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相続・税金

投資用マンションによる節税対策|失敗しないためにおさえておくべきポイントは?

2021/07/20

不動産会社の営業マンから「投資用マンションを持っていると節税対策になりますよ。」このように誘われる不動産投資を実際にスタートする初心者の方は、少なくありません。

営業マンが、嘘をついているわけではありません。むしろ、事実を言っています。

会社員としての所得が徐々に上がってきて、税金が高くなってきた頃に、上記のような誘い文句を受けたら飛びつきたくなる気持ちも分からなくはありません。

しかし、本質を理解してから始めないと後になって失敗に終わってしまうこともあります。

では、投資用マンションの節税対策で失敗は、どのようなケースがあるのでしょうか。また、失敗しないための心構えはどのようなことが求められるのでしょうか。

こちらの記事で解説していきます。

投資用マンションを購入する際によく言われる税金メリットとは?

節税対策

投資用マンションを購入するメリットの1つとして「節税対策」が挙げられます。

既に物件を所有していらっしゃるオーナーの方の中にも不動産会社の営業マンからこのような話をされた記憶がある方もいらっしゃるでしょう。

課税所得が500万円だった方がいるとします。

特に投資用マンションを保有していない場合には、この課税所得に対して定められた税率、計算式によって所得税や住民税が決定することになります。

一方、課税所得が同等の方が、投資用マンションを保有している場合には、減価償却費やローンの利子、固定資産税/都市計画税などの税金を経費計上することができます。

不動産所得は、「損益通算」することが可能になるため、仮に不動産所得がマイナス100万円だった場合には、500万円-100万円=400万円が課税所得となるのです。

年間でどのくらいの節税が出来るのか、具体的に計算してみましょう。

課税所得が500万円の場合

  • 所得税 500万円×20%-42万7,500円=57万2,500円

  • 住民税 500万円×10%=50万円

合わせて「107万2,500円」となります

課税所得が400万円の場合

  • 所得税 400万円×20%-42万7,500円=37万2,500円

  • 住民税 400万円×10%=40万円

合わせて「77万2,500円」となります。

実に所得税と住民税を合わせて「30万円」の金額が節税できることになるのです。

出典:国税庁

特に減価償却費は、「オーナー自身のキャッシュアウトがないのにも関わらず、経費計上出来る」ため、初心者の不動産投資家には、すぐに飛びつきたくなるクロージングトークであるといえるでしょう。

年金対策

日本は少子高齢化社会に突入しています。

生まれてくる方が少なくなる一方、医療体制の進歩により平均寿命も延びたことにより高齢者の割合が増えているのです。

年金の財源を生み出す若い世代が減り、受け取る高齢者が増えている現状では、年金制度の崩壊が囁かれるのも無理はありません。

事実として、年金受給開始年齢が後ろ倒しになっているのに加えて、平均受給額も年々減少傾向にあります。

今後は、年金制度だけに老後資金を頼るのではなく、自身で資産形成をしていく姿勢が求められる時代になっているのです。

このような状況の中、投資用マンションは資産形成については非常に有効です。

金融機関へのローン返済がある期間は、家賃収入からローンを返していくために中々生活費まで賄うことは難しいですが、返済期間が終わってしまえば、家賃収入だけが入ってくる形となります。

例えば、月に9万円取ることが出来る投資用マンションを、3部屋所有していると月々27万円の家賃収入を得ることが出来ます。

管理費や税金などを差し引いても、月に20万円近くは手元に残る形となります。

これが年金対策になると言われる所以です。

投資用マンションで節税対策が出来るロジックとは?

一言でいってしまえば、「減価償却費の計上により損益通算で所得を圧縮できる」ということです。

これは、違法でも何でもなく、国税庁で認められているルールです。

減価償却は、不動産に限らず金額が大きく数年~数十年に渡って使用できるものについて適用が認められています。

購入した年に一気に全額を経費計上することではなく、決められた耐用年数に応じて経費計上していくといった考え方です。

損益通算は、給与所得と不動産所得を合算して計算することです。

不動産所得が、減価償却費などを加味して赤字の場合、給与所得の黒字幅を圧縮することができます。

黒字幅が圧縮されると課税所得が下がり、所得税や住民税が下がるという仕組みです。

例えば、6,000万円の建物を購入したとしましょう。

定額法で償却期間が20年の場合は、毎年6,000万円÷20年=300万円を経費計上していく形となります。

現金のキャッシュアウトがないのに、給与所得から300万円を差し引かれた金額が課税所得となります。

この減価償却費は経費計上(=利益の圧縮)が出来、納税額を減らすことが出来るにも関わらず、実際にはお金が出ていかないことになるため、正しく使うことが出来ればキャッシュフローを多く残せることになるのです。

節税対策でよくある誤解とは?

