不動産投資をはじめる際には、現金で不動産を一括購入するか、もしくは融資を受けた上で不動産を購入します。
はじめて不動産投資を行う方の中には、現金購入と融資どちらが良いか迷う方もいると思います。現金購入と融資を受けた上での購入では、それぞれメリットやデメリットは大きく異なります。
そこで今回は、不動産投資の現金購入と融資購入のメリット・デメリットについて、それぞれの違いを踏まえつつご説明します。
まず不動産投資の現金購入について、概要やメリット・デメリットを解説します。
不動産投資における現金購入とは、土地や物件をご自身の自己資金で購入することを意味します。
自己資金とあるように、基本的には金融機関などからの融資を受けずに、ご自身で不動産を購入できるだけの自己資金を貯めなくてはいけません。
物件や土地次第ではありますが、一般的には3,000万円~5,000万円ほどの自己資金が必要となります(不動産小口化商品などの一部商品は除く)。
多額の自己資金が必要となるため、すでに他のビジネスで成功している方や、退職金などによりまとまった金額を得られた方でないと難しい不動産投資の方法です。
不動産を現金購入するメリットには、主に以下の4つがあります。
融資を受けて不動産投資を行う場合、毎月にわたって利息の支払いや元本の返済が必要となります。
一方で現金購入すれば利息支払いや元本返済の支出がないため、より多くのキャッシュを手元に残せます。
現金で不動産を購入すると利息の支払いが発生しないため、最終的な合計支出額を抑えることができます。
不動産を現金購入する場合、融資で必要となる不動産の担保が必要ありません。
そのため、万が一不動産投資に失敗しても、土地や物件という資産を手元に残すことができます。
融資購入する場合、申し込みから承認までに数週間程度の時間がかかる上に、融資契約の締結手続きを行う必要があります。
現金購入により不動産投資を始める場合はこうした手続きが不要となるため、不動産を購入してから比較的迅速に賃貸経営を始めることが可能です。
一方で不動産を現金購入すると、以下2つのデメリットもあるので注意が必要です。
一般的なサラリーマンのケースになりますが、不動産を現金購入できるだけの自己資金を貯めるには多大な時間を要します。
例えば年収600万円のサラリーマンで、年間150万円貯金できるとしましょう。この場合、3,000万円の不動産を現金購入するには20年もかかります。
不動産を現金購入するとなると、ほとんどの方は安い不動産を選ばざるを得なくなります。一概には言えませんが、安い物件は優良物件と比べて収益率が低い傾向があります。
そのため、融資を受けて優良物件を購入するケースと比べて、年間の収益性が低くなる可能性が高いです。
次に、不動産投資の融資購入について、概要やメリット・デメリットをお伝えします。
不動産投資における融資購入とは、金融機関(基本的には銀行)から融資を受けて、その資金を使って不動産を購入する方法です。
簡単にいうと、銀行から借金して不動産投資を始めるため、当然資金を返済する必要があります。
基本的には返済できなくなった事態に備えて、購入する不動産を担保に出して融資を受けます。
不動産投資が万が一失敗して資金を返済できなくなると、不動産は競売にかけられます。
不動産を融資購入すると、以下3つのメリットを得られます。
自己資金をあまり持っていなくても、融資を受ければ高額の物件を購入できます。
前述した通り高額の物件は、好立地などの条件を満たす優良物件であり、収益性が高いです。
つまり融資を利用すれば、少ない自己資金で高収益率の不動産投資を実現できるのです。
融資を受けることで、多額の自己資金を貯める必要がなくなります。
自己資金を何十年も貯める必要がないため、思い立ったら比較的に早いタイミングで、不動産投資を始めることができます。
早い時期から不動産投資を始めるため、最終的に得られる合計のキャッシュフローも多くなります。
不動産投資を長年行うと、リフォームや修理・修繕、集客などに費用がかかります。
融資を受ければ自己資金を手元に残せるため、こうした必須の部分に資金を回すことができます。
不動産の融資購入には、メリットのみならず以下のようなデメリットもあります。
