざまな方法を考えて計画的にお金を貯めていくことができます。

お金に対する不安がなくなる

年金2,000万円問題が話題になったのは、今から3年ほど前の2019年のことでした。老後、20年から30年の間に資金が2000万円不足するという報告は、全国民に衝撃を与えたのではないでしょうか。

老後の生活はどうなるのか、資金は足りるのかという問題は、誰もが持っている不安です。ライフプランを立てていなかった場合、具体的にどれくらい資金が足りないのか、明確な金額が分からないため、漠然とした不安を抱えながら生活を送ることになりかねません。

早い段階で、ライフプランを立てておくことで、何歳までにどれくらいの資金が必要か、どれくらい貯金しておけば良いのかなどが明確になります。そうすることで、将来のお金について漠然とした不安を持っていたものが、はっきりとした金額として分かり、その不安がなくなって余裕を持って生活を送ることができるようになるでしょう。

支出のコントロールができる

ライフプランを立てるにあたって行うのが、家計の見直しです。お金の管理が苦手な方には少し面倒だと感じるかもしれませんが、家計の収支を見直すことで分かることもあります。

例えば、さまざまな節約術や節約方法を試しているはずなのに、貯金ができないという方もおられるのではないでしょうか。そのような場合、食費や生活費など節約効果が低いと言われている費用を節約してしまっているかもしれません。節約効果が高いのは、家賃や住宅ローンなどの住居費や光熱費、電話やインターネットなどの通信費、保険料などに代表される固定費です。これらを見直すことで、数万円単位の節約ができる可能性があり、一度節約してしまえばその効果がずっと続くというメリットがあります。

このような効果も、家計の見直しを行わなければ気づかない点だと言えるでしょう。ライフプランを立てることで、効果的な節約を行うことができ、支出コントロールすることで効率的にお金を貯めることもできるのです。

ライフプランの作り方は?4つのステップ

ライフプランを作ることのメリットを実感していただけたでしょうか?ライフプランを立てておくことで、お金についての不安を解消し、将来に向けた資金計画を組むことができます。

ここからは、専門家でなくてもライフプランが作れる方法を4つのステップで解説してみましょう。

ライフイベントをリストアップする

ライフプランを作成する際にしておくべきことが、ライフイベントをリストアップすることです。現代では、多様なライフスタイルが存在しますので、こうでなくてはいけないということは決してありません。ここで紹介するのは、あくまでも一つの例であるということはご理解ください。

例えば、主なライフイベントには以下のようなものがあります。

  • 就職
  • 結婚
  • 出産
  • 子供の教育資金
  • 住宅購入資金
  • 老後資金

その他にも、車の購入などもライフイベントとして考える方もおられるでしょう。ライフイベントは細かく書き出すほど、明確な資金計画を立てることができますので、できるだけリストアップしてみましょう。

あまり細かくリストアップできないという方は、3大ライフイベントと呼ばれる「住宅購入資金」、「子供の教育資金」、「老後の資金」を中心に考えてみることで、少しずつリストアップしていけるかもしれません。

 ライフイベントを時系列に並べる

自分自身が考えるライフイベントをリストアップしたら、次はそのライフイベントを時系列で並べていきましょう。

パソコンがある方は、Excelやスプレッドシート、Numbersなどの表計算ソフトなどで表を作成してください。紙で表を作成しても、もちろん支障はありません。また、ライフプランのテンプレートを日本FP協会やマイクロソフトのダウンロードページから入手することができますので、こちらを活用していただいても良いでしょう。

表には、リストアップしたライフイベントを書き込んでいきます。年齢や家族構成なども書き込んでおくとより具体的なものになり、目標とする金額も明確なものになるでしょう。

大きな資金が必要となるものはもちろんですが、車の購入や旅行などもリストアップしていれば、細かくなっても構いませんので記入しておきましょう。ライフイベントに必要となるお金について、より具体的な金額を算出することができます。

