みんかぶ不動産

注目のアセットシェアリング。新しい形の不動産投資の魅力

筆者: minkabuPRESS
2019/03/28
2019/04/30
インタビュー

1995年に中古マンションを再生し販売する、いわゆるリノベーション事業から出発し、現在は東証1部に上場するまでになったインテリックス。2015年に開始した大型不動産を小口化して販売するアセットシェアリングビジネスが注目の的となっている。同事業の反響とこれから、そして不動産業界全般について、俊成誠司取締役に聞いた。

■アセットシェアリングのこれまで、そしてこれから

――不動産小口化商品という独自の商品を取り扱っています。


2015年4月に開始し、少しずつ浸透してきたという実感があります。始まった当初は、不動産小口化商品がそもそも何かということから説明しなければなりませんでした。そうしたなかで当社は、所有から共有(シェア)という時代の変化も考え、アセットシェアリングという形を打ち出しました。


初めての小口化商品は原宿の物件でした。事前に個人投資家さんに購入を打診するようなことはせず、普通に新聞広告などで募集したのですが、それを見て「あ、面白いね」と言って購入してくださったようなお客様が、今でもファンでいてくださっています。


そうして地道な活動を続けてきたことが実を結び、他社の参入も増えてきました。ですから、不動産小口化商品という言葉自体は少しづつ浸透してきているという実感はあります。

■“1口100万円”の挑戦

――2018年10月に発売した小口化商品は1口が100万円という設定でした。これまでは500万円・1000万円単位の商品が主流でしたので、業界初と話題になりました。


100万円という設定にしたことで、購入者の年齢層が広がり、20代の方にも購入していただけるようになりました。1口価格を思い切って下げることで購入者層の裾野が広がり、認知度を高めることにつながりました。


1口100万円単位5口からアセットシェアリング商品を提供していた時期は、購入者の70%以上が60歳以上の方でした。やはり不動産をお持ちになる方は、次の世代に引き継ぐ資産として、相続対策の一環として所有しているのが実情でした。当然、金融資産をかなりお持ちの方が多かったです。


一方で、運用として小口化商品を使いたい、それも100万円からしたいというニーズが高いことも明らかになりました。


これまで不動産投資というと、いきなり投資用マンションや一棟ビルを購入しなければならないといったハードルの高さが存在しました。そこまでではなくとも、不動産投資を始める時に、投入する額が大きいという問題がありました。


現在の低金利環境で、なにかしら運用をする必要があるというなか、不動産投資という選択肢が多くの方に認識されるようになってきました。しかし、不動産投資は怖いと感じる方も非常に多いのが現状でした。そうしたなかで、大型な不動産が100万円から買えるという小口化商品を用意し、きちんとした運用レポートも出すことで、安心感を持って不動産投資を始めたい20代、30代の方に受け入れていただくことができました。

■REIT、クラウドファンディングと比べたアセットシェアリングの魅力について

――小口化商品を購入する方は、不動産に投資しているという意識で買われている方が多いのでしょうか。例えば、REITのような不動産投資会社の収益を証券化した金融商品との違いは、どのように説明しているのでしょう?


不動産に投資しているという意識は強いです。


REITのような金融商品ではなく、あくまでも不動産物件にかかる費用などをすべてご説明しています。特に、税金については、あくまでも不動産税制ということを理解していただくことが必要です。


――相続上のメリットを感じて購入している方が多いのでしょうか?


