東京オリンピック開催の決定を受け、不動産の価格は右肩上がりし続けてきました。
不動産市場が堅調に伸びているのはオリンピック効果だと言われていて、「2020年以後の不動産投資市場は大幅に落ち込むのではないか」と専門家の予想が出ています。
また新型コロナウィルスの影響で2020年東京オリンピックは1年延期が決定しました。
参考:https://tokyo2020.org/ja/news/news-20200330-04-ja
不動産投資業界ではオリンピック開催後に日本経済が落ち込むなどが挙げられますが、本当にそうなるのでしょうか。
そこで今回は、2020年以後の不動産投資市場の動向について、私なりにまとめてみました。これから不動産投資を検討されている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
最初に挙げるのは、不動産価格が下落する問題です。
東京オリンピック開催決定を受けて、不動産価格が上昇し続けました。
その背景にはオリンピック開催に伴うインフラ整備、施設の建設などによる人件費、建築費などの高騰が挙げられます。また、オリンピック開催地となった東京は、世界から今まで以上に注目されるようになりました。
海外投資家からの不動産投資という外因だけではなく、日本国内も2016年のマイナス金利実施より不動産ローンのハードルが下がり、サラリーマンなど一般投資家の不動産投資への参入が増えたという内因も挙げられます。
オリンピック開催後はオリンピック効果がなくなり、不動産の価格が下落すると言われています。しかし、実際のところはこのまま維持されるのではないかと考えました。
REINS TOWERが発表した直近2月の月例マーケットデータでは、首都圏の中古マンションの成約単価は13か月連続上昇しています。
出典:REINS TOWER(http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_202002_summary.pdf)
不正融資などの不祥事の影響を受け、2019年から一棟投資物件の融資は非常に厳しくなりました。しかし、それとは反対に区分マンション投資の融資は、条件を満たしていれば依然低金利で融資を受けることができています。
つまり、投資の需要がある以上、不動産の価格自体はそのまま維持されるのではないかと言えます。
2つ目の問題として、人口減少により空室率が上昇し、投資市場は非常に不安になるとも言われています。
下記総務省の国勢調査データを見ていただければわかりますが、日本の人口はこれから減少に入っていきます。
2020年以後で急激に減るのではなく、2035年までには緩やかな減少であることがわかります。
従って、住居に対する需要も一気に減ることも想定しにくいので、賃貸ニーズがあるエリアを選定することによって、不動産投資を始めてもいいと言えるでしょう。
出典:総務省
一方、2019年の外国人登録者数は過去最高の約215万人となり、過去10年で約1.5倍も増加しているそうです。日本の人口が減少と反対に外国人人口が増えることによって、賃貸ニーズが増えていくと見ていいでしょう。
出典:総務省
世帯数のピーク予想時期が遅れたとは言え、ピークを過ぎたら少しずつ日本の人口が減少することはもう確定しています。しかし、人口が減少しても家に対する需要がなくなるわけではありません。
人口減少に備えて空室にならないためには、賃貸ニーズが高いエリアを選ぶことが重要になってきます。
下記総務省の「国勢調査」のデータを見ていただきたいのですが、2010年から2015年にかけて人口が増えているのは1都3県、愛知県、福岡県、沖縄県、滋賀県の5県のみとなっています。
出典:総務省国勢調査
その中でも、1都3県の人口・世帯数は増加しており、東京都は2025年にピークの見込みです。
出典:東京都政策企画局
物件の間取りを選ぶ際に、入居ターゲットの需要ニーズが1つの参考値になります。
東京圏だけのデータでは、ファミリー世帯よりも、単身世帯であるひとり暮らしの割合が高く占めています。
出典:東京都
なお、子どもがいる世帯は2020年以後減少見込みで、単身世帯は2040年までは伸びていく予測になっています。
この10年はひとり暮らし物件の賃貸ニーズはまだまだ高いと言えます。
全体の人口が減少すると言っても、中には人口が増加するエリアもあります。
出典:東京都「別人口の予測」
東京23区の場合は、2030年までにはほとんどの区の人口が増加傾向にあり、少し減少が多いのは
の5区のみです。
2040年には都心3区は人口増加をしていることがわかります。
他の区でもわずかな減少が見られるくらいです。
つまり、人口が減少するから不動産投資が不安というのは、きちんとエリアを厳選することによって回避することが可能なのです。
なお、外国人を狙うのなら外国人比率が8%も超えている新宿区、江戸川区、足立区がオススメです。
3つ目の問題としては「生産緑地問題」が挙げられます。
生産緑地とは、三大都市圏特定市の市街化区域にある農地が「生産緑地」と指定され、30年間は農地として税金の優遇を受けることができるようになっています。
今は生産緑地と認められている農地の面積は、なんと東京ドーム2,200個分に相当するほど膨大だそうです。
生産緑地として認められる期限は2022年までとなっており、その後税金の優遇を受けられなくなります。その農地が宅地に転用されるようになると、宅地の供給過剰により地価が下落するのではないとか言われています。
生産緑地は元々30年を経過したら、所有者から市町村長に対していつでも買取してもらう申し出ができるようになっていました。
しかし、そうすることによって一気に大量の土地が出てしまうことになります。
都市計画上で不安定な状態に置かれる懸念が出て、平成29年に生産緑地法が改正され、買取の申し出期日が10年延長となりました。
しかし、これはあくまでも期限が延長されただけであり、生産緑地がなくなったわけではありません。従って、不動産投資でエリアを選ぶ時に、周辺に生産緑地があるエリアは避けるといいでしょう。
国土交通省の「都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況」のデータによると、東京23区で生産緑地があるのは、下記の11区です。
このうち最も生産緑地が多いのは、「練馬区」「世田谷区」「杉並区」の3つの区です。
参考:http://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/toshi_city_plan_fr_000022.html
今回は2020年以後の不動産投資動向について書きましたが、参考になったでしょうか。
不動産の価格が下落する、人口減少により空室率の上昇などと不安になる様々な予想が出ています。事前にリスクを把握して、対策を立てることによってリスクを最小限におさえることができるのは、不動産投資ならではのメリットとも言えます。
データなどを参考にしながら、様々なリスクに備えて、エリア選びを慎重に選ぶことによって回避できると思っています。これから不動産投資を検討されている方に、少しでもお役立ていただければ幸いです。