一棟物件に投資をするに当たって、アパートにするかマンションにするか迷われる方も多くいるのではないかと思います。
アパートとマンション、一棟投資を行う場合には、どのような違いがあるのでしょうか。
ここではアパートとマンションの違いから、一棟アパート投資と一棟マンション投資の違いなどについて詳しく解説していきます。
不動産投資の方法には、一棟物件への投資以外に、区分マンションに投資するという方法もあります。ここではその違いを解説していきます。
一棟投資物件とは、マンションやアパートを丸ごと一棟購入して、不動産投資を行う方法を言います。
一棟投資物件は多額の初期費用が必要になりますが、戸数が多いためたとえ空室が出ても家賃収入が全く無くなるわけではないため、空室リスクが低くなります。戸数が多いため手にすることができる家賃収入も高額になり、キャッシュフローが多くなる点も魅力の一つであるといえるでしょう。
しかし、物件の立地などの条件が悪いと、物件全体の入居者が集まりにくいといったデメリットもあります。
修繕時期を自分で決められるなどのメリットもあり、「投資」というよりは「経営」といった要素が強くなる点が特徴であるといえます。
区分マンション投資とは、マンションの一室を購入して不動産投資を行う方法を言います。
初期費用を低く抑えることができるため、多額の自己資金を準備できない人にも向いている不動産投資方法です。
区分マンション投資のメリットは、低い初期費用で始めることができること以外にも、複数の区分マンションを別々の場所に持てることです。立地により、入居者が集まらないといったリスクを分散できるという点です。
しかし、一戸または数戸の区分マンションを所有して不動産投資を行った場合、空室が出た時に家賃収入が全く無くなってしまったり、急激に低くなってしまったりすることがあります。
空室リスクが高い点は、デメリットであるといえます。
また、大規模修繕などのタイミングは、マンションの管理会社が決めるため、予想外の時期に多額の出費が必要になる可能性が高いといったデメリットもあります。
アパートとマンションには明確な違いはあるのでしょうか、答えは「NO」です。
しかし、一般的に不動産用語として使われるアパートとマンションという言葉には、建物の種類により違いがあります。
ここでは、アパートとマンションの違いについて解説しています。
アパート投資のおけるアパートとは、以下のようなものを言います。
アパートのという呼び名は、英語の「アパートメント(apartment)」に由来します。
この日本でいうアパートという言葉は実は和製英語で、英語の本来の意味は建物の内部を複数に区切ってそれぞれを独立した住居として提供する建物のことを言います。
そのため英語の意味では、日本でいうところの賃貸マンションのこともapartment(アパートメント)と表記します。
アパートは一般的に木造か軽量鉄骨造り、プレハブ造の共同住宅のことをいうことがほとんどです。
また、アパートはこのような構造で建てられているため、防音性が弱いといった欠点があります。
アパートとは、上記の構造に加えて概ね二階建てまでの建物のことを言います。
そのため、エレベーターが設置されている物件は、ほぼないと考えて良いでしょう。
アパートの本体工事費用は、木造で坪当り40万円から50万円、軽量鉄骨造の場合80万円から90万円、プレハブ造の場合70万円から80万円程度になります。
建築費用が高額になればなるほど建物のグレードも高くなり、遮音性などに優れた高級感を感じられる作りになります。
アパートはマンションに比べて、設備が充実していないイメージがあります。
そのイメージ通りあまり充実した設備を備えていない物件もありますが、近年では入居者のニーズに応えてマンション並みの設備を備えた物件もあります。
そのため、一概にどのようなものがアパートの標準的な設備であるかと言い切ることはできません。しかし、自動給湯器やモニター付きインターフォン、無料インターネットなどを備えたアパートが人気となっています。
新たに建てられるアパートには、これらの設備やさらに充実した設備が備えられていることが多いようです。
続きまして、マンションについて解説していきます。
日本では集合住宅のうち、アパートより規模が大きく比較的高級なものをマンションと言いますが、これは英語の「mansion」来ています。
この「mansion」は、本来集合住宅ではなく「豪邸」を意味します。集合住宅に高級感を持たせるため、またアパートの差別化を図るためにこのような名称がつけられました。
マンションの構造は、主に鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造となっています。
そのため遮音性に優れ、隣や上下の部屋の生活音が気になりにくいといった特徴があります。
マンションとは一般的に3階建て以上の建物のことを指す言葉です。
しかし、近年では2階建ての低層マンションも存在するため、一概に階数だけでマンションであるかどうかを区別することはあまりありません。
マンションの構造は主に鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄筋鉄骨コンクリート造りとなっていることは前述しました。