 各ライフイベントに必要な金額の目安を算出する

ライフイベントを時系列ごとに記入が終わったら、各ライフイベントに必要となる金額の目安を算出していきます。ここでは、主なライフイベントにかかる費用の目安を記載しておきますので参考にしてください。

ライフイベント

費用目安

備考

就職費用

約10万円

リクルートスーツ代、交通費、宿泊費など

結婚費用

約469万円

結納・婚約〜新婚旅行までにかかった費用総額(全国推計値)

出産費用

約52万円

出産費用の総額(入院料・室料差額・分娩料・検査・薬剤料・処置・その他)

教育資金

約1,002万円

子ども1人あたりの総額(幼稚園から高校まで公立、大学のみ私立の場合)

住宅購入費用

約3,494万円

住宅の平均購入価格で建売住宅は約3,494万円、

マンションは約4,521万円

老後の生活費

約26万円

高齢夫婦無職世帯の支出約26万円/月

介護費用

約17万円

介護保険受給者1人あたり使用額は約17万円/月

緊急資金

約60万円

生活費の3ヵ月分~1年分を確保。(1ヵ月の生活費が20万円なら60万円~240万円)

(出典:日本FP協会 主なライフイベントにかかる費用の目安 より)

 個人によってライフスタイルや価値観は大きく異なるものです。結婚費用は押さえておきたいや、住宅は高くても良いから広いところに住みたい、表にはありませんが旅行に行きたい、車を買いたいなどさまざまでしょう。それらの希望を事細かく書き出し、おおよその費用を算出することで、詳細で計画的なお金のプランニングができます。

 具体的に資金を作る計画を立てる

ご自身のライフプランに必要なおおよその金額が算出できたら、ここからはその資金をどのようにして作るかを考えていきます。

資産形成を聞いて真っ先に思い浮かぶのは「預金」ではないでしょうか。毎月定期的に給与から積立てられるので簡単な方法です。しかし、現状、銀行に預けて大きなメリットはありません。なぜならば、現在、日本は超低金利が続いており、大手銀行にお金を預けたとしても、普通預金の場合で0.001%、定期預金でも0.003%になっています。ただし、大手銀行に預けておくという安心感や、全国各地のATMを利用できるという利点もあります。金利で選ぶのであれば、ネット銀行をおすすめします。一定の条件を満たすことで、普通預金の金利が0.1%になるところや定期預金の場合だと0.22%のところもあります。ただし、ネット銀行の場合、引出し手数料の無料サービスに回数制限があるなどのコストがかかるところがデメリットであると言えるでしょう。

次に考えられるのが投資商品を活用して、手元にある資産を効率的に増やしていくことです。投資初心者の方には、投資信託などがおすすめでしょう。自己資金が少なくても始められる点や、投資先の選定や運用については専門家に任せることができるので、専門的な知識やスキルを必要としません。また、資産運用は分散投資を行うので、リスクを軽減させることも可能になっています。投資信託などで自己資金を増やしてから、株式投資など、その他の投資を始めてみるのも良いでしょう。

注意点をあげるとすれば、投資である以上は必ずリスクがあることです。経済状況により、大きな価格変動があれば元本割れしてしまう可能性があることを認識しておいてください。

どのようにすれば具体的に資産形成ができるのか、預金や資産運用を活用するなどの方法を検討して計画を立てることをおすすめします。

ライフプラン、ライフプランニングの例

ここからは、ごく簡単にではありますが、ライフプランの例を見ていくことにしましょう。夫婦と子供がまだ小学生や幼稚園児の4人家族を想定して、モデルケースを以下に紹介します。

夫婦と子供が小学生・幼稚園児の4人家族のケース

  • 家族構成:夫(サラリーマン)37歳、妻(専業主婦)35歳、長女(小学生)8歳、次女(幼稚園児)4歳
  • 年収:税込500万円(手取り400万円)
  • 貯蓄:600万円
  • 年間の生活費:200万円(教育費、家賃等を除く)
  • 大学までの進路:幼稚園から大学まで国公立
  • 61歳〜64歳までの再雇用後の年収:現役時の70%
  • 退職金:1500万円
  • 年金:20万円/月

