新型コロナウイルスと共存し、新しい生活様式で経済を回すことが求められています。
ウイルスの感染の終息の見込みは依然として立っておりませんが、これまでの日本の不動産市場の歴史を振返りながら、アフターコロナの不動産投資市場がどのようになるのかを考えてみたいと思います。
まずは、今までの不動産市場の歴史を振り返ってみましょう。
不動産市場は、刻一刻と変動していています。
もちろん、不動産市場に限らず、どんなビジネスにおいても 拡大期→縮小期→後退期→回復期 といったサイクルがあります。
不動産市場において、融資状況と大きな関係があります。
バブル崩壊になった最大のきっかけは、不動産融資の「総量規制」と言えます。これにより、不動産向けの融資が急に減少したことで不動産取引も収縮し、その連鎖で地価の下落が起こり、バブルが崩壊してしまいました。
その後の日本は、長期に渡りデフレ経済に陥ってしまったわけです。大量の不良債権をかかえてしまった金融機関は立て続けに破綻してしまいました。
破綻を何とか逃れた大手の銀行も、国による公的資金の投入を受けて凌ぎ、合併をするなどして生き残りましたが、不動産市場を回復させるための施策が打ち出されていきます。
その後、盛んに不動産売買が行われるよう、不動産を小口化し、投資商品として販売するために、1995年に「不動産特定共同事業法」ができました。この法律の施行によって、不動産会社が投資家の資産を運用して、収益分配することが可能になりました。
また、特定資産の流動化を可能にする「資産流動化法」も1998年に制定され、不動産を証券化するための法律が次々に制定されていったのです。
「資産流動化法」に続き2000年には「投信法」が施行されました。翌年の2001年に不動産の投資信託を可能にする法律の改正が行われたことによって、J-REITが出来ました。
これによって、不動産ファンドの投資が盛んに行うようになり、不動産ファンドバブルが起こりました。不動産ファンドバブルでは、高収益の不動産の価格が上昇してしましたが、それ以外は下落し二極化が起こりました。
不動産証券化の浸透により不動産取引が増えたことによって、都市部の不動産価格は上昇を続けていました。
ところが、2008年にサブプライム問題に端を発した「リーマン・ショック」が起こってしまいました。
なお、サブプライムローンとは、主にアメリカの低所得者など信用力の低い個人を対象とした住宅ローンで、審査がとても甘く金利が高いものです。
不動産価格の上昇、及び住宅債券が証券化されたことによるリスクの分散が後押しとなり、融資額が急激に増え、サブプライム関係の証券発行額も急増しました。
アメリカの住宅価格が頭打ちになってくると焦げ付きが急増してしまい、2007年の夏にサブプライム関係の証券価格は暴落してしまいます。この影響は欧米の金融機関から全世界に拡がり、リーマン・ショックが起きてしまったのです。
証券化は、不動産価格回復に一時的に寄与しましたが、それがリスクを拡散させ、世界的な金融危機へと発展してしまいました。
このような状況下で再び不動産に対して、金融機関からの融資が出なくなり、日本の不動産価格は下落してしまったのです。
2012年末に始まった第2次安倍政権において、アベノミクスがスタートしました。
アベノミクスは、最大目標を経済回復と位置づけ、「3本の矢」を柱とする経済政策を立てました。大胆な金融政策は、「異次元の金融緩和」と呼ばれ、大量の資金が市場に投入されることになりました。
金融機関の不動産投資に対する融資は増加し、不動産価格が上昇する要因となったのです。
国内の銀行のおける不動産業への貸出残高は、日本銀行の「金融システムレポート」のデータによると約80兆円となっており、実はバブル期(約50兆円~60兆円)を上回る過去最高の水準なのです。
この2~3年は、不動産投資市場において、多極化現象がみられ、都心部にある物件や大型物件は高値で安定した状態でした。
金融緩和により一時は個人投資家でも一棟投資物件を購入できていたものの、金融機関の不祥事などの影響で融資審査厳格化が非常に厳しくなり、個人向けの不動産投資用融資が非常に狭まりました。特に地方の一棟アパートやマンションの取引は、それまでの拡大期から縮小期に入ります。
今年のコロナ・ショックでは、賃貸不動産よりもホテルや店舗ビルなどの価格への影響が出てきています。
更にコロナ感染拡大の影響が長引けば、破綻する企業が増加することになるので、金融機関の債権が膨らみ、経営に影響が出てしまうことになります。
そうなってしまうと、不動産に対する融資が減少し、不動産投資市場全体が縮小してしまう可能性があります。とは言え、今までの歴史を振り返ると、縮小の後には、必ず回復がやってきます。
なお、回復のきっかけとなるのは、不動産取引を推進する政策が挙げられます。そして何をおいても肝心なのは、「融資」です。
不動産投資市場にとって、「融資」は最も重要な条件になります。政策や金融機関の不動産融資を注目してみていきましょう。
