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2022年度の火災保険が値上げの理由は?契約期間も最長5年に短縮

2022/03/04
2022年度の火災保険が値上げの理由は?契約期間も最長5年に短縮

2022年度に火災保険が値上げされ、契約期間も最長10年から最長5年に短縮されるにあたり、どのような影響があるのか不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、火災保険が2022年度に値上げされる理由と、実際にどれくらい値上げされるのか、及び今後火災保険を選ぶときに気をつけるべきポイントについて解説します。現在火災保険に加入していて変更点について知りたい方や、これから火災保険の加入を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

火災保険料の決め方とは?

まず火災保険料の決め方について解説していきます。

火災保険料は、建物の構造所在地築年数の3つの区分によって決定されます。ただし、事故が発生した際の保険金に充てられる損害保険料算出機構が出した純保険料に、各損害保険会社の必要な経費である付加保険料をプラスしたものが、実際に支払う火災保険料です。そのため、損害保険会社によって火災保険料が異なります

図1 保険料率の構成(損害保険料率算出機構)

以下では火災保険料率を決める3つの料率区分について解説します。

建物の構造

火災保険料率を決める1つめの区分は建物の構造です。建物の造りや耐火性能などの構造が異なると、火災が発生した際の被害の程度も異なってくるため、建物の構造によって保険料率が設定されています。具体的には以下の図2のように建物の構造によって3種類に分類されています。

図2 火災保険参考純率における建物(住宅物件)の構造(損害保険料率算出機構)

建物の所在地

火災保険料率を決める2つめの区分は建物の所在地です。

自然災害が多い地域の建物は、少ない地域よりも火災保険料が高めに設定されています。台風や豪雪などの自然災害が発生する頻度や被害の程度によって火災保険の参考純率が異なり、最も高い都道府県と最も低い都道府県の保険料率の差は1.73倍〜3.37倍になります。

そのため豪雪の被害が多い北陸地方や、台風の被害が多い沖縄などは、他の地域と比較すると保険料率が高くなると言えるでしょう。

築年数

火災保険料率を決める3つめの区分は建物の築年数です。

水漏れなどの損害は建物の老朽化に伴って発生することが多いため、築年数が浅い建物については、築年数に応じて火災保険料率に割引が適用されます。実際には、築年数が5年未満の建物には平均28%の割引が、築年数が5年以上10年未満の建物には平均20%の割引が適用されることが多いです。

火災保険が2022年度値上げされる

火災保険は、2022年度に値上げされることが決定されています。以下では、いつから・なぜ・どれくらい値上げされるのかについて、解説していきます。

火災保険はいつから値上げされる?

値上げの時期については、2022年10月1日以降に適用される契約について、火災保険が値上げされると予測されています。詳しい値上げの時期については、既に契約している保険会社や、これから契約を検討している保険会社からの公表を確認するようにしましょう。

火災保険はなぜ値上げされる?

以下では2022年度に火災保険が値上げされる理由について解説します。

①自然災害が増えているため

2022年度の火災保険値上げについては、近年の自然災害の増加が理由のひとつだと言われています。以下の図3では、保険金の支払い額が多くなった災害が、この10年以内に多数発生していることがわかります。

図3 主な風水災等による保険金の支払い(一般社団法人日本損害保険協会・損害保険協会ファクトブック2020)

②中古物件の増加

2022年度の火災保険値上げのもうひとつの理由は、中古物件の増加です。中古物件は電気やガス、水道の設備などが老朽化しているため、火災や水濡れリスクや台風など自然災害時の倒壊リスクが高くなります。

以下の図4では近年中古物件が増加傾向にあることを表しており、支払われる保険金も増加していくと予測されます。そのため火災保険料金の値上げが必要となっています。

図4 築10年以上の住宅が占める割合の推移(損害保険料率算出機構)

火災保険はどれくらい値上げされる?

