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田んぼを相続した際の農地転用は賃貸不動産?それとも太陽光発電?おさえておくべき4つのポイント

2021/06/11
田んぼを相続した際の農地転用は賃貸不動産?それとも太陽光発電?おさえておくべき4つのポイント
  • 「田んぼを相続したので良い活用方法を知りたい」
  • 「田んぼの活用方法として太陽光発電に利用するのがおすすめと聞いたけど本当?」

田んぼや畑などの農地を相続して活用方法に悩んでいる方は少なくありません。上記のような疑問を持っている方も多いです。

そのため、こちらの記事では農地転用と農地活用の方法、太陽光発電投資を活用すべき理について詳しく解説していきます。農地の活用方法に悩んでいるは最後まで読んで頂き、参考にして頂けると幸いです。

田んぼを農業以外に活用するには農地転用が必要

相続した田んぼを農業以外の太陽光発電や建物を建築して活用するためには、農地転用が必要になります。畑や田んぼなどの農地は農地法によって優良な農地を守っていくために、無許可での転用が規制されているためです。

無許可で農地に不動産などを建築した場合には、原状回復に加えて3年以下の懲役や300万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

上記のような事態にならないためにも農地以外で活用する場合には、農地転用の手続きは必ず行うようにしてください。 

そもそも農地転用とは?

農地転用とは、田んぼなどの耕作を目的にしている農地を農地以外の使用用途にする手続きのこです。例えば、田んぼに賃貸不動産などのアパートを建設するためには、農地転用の手続きが必要になります。

ただし、農地転用するためには農業委員会や都道府県、市区町村に届け出をして許可を得なければいけないので注意が必要です。 

ちなみに、この手続きは農地法第4条か農地法第5条のどちらに該当するかによって、手続きが代わります。土地を相続して自分が農地の所有者である場合は、農地法4条に該当するので同条について詳しく解説していきます。

①相続した農地を転用する場合は農地法第4条に該当する

相続した農地は自分で所有しているため、農地転用する場合は農地法第4条に該当します。そのため、農地法第4条に規定されている手続きが必要です。手続きに必要な費用と書類については以下を確認してください。

■必要書類

・申請書(第4条)
・登記事項証明書
・住民票
・公図
・案内図
・利用計画書

ちなみに、必要な書類は農地転用する土地や、申請する都道府県などによっても異なるので、申請する場合は事前に農業委員会や、市区町村の役所で確認する必要があります。

■費用

届け出や許可申請には、書類を集める費用以外は掛かりません。ただし、行政書士などの専門家に依頼する場合には依頼料などが必要です。

例えば、行政書士に依頼する場合は4〜10万円程度の費用が掛かりますが、一方で自分が手続きを行う場合には、数千円〜数万円程度の費用で手続きが可能です。

このように費用については、提出する書類や行政書士に依頼するかによって大きく異なります。

②転用出来る土地と出来ない土地

農地転用はすべての農地で出来るわけではありません。そのため、農地転用をする場合には申請する前に転用可能な土地かどうかを確認するようにしてください。

農地転用が出来ない土地は以下の3つです。 

土地の名前

特徴

農用地区域農地

生産性の高い農地や市区町村の農業振興地域整備計画で設定されている土地

甲種農地

市街化調整区域内にある特に優良な営農条件を満たしている農地かつ農業公共投資から8年以内の農地

第1種農地

良好な営農条件を満たしている農地(10ヘクタール以上、高い生産力が認められる土地等)

上記に該当する土地は農地転用の手続きを行っても基本的に農地転用が許可されません。ただし、農地転用が出来ない土地であっても例外的に許可されるケースがあるため、詳しく知りたい方は行政書士や農業委員会に確認するようにしてください。

一方で、農地転用が可能な土地は以下の2つです。

土地の名前

特徴

具体例

第2種農地

・市街地の区域内や市街地化の傾向が著しい区域にある農地
・上記の区域に近接する区域にある農地等

・街路が普遍的に配置されている地域内にある農地
・市街地の区域内や市街地化の傾向が著しい区域にある農地で10ヘクタール未満の農地
・駅や市町村の役所などの公共施設から500メートル内にある農地

第3種農地

市街地の区域内や市街地化の傾向が著しい区域にある農地

・水道管や下水道管、ガス管のうち2つ以上が埋まっており、500メートル以内に公共施設がある農地
・駅や市町村の役所などの公共施設から300メートル内にある農地

上記の条件を満たした土地は農地転用が可能です。ただし、詳細な条件については市区町村などによっても異なるため、役場に確認するようにしてください。

農地転用する場合の活用方法

相続した農地を農地転用する場合に、農業以外の活用方法として代表的なものが以下になります。

  • 賃貸不動産
  • 太陽光発電
  • 駐車場経営

それぞれについて解説していきます。

賃貸不動産

農地を宅地に転用して賃貸アパートやマンションを建設し、賃貸用不動産として運用することで家賃収入を得る活用方法です。

賃貸不動産を運用する際には、賃貸需要の有無が非常に重要になります。そのため、駅前や大学など賃貸需要が見込める土地で運用するのがおすすめです。

しかし、田んぼなどの農地の場合は、賃貸需要が見込めない立地条件にあることが少なくありません。このため農地を転用して賃貸不動産で活用する場合は、立地の見極めや賃貸需要の予測などの立地分析を詳細に行うようにしてください。