最低出資額が500万円だったときは、そういった方がほとんどでした。最低投資単位を100万円に引き下げてからは、相続対策ではなく、これまで不動産投資をできなかった方に不動産運用を行っていただくようになっています。


――REITの分配利回りを評価して投資を行ってきた方々に、不動産小口化商品をアピールするならば、どういったところに目を向けてほしいでしょうか。


不動産を特定できるので、自分の好きか嫌いかで判断できる部分がやっぱり面白いところだと思います。REITはいろいろな物件がまとめられた上での利回りです。小口化商品であれば、この不動産そのものを買えますよというところが魅力となります。通常個人だと買えないような大型物件が、小口化なら買えますから。

■減価償却が適用できるというメリット

――似たような仕組みで、クラウドファンディングが存在します。


一番の違いは税制ではないでしょうか。例えば減価償却は不動産小口化商品でも適用できますので、そのメリットを利用したいという方がいます。クラウドファンディングだけでなく、REITとの違いでもあるのですが、REITであれば金融商品としての税制が適用されます。


また、大半のクラウドファンディングだと、どんな物件かあまり分かっていない状況で出資せざるをえない面があります。小口化商品では、投資対象の物件が明確です。


クラウドファンディングはまず投資を始めるという点では、不動産に対しての距離感が非常に近いためその点は評価しています。ただ、不動産税制が使えないため、税制面のメリットを活用できるかどうかという点がポイントです。


――100万円の小口ロットで投資する方も相続対策の面を意識している方は多いのでしょうか。


全体では相続対策が目的という方が多いのは事実です。


100万円に小口化したことで、20代、30代の方にも興味を持っていただけるようになったのですが、結果的にその方たちが、親御さんに提案するきっかけとなりました。


不動産小口化商品の魅力の一つが、少額で不動産の税制を利用できる点にあります。小口化を行うことで若い世代の方に運用対象としての不動産に興味を持っていただき、その過程で税制面のメリットを知っていただくことにつながっています。


――譲渡したくなった場合ついて聞かせてください。


途中での譲渡も可能です。その場合、当社が推奨価格を提示させていただいてマッチングを行っています。


――短期譲渡課税はかかるのですか?


かかります。5年未満での譲渡は短期譲渡となり、税率が約40%となります。ですから基本的には長期投資がベースになります。


――通常の実需物件として販売する物件と、アセットシェアリングとして扱う物件の違いはなんでしょう?


アセットシェアリングはより立地にこだわっています。当社もその物件の運用を最終出口まで続けていかなければならない、長くお付き合いしていかなければなりませんので、価値の下がりにくい物件が対象になります。


――商業物件を対象にされる形ですか?


いろいろです。実績からいいますと原宿であればソーシャルアパートメント、横浜であれば元町の商業施設を対象にしていて、アセットシェアリングシリーズで初めてのビジネスホテルは北千住駅前徒歩4分の立地で商品化しました。また、当社はリノベーションを得意としていますので、博多ではもともとレジデンスだったものを、旅館業法上のホテルにリノベーションして小口化商品として販売しました。そういった特徴のある物件で、かつ立地が良いところを提供しています。

■今後の不動産価格の見通しは?

――一定以上の分配利回りを見込め、かつ安定して運用できる物件の確保は難しくなっていると思います。


そうなんです。物件の精査が一番大事なのですが、現在の環境でそうした物件を用意するには相当探し回らないといけない状況になっています。


ただ、2020年の東京オリンピックが迫り、不動産市場には若干、頭打ちの部分が表面化すると予想されます。高すぎた価格がお買い得な価格へ移り変わってくる物件も出てくると思いますので、それを買いに行ける相場が来るのではないでしょうか。こうした時期に良い物件を仕入れ、リノベーションでバリューアップしていくという、当社の強みを活かすことが大事になってくると思っています。


――不動産価格は下落トレンドに入ってきているのでしょうか?


場所にもよりますが、不動産は融資環境に密着に絡んでいる部分があります。不動産融資が厳格化されると、価格にもその影響はあります。政権維持や消費税増税もありますので、銀行も何もかもストップするというわけではないと思いますが、緩やかには調整局面になってくると見ています。ただ、良い不動産と良くない不動産との差はよりはっきりと出てくると思います。

■個人投資家が気をつけること

――不動産価格が調整局面に入っているのであれば、個人投資家は何に気をつけていくべきでしょう?


