不動産投資とは

不動産投資において、空室対策は喫緊の課題!高齢者の入居はリスクなのか?有効な空室対策とともに解説!

2021/06/18
不動産投資において、空室対策は喫緊の課題!高齢者の入居はリスクなのか?有効な空室対策とともに解説!

日本全国における、空室数や空室率が年々増加してきています。投資用不動産を保有しているオーナーにとって、空室対策は喫緊の課題と言えるでしょう。

空室対策の一環として高齢者の入居を積極的に進めているオーナーもいらっしゃいます。

しかし、不動産投資において、高齢者の入居はリスクになるのでしょうか?

こちらの記事では、高齢者の入居リスク、有効な空室対策とともに解説していきます。

空室対策で悩まれている方は、ぜひ最後までお付き合いください。

日本国内における今後の空き家数はどうなる?

近年、さまざまなメディアで報道されている通り、日本においては少子高齢化が徐々に進行していきます。

出典:総務省

総務省から公表されている資料によると、日本国内の人口は2004年に1億2,700万人とピークを迎えた後は、減少の一途をたどり、2050年には1億人を割り込む予測となっています。

「高齢化率」は人口減少とは反比例して徐々に上がっていき、2004年には20%に満たなかったものが、2050年には約40%になる見込みです。

不動産投資に限らず、どんなビジネスにおいても高齢者の方を如何にして取り込んでいくかどうかが、ポイントとなってくるでしょう。

続いて、日本における今後の空き家数及び空き家率について見ていきましょう。

総務省統計局が公表した資料によると、空き家数及び空き家数の推移は以下の予測となっています。


出典:総務省 統計局

上記のグラフを見て頂ければ分かりますが、空き家は年々増えています。実は今後も徐々に空き家数や空き家率は増加していくと言われています。

要因としては、大きく2つあります。

1つ目は、前述のように日本全体の人口が減少傾向にあることです。

そこに住む方、物件を借りる方が減少すれば、当然空き家の数は増加していくのがご理解いただけることと思います。

2つ目は、物件自体が増加しているということです。

空き家数と空き家率から、割り戻して総物件数を計算してみます。

  • 平成20年(2008年)の総物件数:757万戸÷13.1%=約5,778万戸
  • 平成30年(2018年)の総物件数:846万戸÷13.6%=約6,220万戸

2004年以降、人口が減少しているのにも関わらず、総物件数が増加していることになります。

この結果、自ずと空き家の数は増加してしまっているのです。

今後の不動産投資において有効な空室対策とは?

不動産投資においては、オーナーが最も避けたい1つが「空室」です。

そのため、空室対策を工夫している方も多くいらっしゃいます。

例えば、フリーレントを設定して入居者支払う初期費用の軽減を行うことです。

ご自身が賃貸物件を契約した経験がある方であれば記憶されていると思いますが、入居者が最初に支払う金額は、家賃だけではありません。

敷金・礼金・保険料をはじめとして、家具・家電・引っ越し費用など、様々な部分でお金がかかってきます。

そのような状況の中、初期費用を抑えるべく、敷金・礼金をゼロにしたり、フリーレントを設定したりすることは、他の物件との差別化になります。

また、インターネット無料やモニター付きインターフォンの設置、クロスの張替えなどの入居者が魅力を感じる付加価値をつけることも有効な対策の1つです。

しかし、どの業界においても競合の存在があります。不動産投資家においての競合は、他の不動産投資家です。

今まで差別化を図れていたものであっても、その手法が一般的になってくると、他に埋もれてしまうことになります。

時代に合わせて変革を行わなければなりません。つまり、「未来志向」で他との違いを考えなければならないのです。これは不動産投資に限ったことではありません。

ダーウィンの進化論の中にある、「生き残るのは強いものでもなく、賢いものでもなく、変化に対応できるものである」という言葉は、まさにこのことと言えるでしょう。 

セーフティーネット住宅とは?

