不動産投資は「投資」の一種なので、残念ながら失敗(赤字)してしまうこともあります。それを防ぐためには失敗理由を理解しておき、失敗しないためにはどのような点に気を付けるべきか?を理解しておくことが重要です。
今回は、不動産投資における代表的な失敗理由を4つ紹介しますので、その失敗理由から対策を学びましょう。
結論からいうと、不動産投資で失敗する理由は以下4点です。
では、それぞれについて詳しくみていきましょう。
1点目は収支を理解していないという失敗例です。不動産投資の基本的な収入は「家賃収入」ですが、家賃は空室時ゼロ円ですし、築年数を重ねるごとに下落していくのが通常です。
また、不動産を運営している中に発生する支出もあるので、それら全てを加味した上でシミュレーションしなければなりません。このシミュレーションが甘いと、想定より収入が少ない、もしくは想定より支出が多いなど収支が大きく崩れることになります。
まず、「収支を理解してない」という失敗理由について以下を知っておきましょう。
まずは、空室リスクを織り込んで収支計算することが重要です。空室リスクを正確に読むことはできませんが、大体1ヶ月~2ヶ月を目安に空室期間を見ているケースが多いです。
たとえば、1年で0.5か月の空室を予測するのであれば、年間賃料収入から約4.1%(0.5か月÷12か月)差し引くことになります。空室期間がないのはベストですが、事前に想定しておくとキャッシュフローが崩れずにすみます。
次に、長期所有している中で、家賃下落リスクも考慮することが重要です。中古物件の場合、今までの家賃の推移を調べましょう。家賃下落リスクも不動産会社にヒアリングしつつ、自分でも賃貸のポータルサイトで調査しましょう。
調査方法は以下の通りです。
上記の条件を踏まえて、自分が所有する物件と条件の近い物件を探しましょう。
仮に、1年ごとに家賃が1%下落するのであれば、長期で収支シミュレーションを作成するときに、家賃収入を年々1%下落してシミュレーションします。この下落率を加味しないと、購入時も10年後も同じ家賃収入でシミュレーションすることになってしまいます。
前項までは「収入」に関する項目でしたが、不動産を運営には以下の支出(ランニングコスト)があることを理解しておかなければいけません。
上記は、物件によって異なる項目もありますが、必要な費用を把握してシミュレーションに入れることが重要です。
しかし、注意していただきたいのは、節税のため何もかも諸経費を入れないことです。税務署はお金のプロです。関係ない経費を計上することによって税務署に目つけられたら本末転倒になりますので、注意しておく必要があります。
物件選びであれもこれも、物件に対する条件をたくさんつける方がいらっしゃいます。正直、投資不動産はご自身が住まわれるわけではないので、ご自身の基準で選ぶのもいいですが、何よりも重要なのは、多くの方に住んでもらえることが大切です。
また、人によって求める物件の条件が異なるため、そういった意味では、不動産には完璧な物件がないです。よく次にはもっといい物件に出会えると思いつつ、何年立っても始めることができず、あの時買っとけば良かったと後悔される方がいます。そうならないためには、物件の条件に対して優先順位をつけて、タイミングを逃さないことが大切です。
優先順位をつけるときは以下のようなポイントが挙げられますので、参考にしてみてください。
などです。
次に、税金に関する理解が浅いことによる失敗理由について、以下を知っておきましょう。
まず、不動産投資による家賃収入は「不動産所得」にあたり、給与所得などほかの所得と合算する「総合課税」という仕組みです。
総合課税なので、不動産所得を給与所得などの収入と損益通算することができます。つまり、不動産所得で赤字を出すことによって、それを給与所得と合算して総合収入金額を下げて、確定申告をして払いすぎた税金を還付してもらうことができます。
しかし、不動産所得でムリして赤字計上しようとして、ムダな出費をする方もいます。実際に計算したところ、還付してもらえる税金額よりも、経費がはるかに大きくなり本末転倒な結果になった方もいます。そうならないように、経費をきちんと精査し、所得税の仕組みもきちんと理解しておくことが重要です。
不動産所得は「年間家賃収入-年間経費」で算出しますが、その年間経費の中には減価償却費用があります。
減価償却費用とは、その物件(建物)を取得した費用を何年かに渡って経費として計上できる費用であり、実際に出費してないですが、経費として計上できる費用です。
減価償却費用の計上期間は、耐用年数によって計上期間が変わるので、木造・鉄骨造・RC造の順番で計上期間が短くなります。
つまり、築年数が古いと減価償却費用を計上できる期間が短くなるので、節税効果が小さくなってしまいます。従って、購入する物件の法定耐用年数をきちんと認識し、節税効果を最大化にするため、あと何年減価償却費用が計上できるかの期間をきちんと確認しておくことが重要です。
また、売却時は売却利益が出た場合譲渡所得税が発生し、譲渡所得の計算式は「(売却価格-売却時の諸費用)―(購入時の価格+購入時の諸費用)」になります。
譲渡所得税は以下のように保有期間によって税率が異なります。
税金の種類 | 長期保有 | 短期保有 |
---|---|---|
所得税率 | 15% | 30% |
復興特別所得税率 | 所得税額×2.1% | 所得税額×2.1% |
住民税率 | 5% | 9% |
その不動産を売却した年の1月1日時点で保有期間が5年超であれば「長期保有」になり、5年以下であれば「短期保有」になります。
中には譲渡所得税の税率を知らないで短期所有期間中に売却してしまい、結果、税率が高いことによってほとんど利益を残らずに売却で失敗した方もいらっしゃいます。
そのような失敗にならないように、事前に税率を認識した上で、想定できる売却益できちんと計算し、売却時期を決めることが大切です。
最後にムリした投資プランで失敗したケースを紹介します。
融資を受けるときは金融機関の審査を受け、借入者の年収や自己資金率、勤務先、過去の延滞歴など総合的に判断されます。しかし、融資審査に承諾した金額と、自分が返済できる金額とはイコールではありません。
中には融資枠がいっぱいいっぱいになるまで物件を購入してしまい、月々手出しが出る中で購入したのですが、その後転職により収入が減ってしまい、月々手出しでの所有が難しくても、売却することによって更に数百万円の手出しが必要という状況に陥って、全く身動きができず月々手出しで所有し続ける方もいらっしゃいます。
つまり、現状で返済を考えるのではなく、この先自分がどうなっていくのか、返済に影響が出るようなことを想定した上で、融資を利用することが大切です。
不動産投資には、大きく分けて一棟と区分(一室)の2種類があります。
区分マンション投資と比較して、一棟投資物件はキャッシュフローがよく、魅力的にみえて、あまり自己資金もない中で一棟物件を購入したのはいいものの、その後の物件修繕、空室続きにより支払いができなくなり、自己破産まで追い込まれて失敗した方も多くいらっしゃいます。
一棟投資物件のメリットはもちろんありますが、デメリットもきちんと理解しないで始めるのは非常に危険です。また、自己資金も無い中でのスタートで、万が一な時の出費に備えることができないため、一棟投資物件は慎重にならなくてはいけない投資タイプです。
このように、不動産投資で失敗しないようにするには「収支に対する理解」「税金に対する理解」「無理のない投資プラン」が重要です。
これらのポイントをきちんとおさえた上で、不動産投資を始められてみるのはいかがでしょうか。