融資購入した場合、毎月金利の支払いや元本の返済を行う必要があります。
収益を安定的に得られていれば良いですが、空室の増加などにより家賃収入が少なくなると、支出を賄えなくなる可能性があります。
一度資金繰りが悪化すると、次の月も元本を返済できなくなったり、修繕やリフォームにお金を回すことができなくなったります。
最悪の場合、不動産投資を続けられなくなる場合もあるため、融資を受ける際には注意が必要です。
不動産投資で融資を受ける場合、前述した通り不動産を担保に設定するのが一般的です。
万が一不動産投資が上手くいかずに資金の返済が不可能となった場合は、せっかく購入した不動産を手放さなくてはいけません。
不動産投資には「現金購入」と「融資による購入」の二種類がありますが、一体どちらが自分に適しているか気になると思います。
ここからは、現金購入と融資購入それぞれについて、適しているケースを2つご紹介します。
多額の現金を手元に持っている場合、相続税対策として不動産を現金購入するのがオススメ。
なぜかというと、同じ金額を相続する場合でも、現金を相続する場合と比べて不動産を相続する場合の方が相続税の額を少なくできるからです。
相続税は、相続する資産の「相続税評価額」を基に計算します。
実際はケースバイケースですが、現金と比べて不動産の相続税評価額は2~4割少なくなります。相続税評価額が現金よりも小さいため、支払う相続税の額も小さくなるわけです。
ただ単に家賃収入を得られるだけでなく、相続税の節税にも役立つのが不動産投資の魅力です。
「不動産投資における相続税対策」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
あまりリスクを負わずに不動産投資を行いたい方にも、現金購入は適しています。
不動産投資を融資購入で行う場合、借金をする以上少なからずリスクはあります。
どれほど好立地にある物件を購入しても、事件などが起きたらたちまち空室が埋まらなくなるリスクはあります。そうなると資金を返済できなくなり、物件が競売にかけられてしまいます。
こうしたリスクを確実に回避したいならば、現金で購入するのが確実でしょう。
最後に、不動産投資の融資購入が適しているケースを3つご紹介します。
そもそも手元に潤沢な自己資本を持っていない方は、融資購入の方法を選択するのがベストです。
自己資金を一から貯めるとなると、数年から数十年もの時間がかかります。長い時間をかけて貯金してから不動産投資を始めると、十分な資産を形成するのは困難です。
少しでも得られるキャッシュフローの合計を増やすには、融資を受けて不動産投資を行うのがベストな選択です。
少ない資金で最大限の利益を得たい(レバレッジを最大限に効かせたい)方も、融資購入により不動産投資を行うのがオススメです。
融資を受ければ、少ない自己資金で収益性の高い優良物件を購入できます。どうせ不動産投資を行うなら、少しでも多くの利益を得たいと考えるのが普通です。
そう考えると、融資購入はとても合理的な手法と言えるのです。
広く知られている大手企業に勤めていたり、公務員として働いたりしている方は、安定的に収入を得られるため銀行などから高い評価を受けやすいです。
高い評価を受けていると、金利を下げてもらえたり、融資の期間を長くしてもらえたりと、有利な条件で融資を受けることができます。
有利な条件で融資を受けることができるならば、それを最大限活用しない手はありません。
融資購入で不動産投資を始めれば、手元に資金を残せたり、レバレッジ効果を発揮できたりと、さまざまなメリットを得られます。
少しでも不動産投資を有利に進める上でも、融資を受けやすいならば最大限活用しましょう。
この記事では、不動産投資における現金購入と融資購入の違いについて、メリットやデメリットの観点からお伝えしました。
どちらにもメリットはあるものの、リスクを極端に避けたか、相続税対策などの目的がない限り、融資購入により不動産投資を行うのがオススメです。
融資を受けて不動産投資を始めた方が、収益面で大きなアドバンテージを得ることができます。
これから不動産投資を始める方は、今回お伝えした現金購入と融資購入の違いを踏まえて、どちらの方法を選択するか考えてみてください。