厚生労働省が2021年6月4日に公表した「2020年の人口動態統計」によると、出生数は84万832人となっており、過去最低を更新してしまいました。

出生数が100万人を割ったのが2016年、90万人を割ったのが2019年でしたが、減少スピードが鈍化する気配はありません。

新型コロナウイルスの収束時期如何では、さらに減少スピードが加速する懸念もあります。

不動産投資においての変革とは、どのようなことが考えられるのでしょうか。

それは、相手にしていく層を変えていく(広げていく)ということです。

「住宅セーフティーネット制度」をご存知でしょうか。

2017年の10月にスタートした制度で、オーナーは自身が所有している不動産を「住宅確保要配慮者向け」の住宅として登録することが出来るものです。

以下が、制度を表した図になっています。

出典:国土交通省

「住宅確保要配慮者」は、 

  • 月収が158,000円以下である低所得者
  • 18才未満の子どもがいる子育て世帯
  • 高齢者や障がい者
  • 外国人の方

などが該当します。

このような方々が、自治体からセーフティーネット住宅に登録されている賃貸物件情報を提供してもらい入居の希望を出せるといった仕組みです。

デメリットとして、「入居希望を拒否することが出来ない」と言われることがありますが、この表現には少々語弊があります。

正確には、「入居を認める範囲を指定した方からの入居希望を拒否することが出来ない」です。

つまり登録の際に、「低所得者は対象外」などとしておけば、それに該当する方が入居することはありません。

この制度ができた背景には、第1章で紹介した空室数、空室率の低減があります。

不動産投資における最大のリスクは「空室」です。

空室になってしまうと、その部屋からは家賃収入が得られなくなってしまい、利回りに影響を及ぼします。

もちろん、入居者の入れ替えのタイミングの多少の空室は仕方ありません。

しかし、半年~1年以上空室の期間が続いてしまうと、キャッシュフローに大きな打撃を与える可能性があります。

セーフティーネット住宅に登録しておくことで、「空室」の可能性を下げることが可能になります。

リスクの軽減を図りたい方は、登録を検討してみると良いでしょう。

なお、投資用不動産なら何でも登録できるわけではありません。住戸の床面積が25㎡以上であることや、耐震性を有していることなど、住宅の規模、構造について一定の基準を満たしている必要があることに留意する必要があります。 

不動産投資の勝ち組は、高齢者の入居も推進している?

不動産投資でうまくいっている方の中は、高齢者の入居を推進している方が多くいらっしゃいます。

なぜ、高齢者の入居を推進しているのでしょうか。

大きな理由は、日本における少子高齢化です。若年層が減る一方で、高齢者の人口は増加しています。多くの不動産投資家が、「需要が多い市場」に飛び込んでいるということなのです。

高齢者に入居してもらうメリットとして、退去する可能性が低いことが挙げられます。

投資用不動産をお持ちの方が高齢者に入居してもらう上で、一番恐れているのは孤独死と言えます。

事故物件になってしまったら、次の入居者が付きにくくなる・・・

このような不安をお持ちのことでしょう。

ここで多くの方が誤解している可能性があるのは、ご自身の所有している物件で、人が亡くなってしまうと、その時点で事故物件になってしまうということです。

「病気」や「老衰」など事件性のない自然死の場合には、事故物件に該当しないことが多くあります。

発見される日数が浅い(1日~2日)物件に損失がなければ大丈夫なのです。

人が亡くなってしまうのは、仕方のないことです。

どんな方でも必ず訪れます。

不動産投資家にとって大切なのは、発見までの時間を短くする工夫をして、事故物件になるリスクを限りなく下げることなのです。

様々な「見守りサービス」がありますので、高齢者を入居者として迎える際には検討してみると良いでしょう。

これをきちんと分かっていれば、高齢者の方を入居者として迎えることは決してリスクではないといえます。

まとめ

不動産投資をするにあたって、空室対策は非常に大きなテーマです。

今まで、高齢者の入居に慎重になっていたオーナーさんも、こちらの記事を読んでいただき、リスクは決して高くないということをご理解いただけたでしょうか。

是非、今後の空室対策として高齢者の入居にも目を向けていってみてください。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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