具体的にどれくらい値上げされるかというと、2022年度の火災保険値上げによって、保険料率が全国平均で10.9%引き上げられます。以下の図5では、都市圏と最大・最小の都道府県の改定率が建物の構造別にまとめられています。

図5 改定率の例(損害保険料率算出機構)

火災保険の契約期間も最長10年から最長5年へ短縮

2022年度に火災保険の契約期間も最長10年から最長5年へ短縮されます。

なぜ火災保険の契約期間が最長5年に短縮されるのか?

2022年度に火災保険の契約期間が短縮される理由について解説します。

①自然災害が予測できないため

近年自然災害が増加しており、今後も予測することが難しくなってきているために、火災保険の契約期間が短くなります。自然災害が増加すると支払う保険金が増えるため、火災保険の仕組み自体が成立しなくなる可能性があります。そのため火災保険の契約期間を最長5年に短くすることが必要となっています。

②改定が反映されやすくする

火災保険の契約期間が短縮されると、改定が反映されやすくなります。現状は契約期間が長く、火災保険料の値上げなどの改定が反映されにくい状態です。改定の内容を反映させるのに時間がかかってしまうと、結果的に収支の改善にならないため、期間の短縮が求められています。

契約期間が短縮されることによる影響

2022年度に火災保険の契約期間が最長5年に短縮されることによる影響について解説します。

①保険料が高くなる

火災保険は契約期間が長い方が保険料が安くなるよう設定されています。そのため契約期間が最長5年へ短くなることで、保険料が高くなると言えるでしょう。

②改定が反映されやすい

契約期間を短縮することで、火災保険の値上げなどの改定が反映されやすくなります

③契約の見直しをする機会が増える

契約期間が短縮されることによる影響は、悪いことばかりではありません。なぜなら契約期間が短くなることで契約の見直しをする機会が増えるからです。一度契約を締結してしまえば、実際に火災保険が必要になった場合を除くと、契約内容を見直そうと思う機会は少ないでしょう。そのため契約期間が5年に短縮されることによって、結果的に契約の見直しをする機会が増え、その状況にあった最適な保険に加入することができると考えられます

火災保険の契約期間の短縮はいつから適用される?

火災保険の契約期間の短縮は2022年10月以降に適用されると予測されています。現在契約中の火災保険がある場合、契約が終了するタイミングで契約期間短縮の影響を受けると言えます。

火災保険を選ぶ際に気をつけるべきポイント

最後に、火災保険を選ぶ際に気をつけるべきポイントについて解説します。

最長期間で契約する

火災保険は契約期間が長期になるほど保険料が割安になるよう設定されています。保険料を節約するという観点で、できる限り長期で契約することをおすすめします。

一括で支払う

火災保険を安くしたい場合は、保険料を一括で支払いましょう。火災保険は保険料を月払いや年払いにするよりも、一括払いにすることで総額が安くなります。ただし保険料を一括で支払うだけの予算が必要なので、家計のバランスをみて無理のない範囲で一括払いできるか検討してください。

必要のない補償はつけない

火災保険の値上げの影響を下げるためにも、必要のない補償はつけないようにしておきましょう。火災保険には基本のプランに補償内容や補償対象を追加することができますが、追加した分だけ保険料も高くなります。現在契約中の火災保険があれば、契約を更新するタイミングなどで、必要のない補償を外しましょう。

値上がりする前に長期の契約を

火災保険の契約期間が最長5年に短縮される前に長期の契約の火災保険に加入しておくことで、次の契約更新まで改定の影響を受けずに済みます

火災保険を値上げする時期は2022年10月頃になると予測されているため、契約する保険会社の値上げ時期を確認しつつ、長期の契約ができないかを検討してみてください。

まとめ

今回は、火災保険が2022年度に値上げされる理由と、実際にどれくらい値上げされるのか、契約期間の短縮についてと、今後火災保険を選ぶ際に気をつけるべきポイントについて解説しました。

火災保険の値上げと契約期間が短くなることによって保険料が高くなることが予測されますが、今回ご紹介したポイントを参考にしていただき、少しでも保険料を安くできるよう対策を検討してみてください。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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