アセットシェアリングの対象になるのは、基本的に立地が良い大きな物件です。そのため、不動産価格は予想しやすい面があり、その実需をいかに計算するかがポイントになります。一棟単位であれば、物件そのものの差別化を行えますから。


区分所有のマンションの場合、実需は常に存在します。実需であれば借り入れがしやすいですから、それを対象とした事業なら続けていても大丈夫です。


投資用マンションについては、融資環境によって左右される部分が大きいのではないでしょうか。当社は投資用のワンルームマンションなどは手掛けていないので、分からない部分はありますが。


あとは修繕積立金ですね。当社が手がけるアセットシェアリングは修繕積立金制度をきちんと設けて、計画的に修繕を行い資産価値を下げないように努めています。当社はリノベーション会社ですので、それこそが一番重要であり弊社の得意な部分です。


区分所有のマンションを購入する場合と同様、修繕計画や積立金の状況が価格にも反映されますし、資産価値にも影響を与えます。建物を見る目を持ち、その土地の価格が上がりすぎているのか下がりすぎているのかを、周囲の環境を含めてよく調べてみないといけない部分があります。不動産投資はそこまでやって判断しなければいけません。


当社のアセットシェアリングは、そういった判断を当社が常に行い、修繕計画などを作りながら一緒に共同事業を続けていきましょうという位置づけにしています。


――管理のずさんなマンションの物件価値は下がっていきますしね。


そうですね。当社は中古マンションのリノベーションから出発した企業ですので、やはり買えない物件ってあるんです。それは管理組合が機能していない物件、修繕積立金が貯まっていない物件。そうした物件は部屋だけをリノベーションしても建物自体が劣化していきますので、不動産全体としての価値が毀損してしまいます。


――共有部分の廊下とか。


そうです、使われないっていうところがあるので。一部屋だけを買うのであっても、そうしたところも見ていかないといけません。


一棟買いにおいても、それまでに修繕状況などを把握した上で、きちんと修繕計画を作った上で買いに行かなければなりません。


最初は利回りがよく見えたけれど、結局、大規模な修繕が必要になり、一気に収支が悪くなったという話はよく聞きます。ですから、当社は一棟買いの際も修繕計画まで当社で作成し、費用はいくらかかったかまで全て明らかにするという運用を、投資家さんと一緒にやっていこうという仕組みになっています。


――対象不動産が火災保険等に加入しているかなどもチェックされているのですか?


もちろん、火災保険がどうなっているかも把握した上で、情報を開示しています。


■今後の見通しについて

――2019年の不動産投資業界はどう変わっていくでしょうか。2018年はさまざまな不祥事が噴出し、不動産投資家にとって業界への不安が高まった1年でした。それを受けて、業界への見方をお聞かせください。


融資環境が厳しくなっているのは確かです。ただ、金融機関を含め、不動産ひとつひとつを丁寧に見ていこうという姿勢に変わっているので、その点では良かったとも言えます。


本来の不動産投資はリスクを踏まえた上で、きちんと人に住んでもらったり、利用されることでこそ賃料が発生する。そういった不動産投資の本質とは何かという点が正常化されてきたと思います。


不動産もリスク資産ではあるので、それを投資家自身が見極めることが非常に大切です。それをできるようになるために不動産投資の教育や、的確にアドバイスを行える専門家の必要性などを感じます。


――最後にもう一つ。みんかぶ不動産について触れていただければと。


不動産投資には、なにが正しくて、なにを見ればいいのかということが分からないまま始めてしまう、続けてしまうという部分があるかと思われます。単に融資がつくからといって投資してしまうようなところがあり、不動産投資教育という部分を、伝えきれていないところがありました。それを第三者の立場から、きちんと伝えるメディアを目指していただきたいです。


資産を作る上で、不動産は欠かすことのできない重要な資産の一つです。しかし、それがどうしても業者側の目線から、情報が提供されている部分がありました。売り手の立ち場からのメディアではなく、個人の不動産投資家自身にとってベストなのは何かということを伝えるサイトを目指してもらいたいですね。

minkabuPRESS