コロナ禍の外出自粛要請時には、投資家向けのセミナーが一斉に取りやめとなりましたが、その代わりにオンラインでのセミナーを実施する不動産会社が増加しました。
当サイトにも掲載されている明光トレーディングさんから始め、オンラインセミナーの申込みがコロナ前の来場型よりもかなり増えました。世代別では30~40代が多いのが特徴で、やはり老後の資産形成目的が多いとのことです。
特に、区分マンションの引き合いは、コロナ前より一層強くなったとのことです。企業の業績ダウンやボーナス減額などを受けて、むしろ家賃収入に注目が集まったと考えられます。
今回のコロナ禍における成約状況は、前年の同時期と比べて落ちなかったほか、物件販売数は7~8割で、中には6月の成約件数は今まで最高件数を達成した不動産投資会社も出てきています。
コロナ中の問合せ状況について詳しく知りたい方は、株式会社エージークリエーションの塩田代表のインタビュー記事も合せてお読みください。
では、今は不動産投資を始めるタイミングなのかを知りたい方も多いでしょう。不動産投資を始めるタイミングの考え方について書いていきます。
不動産投資こそ、実はこのコロナ禍に代表される緊急事態に強い投資商品と言えます。
その理由は2つ挙げられます。
不動産投資は、経済の影響を受けないわけではありません。
しかし、そのスピードは遅いといわれています。今年のコロナ・ショックで見てみると、株価は下降を続けました。
ただ、不動産投資は、ほとんど影響を受けていません。経済状態が悪くなっても、すぐに入居者が引っ越すということはありません。入居者がいれば、毎月収入を得ることができます。
今回のようなコロナ・ショックで、不動産価格が急激に下降することも、ほとんどないとみられています。
団体信用生命保険は、投資家に万が一のことがあった際には、生命保険のような役割を果たしてくれます。
不動産投資は、今回のような緊急事態でも、毎月安定した収入を得ながら、かつ、投資家の保障もカバーしてくれる投資商品といえます。
もちろん、リスクが全くないわけではありませんが、不動産投資で成功するためには、リスクを理解し、その回避策を事前に立てることが重要になります。
投資目的、ご自身の属性によって適する投資する方法が異なります。それぞれの投資方法の難易度、初期費用などについてまとめました。
見て頂ければ分かりますが、ワンルームマンション投資の方は、不動産投資の中でも難易度が低く、初期費用、メンテナンス費用も安く抑えることができる投資方法です。
今は融資が非常に厳しくなった一棟投資物件と比較して、個人投資家はワンルームマンション投資の方が始めやすいと言えるでしょう。
他の投資方法との違いは、以下の表の通りです。
経営方法 | ワンルーム | アパート 一棟 | マンション 一棟 | 戸建て |
---|---|---|---|---|
難易度 | 低 | 中 | 高 | 中 |
初期費用 | 低 | 中 | 高 | 中 |
メンテナンス費 | 低 | 高 | 高 | 高 |
空室リスク | 低 | 中 | 中 | 高 |
利回り | 低 | 中 | 高 | 高 |
向いている人 | 初心者 | 中級者 土地所有者 | 上級者 土地所有者 | 土地所有者 |
ワンルームマンション投資は、リスクの低い投資です。
しかし、投資である以上は少なからずリスクは存在します。どのようなリスクがあるのか、説明していきます。
空き部屋が出た後に、なかなか入居者が見つからないリスクです。空室の主な原因は、需要と供給のバランスが取れていないことです。
例えば、人口が多くない地方の場合は、新築のマンションを建てても、入居者がつかないリスクは高いです。
需要が少ないエリアの物件を購入すると、空室リスクは常に念頭に入れておかなければなりません。
建物の老朽化は、不動産の価値を下げる大きな原因になります。
メンテナンスを欠かさずに行うことで、家賃や不動産価値の下落を防ぐことができます。
不動産ローンに関しては、固定金利と変動金利の2種類があります。現在は、金利が低い関係で、変動金利の方で融資をしている方が増えています。
しかし、変動金利の場合には半年に1度金利の見直しがあります。その際に、金利が上昇してしまうリスクがあります。
近年は金利に大きな変化はありませんが、金利が上昇してしまった場合には、返済金額が多くなってしまうリスクがあるということは覚えておいてください。
不動産投資のデメリット、その回避策について詳しく知りたい方は、下記の記事を参照にしてみてください。
いかがでしたでしょうか。アフターコロナは、コロナ以前と比べて、色々な変化が想定されます。
各企業におけるテレワークの推進やオフィスの需要減少に加えて、地方への移住が増えることも考えられます。
様々な企業・業種が、今回のコロナ・ショックで進化せざるを得ないでしょう。不動産投資市場も、新しいビジネスや潮流が生まれるかもしれません。
政策や融資の状況など、市場を見定めていくことが出来れば、不動産投資で大きなチャンスを掴める可能性があるでしょう。