人生100年時代と言われ、国民が自分で資産を蓄えることを求められる時代が到来しています。
お金をうまく運用するための一つの選択肢となるのが不動産投資。不動産投資は長期に渡って行う投資のため、年齢層別に異なった戦略をとる必要があります。この記事では、年齢層別にオススメの不動産投資をご紹介します。
不動産投資に年齢制限はありません。成人していれば単独で契約が可能です。
未成年の方は不動産の契約ができませんので、気に入った不動産があっても購入することはできませんが、相続等の名義変更で不動産を保有することとなった場合は不動産を保有し、経営することが可能です。
逆に100歳を超える超高齢であっても、意思能力がしっかりしていれば不動産投資を行うことはできます。
不動産投資には何歳くらいから始めるべきというオススメの年齢層は特にありません。
しかし、不動産は毎月の家賃収入が大きな収入源となるため運用期間が長ければ長いほど収入を得る期間が長くなるため有利と言えるでしょう。
ただし、年齢が若いうちはしたくても資金調達が非常に難しいので注意が必要です。一般的に貯金が少なく、収入も少ない20代は融資の条件が30代〜40代よりも厳しくなります。
20代で自己資金が少ない場合は、焦って高金利の融資に手を出すよりは、まずは少しずつでも自己資金を貯めておくことを始めておくと良いでしょう。
また、年齢層別に不動産投資の「正解」があるわけではありません。
年齢層による特徴や注意点はありますが、それはあくまで一般論。ご自身の財産の状況や考え方にあった投資を行うことが重要なので、その点は忘れないようにする必要があります。
不動産投資は大きな買い物になるので、失敗しないことが何より大切。焦らずじっくり検討するようにしましょう。
不動産投資をする際には失敗をしないためにしっかりとした戦略を予め立てておくことがとても大切です。
不動産投資は一般的に投資期間が長期に渡るため、年齢層別に異なる戦略をとる必要があります。
年齢層別にどのような戦略で投資を行うべきか確認しておきましょう。
20代〜30代のうちは、資金繰りが難しい年齢層です。
今後のライフプランによっては結婚、出産、住宅購入、子供の教育資金など出費が増えるイベントも多くあります。
そのため、20代〜30代の不動産投資では、無理して自分の財産額に見合わない大きな不動産を多額の融資を受けて購入することは避けた方が良いでしょう。
少額の物件であれば失敗をしてもダメージは少ないので、まずはムリのない低額の不動産を購入し、不動産投資の勉強をしてみるのも良いでしょう。20代〜30代の強みは何と言っても長期間運用を継続できることです。
空室にならずに運用ができれば、家賃収入は長期間運用すればするほど積み上がっていきます。そのため、小規模でも優良な不動産を持つことができれば、長期にわたる定期収入を得ることができ、すごく価値のある財産となるでしょう。
20代〜30代の方に具体的にオススメできる物件は、都会のワンルームマンション投資です。
ワンルームマンションであれば1千万円前後と比較的少額で購入でき、利回りも高いため長期間保有すれば定期的な収入を得続けることが可能です。ワンルームマンションに投資をする際は都会エリアで購入することをオススメします。
ワンルームマンションは一人暮らしで仕事をしている人が多いため、今後労働人口減少が予想される地方は空室状態が続く可能性が高くなります。空室を避けるためには都会エリアに投資をしたほうが良いでしょう。その中でも特にオススメなのは、オーナーチェンジ物件と言われる現在入居中の物件。
オーナーチェンジ物件であれば始めに入居者を探す必要がないため安心して投資ができます。
40代〜50代はある程度収入も増え、安定しているため融資も受けやすい年齢層です。20代〜30代と比べると、少し大規模な不動産を購入しても良いでしょう。
また40代〜50代は定期的な収入を得る(インカムゲイン)と値上がり益を得る(キャピタルゲイン)の両方を狙える世代です。まだ投資期間も十分にあるので、インカムゲインである家賃収入を長期間得ることも可能です。
一方で、大規模な物件や価値のある不動産を購入することも可能なので、キャピタルゲインを狙うことも可能な年齢層。利回りを重視するのであれば、ワンルームマンションを複数保有することも検討する余地があります。
