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インタビュー

対談インタビュー/コロナ禍のなか、活気づくリースバックの将来性(Vol.3)

2021/08/26

自宅を売却しつつも買主と賃貸借契約を締結することで、今まで通り自宅に住み続けられるリースバック。コロナ禍のなか、大きな注目を集めているこのサービスについて、任意売却119番を運営する、ナレッジパートナー株式会社の富永順三社長と、株式会社アジアゲートホールディングスの松沢淳会長にインタビューを実施。3回連載の最終回となる今回は、投資家目線で見たリースバックの将来性について紹介します。

前編記事

投資家目線で見たリースバックの将来性

――コロナにより浸透した新しい生活様式、少子高齢化などを考えると、リースバックの需要はますます増えていきそうですが、今後どうなっていくと思われますか?

松沢 現在、リースバックは住人がいることが前提になっていますが、今後は空き家も対象となっていく可能性があると思っています。弊社はその可能性も含めて、広く戦略を考えていきたいと思っています。

富永 投資家が取り組みやすくなる仕組みなども上手く活用出来ると思います。例えば不特(不動産特定共同事業法)なども。

松沢 不特は弊社も考えており、リースバック案件は馴染みやすいと思っています。投資家の方々にとって買い戻しをしない前提なら長期の安定収益が期待できますし、不特で買っていくことも十分ありえると思います。不特で小口化するということは、不動産を複数の投資家で共同出資して運用するということです。一人一人の投資家にとっては不動産を丸ごと購入するリスクを負うことなく、少額から投資が始められるということで、少額から投資できるということは投資先を分散するリスク分散も可能になりますね。リースバック案件にまだ消極的な投資家にとっても、小口化することで、少額投資が可能となりリスク分散を図りつつ安定収益が見込めるなどの恩恵が得られるということならば、投資に対するハードルが低くなるでしょう。

参考:「不動産特定共同事業法とは?改正のポイントをわかりやすく解説!」

――投資家にとっても、リースバック案件は魅力的ではないでしょうか。

松沢 最初から賃貸借契約が付いていますし、借主も自分が長年住んでいた家ですから簡単には出てきたくないだろうということを考えると、長期的な安定収入が見込めます。さらに、買い戻しの優先交渉権が付いていれば、売る段階になってもある程度のキャピタルゲインがとれる前提になっていますので、オーナーにとっても出口戦略が立てやすくなると思います。その意味で、リースバック物件は非常に魅力があるわけで、だからこそ弊社も事業として行っています。また、弊社もそうですが、物件に対して家賃保証を付ける場合があります。その場合、投資家にとっては空室リスクがしっかりカバーされているということで、さらに取り組みやすくなると思います。

富永 ただし、リースバックは不動産仲介会社があまり取り扱っていないという問題があります。一般的な仲介会社は、売買が目的ですので「住んだまま売ってほしい」と言われることに馴染みがなく、敬遠されて優先順位が下がるわけです。

松沢 しかし、「住んだままでも買う」という方が多くなれば、通常のケースと同じ売買手数料が入るわけですから、仲介会社の方々も通常の物件通りに扱うでしょう。現状ではリースバック自体の認知度が低いため、敬遠されていますが…。

――しかし、投資家にとってみれば、「すでに住んでいる方がいる」というのが大きな魅力ですよね。通常の投資物件の場合は、購入しても借りてくれる方が見つかるかどうかが大きなリスクになるわけですから。

松沢 そうですね。その意味では、初心者の方は戸建てよりも区分マンションの方がおすすめです。マーケットがある程度確立されていますし、金額も取り組みやすい金額なので。

富永 戸建てはシロアリや耐震性など隠れた瑕疵の問題がありますからね。他社のリースバック案件の場合、シロアリの調査や地震に対する耐震性などは全てご本人(売主)が責任を負う形で行っています。

松沢 さらに、戸建ての場合は境界が確定しているかなど、個人で調べるには難しい部分があります。

――こういったリースバック物件が表に出るときは、カテゴリー化され「リースバック物件」というような表示は出ているのでしょうか?

富永 弊社の場合は「リースバック物件です」という形で投資家を探していますが、一般的なサイトには表示されていないと思います。

松沢 表示したとしても、まだそれほど認知されていないので、ほとんどの方に理解されない恐れがありますね。リースバックには「賃貸借契約を引き継がないといけない」「買い戻しの優先交渉権が入っている」などの注意事項が入りますので、リースバック=こういった注意事項が入っていると認識されるような環境づくりも必要でしょう。

――しかし、リースバック物件がほしいと考える投資家にとっては、一目でわかる表示がほしいですよね。

松沢 それだけ流動性が増し、マーケットが広がって一般的に認知されれば、将来的に「リースバック物件」というカテゴリーができ、そこへ買い戻し特約の有無が表示されるようになるかもしれないですね。

富永 将来的には、投資家とリースバックをしたいと考えている方をマッチングするようなプラットフォームができてくるでしょう。

松沢 ただし、リースバック物件は売ったことが他人に知られないまま住み続けられるということが、大きな魅力になっています。この秘匿性が魅力でもありますので、サイト上で大っぴらに公開して募集するのは難しいかもしれません。

――そうなると、リースバック物件狙いの投資家は、どうやって探せばいいのでしょうか?

富永 現在は、我々のような業者で探すのがベストだと思います。

松沢 そのため、通常のものとは違った窓口が必要になってくると思います。弊社には「ソクガイ」という窓口がありますが、今後はこういう窓口が増えてくるかもしれません。

まとめ

売主にとってリースバックの最大の魅力は、自宅売却によりまとまった資金を得ながらも、賃貸借契約によってそのまま住み続けられることです。さらに、売却したことが他人に知られにくく、条件によっては買い戻しが可能なため、高齢者だけでなく幅広い層のニーズがあると思われます。ただし、売却額を高くするとそれに応じて賃料も高くなり賃料を払えなくなるリスク(=住み続けられなくなるリスク)が生じますので、無理のない売却額(=賃料)を設定することが重要です。

また、投資家にとっても「売主と賃貸借契約を締結して住み続けてもらう」「買い戻し特約がある場合はキャピタルゲインも期待しやすい」ということは、大きなメリットになります。そのため、今後、リースバックの認知度が高まりマーケットも広がっていくことが予想されます。


対談者プロフィール

富永順三(とみなが じゅんぞう)氏

株式会社ナレッジパートナー代表取締役。
任意売却119番 代表
大手企業、経営コンサルタント、阪神大震災復興支援NPO、経済振興財団、企業再生・М&A会社等を経て現職。
関西いのちの電話運営委員、経済産業省・各市・商工会議所委員多数。

松沢 淳(まつざわ あつし)氏

株式会社アジアゲートホールディングス 代表取締役会長 1989年、株式会社住友銀行(現株式会社三井住友銀行)入社。その後、トールエクスプレスジャパン株式会社取締役、株式会社廣済堂社外取締役などを経て、2020年7月に株式会社アジアゲートホールディングス代表取締役社長に就任、2020年12月会長へ就任。

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木村敬

株式会社ウイット 代表取締役
各雑誌、書籍、webコンテンツなどにおいて、エンタメ情報、金融関連情報などを取材・執筆。空き家問題ほか、不動産関連のお役立ち情報をお届けします。

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