これらの構造の建物の坪当たりの建築費用は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造で70万円から80万円、鉄筋鉄骨コンクリート造で60万円から70万円となっています。
マンションの設備はアパートより充実しているケースが多く、アパートの設備に加えてオートロックや防犯カメラなどのセキュリティーに関する設備。
ほかに、エレベーターやエコロジーに配慮したペアガラスなどを利用した省エネマンションも増加している傾向があります。
アパート投資のメリットとデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
以下に解説していきます。
アパート投資のメリットには、以下のようなものがあります。
アパートは二階建てかつ建築コストが低い工法で建てられるため、一棟当たりの価格が安くなります。
同じ広さの土地を所有できる上に、マンションよりはアパートの方が安く購入できるため、全体的に物件価格をおさえることができます。
前述したようにアパートは、一棟当たりの金額が安いため、一戸当たりの家賃を低く設定しても利益を出すことができます。
この家賃が安いという点は、入居者にとってもメリットとなるため、入居者が決まりやすい傾向があります。
アパートは主に一般的に2階建てまでの建物のことをいうため、1棟当たりの戸数も少なくなります。
建物の規模も小さく、メンテナンス費用などのランニングコストを低く抑えることが可能です。
この場合の利回りとは実質利回りのことを言い、実質利回りは(年間家賃収入―経費)÷物件購入価格で求められます。
アパートは物件自体の価格が低く、マンションと比較してランニングコストもそれほど必要とならないため高い利回りが期待できます。
アパートの構造は比較的木造の場合が多く、コンクリートなどの構造よりも解体する時の解体費用を低く抑えることができます。
アパート投資のデメリットには、以下のようなものがあります。
今では木造でもコンクリートに劣らないほど設備、防音対策などをしっかりしてきました。
築年数が古いアパートは建物の質が良いとは言い難い物件も多く、遮音性が低いなどといった問題から住民間のトラブルが起こる可能性が高くなります。
入居者のニーズはやはり新築または築浅の物件に集まる傾向です。
築年数が古いアパートは入居者が集まりにくく、空室率も高くなりやすいといったデメリットがあります。
アパートに多く用いられる木造を例にとると、新築の場合でも法定耐用年数は22年となっているため、この期間しか減価償却費を経費として計上することはできません。
節税を目的として一棟物件の不動産投資を始めたいと思っている人は、減価償却期間が長い一棟マンション投資のほうがメリットは多いと言えるでしょう。
アパートはマンションと比較して家賃相場が低くなっています。そのため、設定できる家賃は比較的に低くなる傾向があります。
「アパート投資・経営」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
関連記事:アパート経営とは?アパート経営のメリットやリスク、必要な資金を解説
マンション経営には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
以下に解説していきます。
マンション経営のメリットには、以下のようなものがあります。
近年では設備が充実し、セキュリティーがしっかりしているマンションに、入居者の人気が高まっているため、空室率が低いといったメリットがあります。
マンションはその構造から、建物自体が経年劣化しにくいといった特徴があります。
そのため大規模修繕なども少ない回数ですみます。
マンションは堅固な作りであるため遮音性など建物自体の性能が高く、設備も充実していることから、比較的高い家賃設定を行うことができます。
マンションに用いられる工法は、法定耐用年数が長いことが特徴です。そのため法定耐用年数も長く、建物自体の資産価値も下落しにくくなっています。
また、マンションは最寄り駅の近くに建てられるケースが多く、土地の地価も落ちにくいと言えます。
マンションを建てる際に用いられる工法のうち、鉄筋コンクリート造りの工法を例にとると、法定耐用年数は47年となっています。
そのため、減価償却費を計上できる期間も長く、節税対策に向いています。
マンション投資のデメリットを以下に解説していきます。
マンションは鉄筋コンクリート造りなど、建設コストが高額な工法で建てられています。
そのため、物件自体の価格も高くなります。
一般的にマンションはアパートに比べて、設備が充実している点が特徴です。
そのため、その設備のメンテナンスにも費用が掛かり、結果としてランニングコストが高額になります。
近年新築されたマンションは建物自体の性能も高く、充実した設備のものが多い傾向があります。
しかし、アパートであってもマンションに引けを取らない設備を備えた物件も増えてきています。そのため、競合する物件が多いという点が、マンション投資のデメリットであるといえます。
「マンション投資・経営」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