30代〜40代は選択できる投資戦略が多いので、ご自身の考え方にあう投資戦略を選ぶことが重要です。なお、50代の融資可能年数は20代〜30代と比較して短くなるので、自己資金をある程度持つことが重要です。
60代〜は長期間かかるインカムゲインを狙うと言うよりは、キャピタルゲイン狙いの投資が中心となるでしょう。
また60代〜の投資の場合大きなメリットとなるのは相続税対策です。
相続税対策については次の章で詳しくご説明します。
不動産投資は相続税効果が非常に高いため、高齢の方には特にオススメです。
高齢の方で現金が多い方は不動産投資をして、現金を不動産に変えることで定期的な家賃収入を得られるうえに、相続税の節税にもつながります。相続税は、亡くなった時の財産の評価に応じて、財産を引き継いだ人が支払う税金です。
相続税の対策をしっかり行って節税できれば、配偶者や子ども(子どもがいない場合は配偶者と兄弟または甥・姪)が支払う税金を少なくすることができ、多くの財産を遺すことが可能です。
何故、現金を不動産に変えると相続税対策になるのでしょうか。その理由は不動産の「評価」は、市場で流通している売買価格よりも相続税評価額の方が低いことがほとんどだからです。
一般的に相続税評価額は土地の場合、売買価格の80%程度、建物は建築価格の50%〜70%程度といわれています。
つまり購入した時点で、相続財産全体の評価を下げられるということになります。さらに、注目するべきなのは、土地よりも建物の方が売買価格と相続税評価額の差が大きいと言う点。
そのためマンションは土地の部分が少なく、建物価格の割合が高いため現金を減らしてマンションを購入することで節税効果が高くなります。
さらに、建物の価格は第三者に賃貸することで30%控除さますので、賃貸に出しておくことでより大きな節税効果を期待できますね。
具体的にマンションの1室を5,000万円で購入した場合の評価額が、どれくらい下がるか計算してみましょう。
1,200万円+1,750万円-525万円=2,425万円
相続財産の圧縮効果:5,000万円-2,425万円=2,575万円
このように不動産を購入して、第三者に賃貸することで大きな相続税対策になります。
相続財産により税率は異なりますが、最低税率の10%であっても、上記の計算例であれば実際に支払う相続税を約257万円減らすことができます。上記はあくまで簡単にシミュレーションですが、とても大きな相続税効果が見込めることをお分かりいただけたのではないでしょうか。
今回はマンションの一室を想定して計算しましたが、さらに圧縮効果を高めたい方は、複数のマンションを購入するか、規模の大きい一棟マンションを検討してみても良いでしょう。
先ほどもご説明した通り、建物の方が土地よりも圧縮効果が高いので、土地の価値よりも建物の価値の割合が多くなればなるほど、相続税の圧縮効果は高くなります。
ただし、相続対策で不動産を購入する場合は相続人が分割する時に揉めないようにする工夫が必要。不動産は相続財産の圧縮効果が高いものの、分割は非常に難しい財産です。
不動産は共有にしてしまうと相続後に売却や建て替えの意思決定を複数の人で行う必要があるため、単独で相続することが望ましいと言えます。しかし、財産の大部分を一つの不動産にしてしまうと分割できず、共有で相続せざるを得なくなります。
このような事態を避けるためには、評価額が近い複数の不動産を保有するなどして工夫をした方が良いでしょう。
「不動産投資における効果的な節税」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
不動産投資の年齢層別の投資戦略についてご説明しました。
不動産投資は長期にわたる投資です。年齢層によっては投資の目的は大きく異なります。
20代〜30代と若いうちの投資戦略はインカムゲインを目的とした投資になることが多いでしょう。逆に年齢を重ねてからの投資戦略はキャピタルゲインを狙うか相続税対策が中心となります。
不動産は投資戦略によって投資をする不動産の種類も異なりますので、まずはしっかりとした戦略を立てることが大切で、年齢層によって投資戦略に正解があるわけではありません。
この記事でご紹介した年齢層別のオススメ投資戦略はあくまで、一つの参考です。実際に投資戦略を立てる時にはご自身の考えや財産の状況を鑑みて戦略を立てる必要があります。
ご自身の年齢層と目的にあった投資戦略をしっかりと立てて不動産投資を行ってみてはいかがでしょうか。