投資用不動産を購入する際には、アパートローンで金融機関から運転資金の借入れをするのが一般的です。
アパートローンの審査内容とはどのような内容なのでしょうか。また、金融機関によって緩いケースや厳しいケースはあるのでしょうか。
こちらの記事では、アパートローン審査の基準やその流れ、特徴や傾向について徹底解説していきます。
ここでは、アパートローンの審査の流れを解説します。
物件を探すところから始まり、決済と呼ばれるローンの融資実行まで、早くとも1ヶ月半~2ヶ月程度かかります。
まずは、収益物件を探すところから始まります。
物件が見つかったら、周辺の家賃相場などから見た想定家賃収入や管理費・修繕積立金まで鑑みた利回りの計算を行います。
この際に、総額でどのくらいの借入れが必要なのか、どのくらいの金利で借りると月々の返済額がどうなっていくのか、など月々のキャッシュフローまで落とし込んだ調査を行いましょう。
購入したい収益物件が見つかったら、金融機関の融資担当にコンタクトをとります。金融機関の担当者からは、いくつかの書類提出を求められることになりますが、依頼されてから準備すると、スピード感が落ちてしまいます。
投資用不動産で条件が良いものは、多くの方が狙っています。こちらの書類準備が遅かったことが原因で、他の方に取られてしまった・・・などとならないように、以下の書類については、なるべく事前に準備しておくと良いでしょう。
物件を買付けた後、融資を受けようと考えている金融機関に「仮審査」を申込みます。
これは、無料で申込むことが可能です。ざっくりいうと、金融機関にとって「融資が可能かどうか」を見られます。主にここで見られるのは、申込者の「属性」です。
申込者の年収をはじめ、勤続年数や職業、他の借入れの有無など簡易的な審査となります。結果は早ければその日のうちに、遅くとも3日~4日程度で出ます。
仮審査を一度に多くの金融機関に出すと、「他で通してもらえないのか」などと審査に対してネガティブな印象を与えてしまう可能性があるため、審査を出す金融機関は3カ所程度にとどめておくとよいでしょう。
仮審査を通過すると、日程の調整が行われ売買契約を結ぶこととなります。売買契約を結ぶ際に、手付金を納めるのが一般的です。
万が一「本審査」が通過しなかった際に、この手付金が還ってくるためには、その返還を可能にするローン特約が盛り込まれていなければいけません。文言としてきちんと入っているか確認するようにしましょう。
売買契約が締結された後、本審査に移ります。
本審査は、本当に融資して大丈夫なのかを慎重に検討されます。仮審査が即日~数日で結果が出るのに対して、こちらは早くとも1週間、長ければ3週間程度かかります。
必要書類も仮審査時よりも増え、印鑑証明書などの公的書類や、不動産の売買契約書や重要事項説明書などの物件関連書類も必要となってきます。
無事に本審査を通過し、ローンの融資を受ける金融機関が決定したら「金消契約」を締結します。収益物件を購入するにあたってローンを借りた側(契約者)と貸した側(金融機関など)の間で、結ばれる契約です。
ここで返済期間や金利などの条件を確認します。「抵当権の設定」や「団体信用生命保険」への加入も同時に行われることが一般的です。
この契約は金融機関まで契約者が行って、そこで行われるケースが多くなっています。
金消契約の締結後、物件引き渡しやローン融資の実行を受ける決済が行われて、一連の流れが完了します。
以下の項目は、アパートローン審査においてみられる一般的な項目です。
ただし、金融機関によっては、これ以外で独自の基準を設けている可能性もありますので、参考程度にご覧ください。
兎にも角にも年収は重要です。
金融機関にとっては、アパートローン返済財源に直結してからです。少なくとも過去3年分の年収を見られると言ってよいでしょう。年収が高い方ほど、ローン返済の信用が増すため、低金利で借入れを行うことができる可能性があります。
勤続年数が3年以上の方、もしくは5年以上の方にしか融資を行わないという金融機関も存在します。
転職したばかりの方は、収入面で不安定かつ不透明のため、お金を貸す側が躊躇してしまいます。直近で投資用不動産を購入かつ転職を考えている方は、アパートローンの利用をする場合には融資の実行を待ってから転職をした方が良いといえます。
他の借入れ状況も含めて審査の対象となります。貸す側にとっては、貸したお金が返ってくることが大前提です。
もし、総収入に占める、ローンの総返済額(返済負担率)があまりにも大きいと、金融機関にとってはリスクが大きいと判断され審査に通らない可能性があります。
返済負担率は、30%程度であれば特段問題ありませんが、40%を超えたあたりから厳しく見られるようになってきます。
これ以外の項目としては、「借入れ時や完済時の年齢」、「申込者の健康状態」、「収益物件の担保評価」などが審査対象になるとされています。
次に、「メガバンク」、「地銀」、「信用金庫」におけるアパートローンの融資の特徴や傾向を見ていきましょう。
メガバンクは、低金利であることが非常に魅力的です。しかし、審査は非常に厳しいものです。
仮に収益物件自体がいくら良くても、年収が一定水準に達していない場合は、相手にすらされない可能性があります。
年収1,000万円以上の方が、ようやく審査の土俵に上がれるといっても良いレベルです。
年収700万円~800万円のサラリーマンの方で、ダメ元でとりあえず申込んでみるといいでしょう。
地方銀行は、47都道府県に存在しています。前述のメガバンクと比べると、審査は比較的緩いです。その代わり、金利はやや高めに設定されるケースが多いです。
なおかつ、地域密着で地域を重要視するという特徴があるため、当該の都道府県に居住している方への融資は積極的といえます。年収が400万円~500万円の方であれば、審査を通過する可能性はあるといってよいでしょう。
メガバンクや地方銀行に比べるとやや金利が高くなるケースが多いです。
メガバンクでは、年収や勤続年数などの「属性」を重視する傾向が強いです。一方で、信用金庫においては物件の持つ収益性や価値を重視して融資をする傾向があります。年収が多少低くとも、将来、収益を生み出す可能性のある物件、高い利回りを狙えるような物件であれば審査を通過する可能性が十分にあるといってよいでしょう。
なお、信用金庫から融資を受けるためには、その収益物件がエリア内に存在していることが必須となります。
どなたにとっても、出来ることならば、なるべく良い条件で融資を受けたいはずです。
なるべく多い金額を低金利で貸し出してくれる金融機関から融資を受けられたら良いです。しかし、それにこだわりすぎるがゆえに、金利の低いメガバンクを一通り当たってみてから次に地方銀行や信用金庫へ・・・というやり方はオススメできません。
まず、多くの金融機関の審査に落ちると、それだけでネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。そして何より、審査に時間がかかり過ぎると、他の不動産投資家に対象物件を先にとられかねません。
基本的には、ご自身の属性から逆算して、金融機関を選定し審査を申込んでいくと良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。
アパートローンの審査の基準や流れ及び特徴・傾向について解説してきました。
金融機関によって事実として緩いケースや厳しいケースは存在します。大切なのは、ご自身の属性にあった最適なローンを組むことです。
どの金融機関の融資を受けたら悩む方は、専門家に相談してみることをオススメします。