関連記事:マンション投資で成功するために必要な5つのことを徹底解説
アパート投資とマンション投資のメリットとデメリットは、前述したとおりですが、ではどのような人がそれぞれの投資法に向いているのでしょうか。
ここではアパート投資が向いている人と、マンション投資が向いている人の特徴について解説していきます。
アパート経営が向いている人とは、以下のような人です。
アパートは木造など比較的簡易な工法で建てられており、戸数もマンションに比べて少ないことが多いため、一棟当たりの価格が安価です。
物件価格をおさえて一棟物件の不動産投資を始めたい人に向いていると言えます。
すでに土地を持っている人は、建物だけでの費用で物件を建てて賃貸経営する事が可能です。
コンクリートよりもアパートの方がコストをおさえることができますので、土地活用で不動産投資初心者の方にはオススメしたいです。
とは言え、土地を持っているから必ずしも賃貸経営に適しているわけではありません。始める前に自分が持っている土地は賃貸ニーズがあるのかどうかをきちんと調査する必要があります。
アパートはマンションに比べて建物の材料など建築費をおさえたり、物件を維持していく時のランニングコストもマンションより低くおさえたりできます。
ランニングコストをおさえたい人は適していると言えます。
マンション投資が向いているのは、以下のような人です。
マンションは堅固な工法で建てられ、一棟当たりの戸数も多いことから物件自体の価格が高額になります。
このような場合に不動産投資用ローンを組むことが一般的ですが、そのためにはある程度まとまった自己資金を用意する必要があります。
今では一棟物件の融資を受けるには3割の頭金が必要となるケースがほとんどですので、そのため自己資金を持っている方でないと購入ができません。
また、実際に運営していくときにも突発的な出費に備えて、自己資金を準備できる人が適していると言えます。
マンションに用いられる工法は法定耐用年数が長く、また実際に利用可能な年数も長いことから、長期にわたり安定して不動産投資を行いたい人に向いています。
マンション投資を行う場合には、その管理を管理会社に依頼するケースがほとんどです。
そのため、管理会社との付き合いが苦にならない人にマンション投資が向いています。
ここでは、一棟物件投資で成功するためのポイントについて解説していきます。
現在の日本では少子高齢化が進み、人口が減少しています。しかし、この人口減少は地方に多く見られる現象で、今後も都市部の人口は増えていくと考えられます。
そのため、都市部の物件は入居者が集まりやすいため、都市部に建っている物件を購入することをお勧めします。
ターゲットとする入居者により、人気の立地は異なります。単身者用の物件であれば駅近など利便性の良い場所、ファミリー層向けの物件であれば学校や病院、商業施設など生活しやすい場所が人気です。
そのため、物件の用途と立地がマッチしている物件を選ぶようにしましょう。
東日本大震災以降、賃貸物件に求められる要素の中に安全性という要素が高まってきています。
そのため、購入を予定している物件が新耐震基準に適合しているか、ハザードマップにより災害の危険区域に指定されている場所に建っていないかという点にも注意しておきましょう。
一棟物件に限らず不動産投資を始める際には、不動産投資ローンの融資を受けることが一般的です。
この不動産投資用ローンの融資を受けることで、レバレッジ効果が期待でき少ない自己資金で不動産投資を始めることが可能ですが、融資を受ける以上、毎月返済を行わなければなりません。
レバレッジ効果を期待しすぎて多額の融資を受けてしまうと、毎月の返済が苦しくなり不動産投資が破綻してしまう可能性もあります。
このような事態を避けるためにも、自己資金を物件価格の3割程度は用意しておきましょう。
一棟物件に限らず、一般的に不動産は築年数が経過するにつれて販売価格が下落していきます。また賃貸物件の家賃も、築年数とともに下がっていきます。
そこで、一棟物件を所有している間に得ることができる家賃収入と、その物件を売却した場合に得ることができる利益を合わせて、一番有利に利益を得る方法を考えておく必要があります。
これを出口戦略と言い、不動産投資を行う際に大きな利益を得るための非常に重要な戦略です。不動産投資を行う際には、常に出口戦略についても考えておきましょう。
「不動産投資における出口戦略」に関しては下記でも解説していますので参照してみてください。
関連記事:不動産投資における出口戦略とはなにか?2つの収益方法を前提にした戦略の立て方
築古の物件はその間取りや設備の古さから修繕費用が嵩んだり、入居者が集まりにくかったりする傾向があります。
そのため、一棟物件を選ぶ際はなるべく築浅の物件を選ぶようにしましょう。
ここまで、一棟物件に投資する際のアパートとマンションの違いについて解説してきました。
一棟投資におけるアパートとマンションの違いや、そのメリットとデメリットについてお分かりいただけたと思います。
一口に一棟投資と言っても、アパート投資とマンション投資には大きな違いがあります。その違いについてよく知ってから、自分に向いている投資方法を選ぶようにしましょう。