第2章の話を受けて、「キャッシュアウトなしで経費計上出来るから早速投資用不動産を購入して不動産投資を始めよう!」と思った方、もう少し待ってください。

決して違法ではありませんし、むしろ正しいことを言っています。

しかし、これだけでは本質を理解しているとは言い難いのです。

どういうことなのでしょうか。

それは、課税所得を減らすことによって、所得税や住民税が減少した分の税金が免除されるということではないということです。

減価償却費の計上は、納税が免除されるわけではなく先送りにしているという事実があります。

この事実を認識していないと、特に売却時に痛い思いをしてしまいます。

将来的に3,000万円で購入した投資用不動産を2,800万円で売却することになったとしましょう。

購入金額よりも売却金額の方が少なく、200万円の赤字となります。(他にも細かい費用の算出がありますが、ここでは割愛します)

ここで税金を納める必要はないと思った方、間違っています。

これまでに減価償却してきた分の金額は、購入金額から差し引かれる形となります。

償却累計額が700万円である場合には、3,000万円-700万円=2,300万円が購入金額としてみなされるのです。

そうなると、2,800万円-2,300万円=500万円の利益が出ていることになり、税金を納めなければならないのです。

今まで税金を軽減されていた分が、ここで一気に降りかかってくる形となります。

節税対策だったはずなのに、失敗してしまった事例とは

投資用マンションの運営をしていくと、年月の経過とともに家賃収入や経費などの費用面など変化していきます。

当初は良かったけれど、状況が変わってしまい結果として不動産投資が失敗だった・・・などとならないようにしなければなりません。

ここでは、実際に失敗事例をシミュレーションしてみます。

【購入時の条件】

  • 給与所得:500万円

  • 年間家賃収入:120万円

  • 年間経費:100万円(管理費・修繕積立金・利息)

  • 減価償却費:150万円 

  • 不動産所得:120万円-100万円-150万円=-130万円  

①不動産投資をしていないと仮定した場合

  • 課税所得:500万円 

  • 所得税:約57万円 / 住民税:約50万円  

  • 合計:107万円

②不動産投資を加味した場合

  • 課税所得:500万円-130万円=370万円 

  • 所得税:約31万円 / 住民税:約37万円  

  • 合計:68万円

この状態であれば年間で120万円-100万円=20万円のプラスに加えて、約40万円の節税メリットがあるため、決して悪い状況ではありません。

ここから10年経過し、さまざまな条件が変わりました。

本業が順調にいき、給与所得は上がりましたが、資産価値の下落により、家賃収入も10万円取れていたものが8.5万円しか取れなくなってしまったことに加え、管理費・修繕積立金・銀行からの借入金利が上昇してしまいました。

さらに定率法で償却してきたため、減価償却計上出来る金額も大きく減少してしまいました。

これらの条件で試算してみましょう。

【10年後の条件】

  • 給与所得:600万円

  • 年間家賃収入:102万円

  • 年間経費:130万円(管理費・修繕積立金・利息) 

  • 減価償却費:50万円

  • 不動産所得:102万円-130万円-50万円=-78万円

①不動産投資をしていないと仮定した場合

  • 課税所得:600万円
  • 所得税:約77万円 / 住民税:約60万円  
  • 合計:137万円

②不動産投資を加味した場合

  • 課税所得:600万円-78万円=522万円
  • 所得税:約62万円 / 住民税:約52万円  

  • 合計:114万円

この状態になってしまうと、年間で102万円-130万円=-28万円の赤字を約23万円の節税メリットで補うことすら出来ていないため、失敗といえます。

投資用マンションの節税対策で失敗しないための心構えとは?

失敗してしまうパターンとして、営業マンの言葉だけで本質を理解せずにスタートしてしまうケースが挙げられます。

不動産投資をしていく上で、家賃相場や金利などの市場動向や管理費・修繕積立金の経費などの変化はつきものです。

目先のメリットだけに捉われることなく、将来を見据えた不動産投資運営が大切になります。

まとめ

投資用マンションの節税対策について解説してきました。

節税については、営業マンの言葉だけに捉われることなく、本質を理解することが大切です。

こちらの記事をお読みいただいた方の不動産投資が成功に近づくことが出来れば幸いです。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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