太陽光発電

太陽光発電とは、ソーラーパネルを設置して太陽光で発電した電気を、電力会社に売却することで収益を得る方法です。

賃貸不動産と違って入居者を募る必要もないため、立地条件が良くない農地でも利用しやすいことが特徴になります。 

ただし、近隣に高い建物があることによって日当たりがよくない土地の場合は、太陽光発電はおすすめ出来ません。日照時間が少なくなってしまい発電量が落ちてしまいます。 

駐車場経営

農地を駐車場に変えて利用する方法もあります。

ただし、駐車場も賃貸不動産と同じく駐車場需要が必要です。その点、農地の多くは田舎にあることが多いため、個人が所有している土地も広く車の駐車スペースに困っている方が少ない可能性があります。したがって、立地によっては駐車場需要がなく運用益を期待することが出来ません。

とはいえ、農地を駐車場として活用することには初期費用が安いことや他の土地活用への転換が簡単に出来るといったメリットがあるため、費用を掛けない活用方法を検討している方におすすめです。

農地転用で太陽光発電をおすすめする理由

前述したように農地転用した土地の活用方法はいろいろあります。では、どの方法が田んぼなどの農地の活用方法として最もおすすめなのでしょうか?

農地転用の活用方法としておすすめしたいのが、太陽光発電です。太陽光発電をおすすめする理由と注意点について解説していきます。

田んぼなど日当たり良い土地の場合が多い

田んぼなどの農地は良い農作物を作るために日当たりが良い土地であることが多いです。

そのため、太陽光発電の収入に関係する日照時間や日射量などの条件が良く、発電量が他の土地よりも多くなります

発電量が増えたことにより売却出来る電気も増えるため、他の土地で太陽光発電を行う場合よりも収益が高いです。 

賃貸不動産より太陽光発電のほうが安定している

前述したように田んぼなどの農地に賃貸不動産を建てて活用しようとしても立地が良くないケースが多いため、失敗するリスクが高くなります。田んぼなどの農地がある土地は商業施設などが近隣になく、同じような農地が広がっているケースがほとんどのためです。特に田舎の農地の場合は、土地の周辺に大手企業の工場といった、賃貸需要が見込める施設がない限り、賃貸不動産として運用しても入居者が集まる可能性は低いと言えます。

しかし、太陽光発電なら入居者を募集する必要がありません。日当たりが良い土地があれば活用出来るため、賃貸需要が見込めない土地でも太陽光発電は収益が見込めるのでおすすめです。

農地を放置していると維持費がかかる

農地は保有しているだけで固定資産税や維持管理費用が掛かります。そのため、耕作をせずに放置している場合は太陽光発電などで、農地を活用して少しでも収益化をすることがおすすめです。ちなみに、1年以上耕作を行わず放置をして、今後も耕作に利用する気がない農地は「耕作放棄地」に該当します。耕作放棄地に該当した場合は、通常の農地よりも1.8倍の固定資産税を支払う必要があるため、注意が必要です。

このように、農地を放置してしまうと経費が掛かるので、活用方法を検討するようにしてください。固定資産税と維持費分の利益が出るだけでも、放置しているよりは利があると言えます。

太陽光発電は利回りが高い

太陽光発電をおすすめする理由の1つが太陽光発電の利回りが高いことです。利回りの相場は10%前後と言われています。

ただし、上記の利回りは表面利回りであるため、経費計算などは入ってないケースが多いので注意が必要です。農地を転用して太陽光発電を行う場合は事前に実質利回りまで計算することをおすすめします。

なお、太陽光発電はFIT制度によって電力会社に20年間固定された金額で買い取ってもらうことが出来る投資です。したがって、太陽光発電の投資計画は20年で計算する必要があります。

例えば、利回りが10%で初期費用に1,000万円掛かって太陽光発電を始めた場合には、毎年100万円を得る事が出来るため、10年で初期費用の回収が出来ます。そのため、初期費用を支払ったあとの10年で1,000万円稼ぐことが可能です。

農地転用して太陽光発電で活用する際の注意点

近隣農地に対して影響を与える可能性がある

相続した田んぼで太陽光発電を行う場合、太陽光の反射によって近隣の畑の農作物の生育に影響を与える可能性があります。そのため、ソーラーパネルの設置場所などに注意が必要です。

農地は基本的に他の方が管理している農地と接しているため、調査もせず安易に太陽光発電設備を設置してしまうと、太陽光の反射光が農作物にあたってしまいます。そのため、他人の農地と隣接している場合は事前に調査し反射光が当たらない設置位置の確認や、隣接している農地の所有者への説明を行うようにしてください。

土地の造成工事が必要

農地転用した土地で太陽光発電をする場合には、土が柔らか過ぎるため造成工事が必要になります。造成工事とは土地の整理や地盤工事、岩や木などの除去作業のことです。土地の整備をせずに太陽光発電を始めてしまうと、台風によって設備が飛んでいく危険性があるため、必須です。

そのため、太陽光発電設備を設置する前に、造成工事にいくら必要なのかを確認することが重要です。

まとめ

田んぼなどの農地を相続した場合に、活用できる方法について解説しましたが、参考になりましたでしょうか。

賃貸不動産や駐車場などの活用方法と比較して、太陽光発電が最も農地に適している活用方法と言えます。ただし、注意点も多いため、それを理解したうえで活用方法を慎重に選ぶ必要があります。

これから農地の活用方法を検討する際の参考にして頂けると幸いです。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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