 

住居の購入

マイホームの購入は、人生で一番大きなライフイベントであると言えます。長女、次女共に大学への進学を考えていることを想定すると、大きな額を借入れて住居購入をすることは控えた方が良いでしょう。そこで、返済負担率を25%以下にして月々の返済を行うことを考えます。月々の返済額は10万円程度として、おおよそ3000万円から3300万円の価格帯の住居が理想的です。ただし、その予算の住居だとやや手狭に感じることもあるかもしれませんので、エリアや条件を考えて物件を探すことが大切になります。

長女・次女の大学入学

続いて大きなライフイベントになるのが、子供の大学進学です。このご家庭の場合、長女、次女の大学進学の段階で、貯蓄額がマイナスになる可能性は低いものと思われます。

単年でみた場合には、もしかすると収入が支出を上回る可能性がありますが、その分は貯蓄を切り崩しながら支払っていく可能性があるでしょう。

長女が中学校に入学したくらいからは、生活費や住宅ローン、子供の教育費などの支出が重なるため、貯蓄がしにくいかもしれません。それ以前から資産運用などの方法を考え、実行しても良いでしょう。

長女が大学を卒業し、就職する頃になれば家計に余裕も生まれ、貯蓄に回せる額も増えてくるものと思われます。

夫が61歳になった時

夫が61歳になった時に働き続けるという選択をした場合、再雇用が行われることになります。この場合、現役で働いていた頃よりも収入は減る可能性が高いので、そのことを念頭においておくことが肝心です。

 定年退職

夫が定年退職し、退職金を受け取った時の貯蓄額は、1,600万円前後と考えられます。住宅ローンが残っている場合、この貯蓄を切り崩して完済しておくのも良いでしょう。

定年後、住居関連費やその他の生活費が24万円だとした場合、年金は20万円ですので、月に4万円程度の赤字が発生することになります。不足分は貯蓄から切り崩すことになるでしょう。しかし、万が一の病気やケガで入院となれば、医療費がかかりますし、介護費用などが想定以上にかかることも考えられるので、保険などで対応できるようにしておくことが重要になってきます。

作り方がわからない方はFPに相談

インターネット上には、さまざまな方法でライフプランの作成方法が紹介されています。自分で作成できるテンプレートが用意されていますし、簡単な質問に答えることでライフプランが作成できるシミュレーターなどもあります。

確かに、ライフプランは自分で簡単に作成できるかもしれませんが、どうしてもこのライフイベントはいくらかかるのか分からない、自分で人生設計をするのが難しい、根本的に文字だけでは作り方が分からないという方もおられるでしょう。

このような悩みがある場合には、ぜひファイナンシャルプランナー(FP)にご相談ください。FPはお金に関するプロフェッショナルです。FPに相談すると、ライフプランの作成と同時に、家計や収支に関する問題点を把握し、解決策を提案してもらうこともできます。FPは、あなたの理想的な人生設計をサポートしてくれるパートナーです。

 まとめ

ライフプランと聞くと難しそうなイメージがして、作成するのが面倒だと思ってしまい、先延ばしにしてしまう方も多いのではないでしょうか。しかし、ライフプランを立てている方と、立てていない方とでは、いざ人生のイベントを迎えた時に大きな差が出てしまうことになります。ライフプランをしっかりと立てていた方は、余裕を持ってライフイベントを迎えることができますが、ライフプランを立てていなかった方は、準備をすることなくライフイベントを迎えることになり、経済的な負担が大きくなる可能性が高くなるでしょう。

人生で大事なイベントを迎えるにあたっては、ゆとりを持って迎えられるに越したことはありません。本記事を読んでいただいた皆さんが、ライフプランについて考えるきっかけとなれていたら幸いです。

ライフプランを詳細に作りたい、色々とアドバイスを受けながら作成したいという方は、是非ともFPにご相談ください。専門的な知識をもとに、有効なアドバイスを受けながらライフプランを作成することができるでしょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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